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回復魔法

ちゅんちゅんと、鳥の鳴く声がする。


なにか大事な夢を見ていた気がする。

どうして思い出せないんだろう。


「そんにゃことより目の前に重要な問題があるんだにゃあ」


うわ!? また精霊が湧いてきた。


「湧いてきたとはなんにゃ。人間の心の中ぐらい覗けるんだからにゃ、失礼なこと考えるにょはいけないにゃあ。あ、そんにゃことよりちこくするにゃよ?」


ん? やばっ! また遅刻ギリギリ!?


本日もミュアさんの高速準備を見たのち、一日の体力を使いながら教室に行ったのはもうお約束という奴かもしれない。


「皆さんおはようございます。それでは授業を始めます。今日は回復系の魔法についてです。10ページを開いてください」


私たちが入ったすぐあとに、フルリ先生が入ってくる。

息を整えながらも、教科書を開き、落ち着いたところで書かれている事を見る。


回復魔法、主には火、水、光、愛系統の魔力を行使することで使える。


火系統では、傷口の菌を殺し傷口を清潔に保つほか、出血の止血が可能。

水系統では、傷口を清潔にするほか、血の増量や、体内環境の改善が可能。

光系統では、傷口とそれ以外の殺菌、軽傷の治癒、重傷の応急処置が可能。

愛系統では、これらすべてが可能。またどんな重傷も術者の手腕によるが癒す事が出来る。


しかし、回復魔法の蘇生魔法だけは人間が扱う事が出来ない。

蘇生魔法は精霊だけが扱える魔法だが、生物界のバランスが崩れ世界の法則がねじ曲がるため、使用することは滅多にない。


また、解呪と解毒は呪いと毒を扱う魔法使いが魔族しかいないため、それを解くのも魔族以外はできない。さらに複雑な呪いとなれば、特定の解呪の方法があり、魔族でも解けない事がある。


「このように、回復魔法は愛系統の人が良く使う魔法ではありますが、皆さんが使えないわけではありません。火や水系統は皆さんが使える魔力であり、使い方を知るだけで怪我した人を救う事が出来ます」


人間の蘇生がいけないという考え方は、科学の国も魔法の国も共通しているらしいです。

でも、蘇生魔法なんてあった事は驚き、蘇生魔法を使えばお父さんは生き返る?


ある日急に出ていって、遺骨になって帰ってきた父を。


ぼんやりとそんな馬鹿げた事を考える。蘇生が駄目だと知りながら。

私も結局ミュアと同じで、誰も失いたくない臆病ものかもしれない。


「あの、先生体調悪くなったので保健室に」


その言葉に授業に意識を戻すと、真っ青な顔のルリアルさんが、先生に保健室に連れてかれていた。


本当に真っ青だったけどどうかしたんだろうか、少し心配に思いながらもついていくほど仲が良いわけではないので、教室から出ていくのを見送る。


結局、この授業中ルリアルさんは戻ってくることもなく、午前、午後の授業と時間が流れ放課後になった。


「ふぅ! やっと終わったぁ、私座学嫌い、どうせなら外でいっぱい魔法放つ方が性にあってるよ。さてと、帰ろ帰ろ」


ミュアは立ち上がり、振り向くと昨日と変わらず一緒に帰ろうと誘ってくる。


あまり交友関係を疎かにするのもいけないと感じると、図書室で調べ物をするのはやめにして一緒に帰ることにした。


帰り道は、雑談というか、ミュアさんが基本的に学園の噂話を話しながら歩いている。

相変わらず、何処から仕入れてるんだというような情報もあったけどそこはつっこまない。


「あれ? 中庭に座っているのルリアルさんじゃない?」


急にミュアさんは話をやめ、立ち止まると、中庭に視線を向ける。


私もそれにつられて見てみると、マリーゴールドの花壇の前にあるベンチにルリアルさんが座っていた。


「体調良くなったのかな?気になるし、行ってみよ!」


ちょ、急に行ったらルリアルさん驚くんじゃ?

思わず止めようとしたが、それも虚しく走りだしてしまった。


諸突猛進だなおい!!


慌てて私もそのあとを追いかける。


ミュアさんより少し遅れて息を切らせながらルリアルさんのとこに辿り着くと、ミュアさんを前にルリアルさんは泣いていた。


ミュアさんよ、一体何をした。

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