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異世界旅行譚 六人が行く!  作者: 朝宮ひとみ
旅の始まりから
22/171

宣託による選択によって洗濯 6

 自前の弓を持たないクリスティンとシュピーツェは立会人に連れられて武器屋へはいった。立会人から説明を受けた武器屋の主人は早速二人のいろいろなサイズを測ったり、木や皮や弦を選んだりしはじめた。それから、店頭にある弓から合うものが選ばれ、あとは試しに打ちながら程よいものを選んでもらう。




 空き地には、打つための場所を表す四角が書かれ、百メートル以上離れた位置に三つ、的が書かれた板が建てられていった。そして、二人が戻った時には、シューウィアは既に四角の位置に立っていた。


 的には、三重の円と、その真ん中に点が書かれている。シューウィアは慣れた手つきで素早く三本連射した。一メートルくらいの長さの、弓道の弓より短めのもので、故郷の木で出来ている。一番小さな円の内側に二本、円を描く線の上に一本。シューウィアは小声でやった、と漏らしつつ交代した。


 クリスティンは何とか円内に一本入ったが、次は外し、三本目は板の端をかすった。届く自信がなくて引くことができるぎりぎりの大きさにしたのでコントロールがおろそかになったようだ。シューウィアの的を見て残念そうに従者のもとへ戻っていった。




 最後にシュピーツェが自信なさそうにため息をつきながら四角の中に立った。先に打った二人の的をちらりと見て、それから弓を構えた。

 こちらも一メートル強の、このあたりでは珍しい、皮や木を張り合わせた素材の弓だ。ちなみに、矢は三人とも同じである。


 最初の一本が放たれた。かつっと乾いた音を立てて矢が的に突き刺さり、おおお、と周りから声が上がった。点の中央から少し外れた位置に矢が刺さっていた。

 シュピーツェはゆっくり深呼吸してから次の矢をつがえ、呼吸を整えた状態で放った。見ていたクリスティンとシューウィアは怖くなった。ど真ん中に矢が突き刺さったのだ。


 周りの歓声を無視して、シュピーツェは同じように三本目を放った。二本目の矢に連なるように刺さった。連結された二本の矢を見てクリスティンは大げさに悔しがり地面をたたいた。シューウィアはがくっとひざを折り、その場で突っ伏してしばらく動かなくなった。




 五人と一体は、弓がつかえるってなんで黙ってたんだよ!と一斉につっこんだ。短い弓を狩りに使おうという話が出たことがあっても、いつもフリューシャとダージュが使う前提で話が進んでいた。


「僕なんかよりずっと、すっごい狩人になれるよ!」

「俺より断然上級者じゃねえかよ!!」


 二人がシュピーツェに縋って延々と賛辞と文句をぶつけているのを、貴族と若者の仲間は悔しさを込めて見つめるのであった。




 最後に、シュピーツェが提案した競技が行われる。内容的に夜に行うものでない限り、決闘は日が沈むと休戦となる。


「第三の試練。三人すべてが共に森へ入り、隠れた的に魔法か飛び道具を撃つ。最も点数の高い者を勝者とする。」


 読み上げた見届け人が時間のことをシュピーツェに尋ねると、彼は見届け人に耳打ちした。


「何時間も、あんたたちは走り続ける、あるいは、潜み続けられるのか?」


 見届け人はいいえという仕草を大きく見せた後、三十センチ四方くらいの的を持った立会人たちを近くの森へ向かわせた。見届け人が持つ紙には、


・的の合計を知らせない

・動きは個々人にまかせる


などと指示が書かれている。ある程度移動したところで、森から立会人の一人が連絡のために出てきて大きく手を振ると、一同はさらに森へ近づいた。

次回は15日(月)もしくは16日(火)に投下します。


あまりに熱いと、この世界の涼しい地域(まだ未登場の国)に逃げ込みたいと思ってしまいます。

もちろんできないので、適当に散歩に行ってスーパーとかショッピングモールで涼んでいます。

疲れていると寝具店やコーナーで寝たくなります。


皆さんもうまく暑さを避けて過ごしましょう。

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