眠れない夜にお話をする 2
目が合うと少し恥ずかしいかも、と思いつつ、タリファは話を続けます。
仕方なくそのまま商人についていったけど、計算は苦手だし、売り物を任されてもだめにしたりで、あたしは街道を下った先の国で見捨てられた。
こんな風に野宿してるときに、薬で眠らされて、町のそばに転がされたんだと、目が覚めてから知ったよ。介抱してくれた人が薬師で、診察してくれたんだ。
お礼も何もできないからって、料理とか掃除とかいろいろしたんだ。でも、すぐにやんわりと言われちゃった。その人は薬師をやめるところだったんだ。あたしがいたら、その人は食べていけなくなってしまう。
最後の日、あたしが作ったスープを食べた薬師の人に紹介されて、近所の若いのと旅に出ることになった。碧眼の女の子と、赤眼と東方のハーフの男子と、多口種の男と、あたしと、隣町の金髪の女の子。
五人で旅を初めて、ちょっと問題が起こって金髪の子と碧眼の子が、多口男とはこれ以上一緒にいられないってなってさ、碧眼の子は旅をやめて、金髪の子はその時居た町に住むことになった。そのあとどうなったかはわからない。
男は最初は残って旅を続けるあたしとハーフ男子を追いかけてきたけど、理由が理由だけに、嫌だった。これから女性が加わるたびに問題になったら困るしさ。逃げるように急いで遠くへ行って、その先で、ハーフの子は病気で死んでしまった。
それからも旅を続けて、時々長期滞在もして、不器用なりに仕事を覚えてやってきたとこであの商人と再会して、また一緒になったんだけど、やっぱりうまくいかなくて。
向こうには家族とか居たし仕方ないかな。それで数年前リャワに置いて行かれたってわけ。
話の区切りでタリファがフリューシャのほうを向きました。彼は少し驚いたように瞬きをして、続きを促しました。
「ん、ああ。あー……だめだねえ。あたしの身の上話なんか真剣に聞くんじゃないよ。……少しでも眠くなってくれたらって思ったんだけどねえ。」
タリファは声の大きさが普段に戻っている状態ではあ、と大きくため息をつきました。フリューシャは意図が分からず、不思議そうに彼女を見つめるのでした。
そのあと寝落ちするまで、フリューシャは交代のたびに皆に眠るコツを聞いていましたが、彼にとってよい案を持っている者はいませんでした。
次回は月曜日か火曜日(24~25日)に投下します。