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異世界旅行譚 六人が行く!  作者: 朝宮ひとみ
旅の始まりから
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乗鳥牧場で特訓 1

 宿代が尽きてきたことから先輩冒険者に『護衛任務』をもらった六人と一体。古き良き冒険者の時代のような村リンドをいったん離れてやや西方に戻ります。


 先輩冒険者のしぐさや装備、持ち物を見ていて、六人は己の経験の足りなさを実感しました。

 ゲームのように数字でぴこっと表示されるものではないですが、かつてあった冒険者協会の制度では、倒した魔物や動物の一部を持ち帰ることで点数をカウントし、レベルを付与していました。つまり、経験をどれだけ積んだかという目安はあるわけです。


 リンドでは同様の制度を維持していて、遺跡の踏破や依頼の達成によってレベルを上げることができます。


 護衛依頼をくれた先輩方は、後輩が育つのがうれしいのか冒険の話をいろいろと六人と一体に聞かせました。そして、一年旅をしていて夏樹がまだ一人で乗鳥に乗れないということに驚きました。雪深い北方や灼熱の砂漠を行くなら、必須だよ。そう言いながら先輩方は中規模の町まで一行を引っ張っていきました。




 着いた町ギルは、乗鳥の大規模な飼育舎がいくつもある町です。中級以上の学校には必ず飼育員のコースがあり、世界中へ散らばって技術を伝えます。観光用の牧場で載せてもらうこともできますし、乗るための訓練用の専用の牧場もあります。


 先輩方は依頼の報酬を相場より弾んでくれた上に、牧場に連れて行って申し込みをしてくれました。早速やりましょう、と係りの人は言いました。彼女の名前はメリアと言います。メリアに連れられて、夏樹はいろいろ質問されました。


 夏樹は、自分である程度手綱を操ることはできるようになっていましたが、この時点では誰かに鳥の背に載せてもらわなくては乗れないのです。メリアは、夏樹に乗り方と緊急時の合図の仕方を教えればいいかしら、と五人に尋ね、確認しました。話しながら飼育舎へ向かいます。




 まずは乗鳥の選び方です。乗鳥はいくつか大きな系統があって、体の大きさや、向き不向きなど、違いがあります。レンタルの店で借りるときは基本的に店員が在庫から見繕うのですが、自分で選ぶ人も珍しくありません。


 一番大切なのは相性です。乗る前に顔を合わせたとき、気持ちが高ぶっていたり機嫌が悪かったりという理由もないのに足や首や胴体を振るなど、暴れることがなければ大丈夫です。近距離なら多少小さくてもいいし、しっかり乗ることができれば多少大きいのは問題にはなりません。


 体格は、またがったときに足がおなかをたたくくらい。乗る人の足が鳥の足にかかってはいけません。乗っている時に足がぶつかってしまうと鳥が転んでしまうし、鳥が小さすぎて乗る人の重さに耐えられません。お店のものはあぶみを見せてもらって長さから推定したりもできます。乗鳥のあぶみは、馬のものより少し位置が高めで、比較的深めに足をかけるようになっています。


 夏樹はまず順番に鳥を見て、目が合った個体の場所に入らせてもらいました。最初の個体はそっと手を伸ばしたところで首をふって手を払ってしまい、あとは触ろうとしてもふいっと横を向いてしまいました。

 次に目を合わせた個体は、既にお客さんが決まっている札がついていて、メリアが近づけさせてくれません。三頭目でようやく、程よい鳥が見つかりました。


「それじゃ、この子で説明するわね。」


 メリアが入ってきて、手綱を持ちました。夏樹についてくるように言うと、軽く手綱を引いて、鳥を歩かせました。建物を出て、広い野原を少し入ったところで鳥を止め、メリアが手綱を渡しても大丈夫が聞きました。手綱を引くのは大丈夫と夏樹の答えを聞いて、メリアは夏樹に手綱を渡して、乗鳥の左か右に立つように言いました。


「どっちから乗ってもいいんだけど、アーシェは乗馬が多いみたいだから、左がいいかな。」


 乗ったことないよと夏樹が言うとメリアはふむふむと頷きました。


「とりあえず揃えて左でやるね。」

次回は明日20日に投下します。

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