再会
フリューシャたち六人と一体は、喫茶店を離れ、集落の者にあいさつし、フリューシャが旅を始めたときに最初に立ち寄った町リャワまで買い出しに出かけた。
リャワは西にあるから、道を引き返すというか、予定していた東へ向かうとは反対になってしまう。しかし、東側でそこそこ買い出しできるような市場までは、集落から一週間以上かかってしまう。森の中で乗鳥を急がせて怪我をさせたら非常に不便になる。
午後、リャワから出ようというところで、大きな荷馬車を操る商人に出会った。商人は、森を抜ける道案内を探していたが、長耳族に知り合いや当てがないので困っていたのだった。そこに長耳族とほかの種族が一緒にいるのを見かけて、リーダーであるフリューシャに声をかけたわけである。
断る理由もないし、荷物を多少運んでもらうのを条件に、道案内と護衛を引き受けた。
「リャワの次の市場まで、道も分からないし、何週間もかかる道のりをそんな状態ではとても進めないから仕入れもできていないんだよ。ありがとう。これで、安心して仕入れができる。」
商人は一時間しないうちに戻ってきた。お礼を兼ねて、と新しく発売したばかりの携帯食糧を買ってくれた。アーシェの知識を利用して味や食感が向上したもので、値段がまだ倍以上するから普段なら目にも留めない代物だ。値段が高いのは性能もあるが、地方的にまだまだ流通していないというのももちろんある。
「これは温存しておいて、とりあえずは僕の集落まで行こう。あとは一日ずつ集落と道を確認しながら行けば難しくないですよ。でも、この荷車は森の中を通るには難しいから、もう一回り以上小さいやつに変えてこないと。」
商人は追いかけるようにフリューシャの後ろをついていった。行き先は荷車屋である。
フリューシャが再び集落を出発し、隣の集落で次の集落への道に詳しい人を探していると、ちょうど東から案内できる人が来たと知らせる者がいた。
支度を整えて、宿のそばの喫茶店で待ち合わせをしていると、やってきた長耳族の青年はフリューシャにとっては見覚えがある者だった。
「久しぶり、って『人間』なら思うんだろうかね。やあ、リューシャ、元気そうだな」
言いながら歩いてくるのは、巡礼のときに一緒になったエルージャだった。
「この先の、先の先くらいが俺の故郷さ。それに、俺なら次の案内人に交代しなくても東の端までいけるぜ。」
ありがたいよ、と巡礼組三人はエルージャと手を取り合った。それから、食事をしながら、フリューシャたちは巡礼の時の話を交えつつ、エルージャを残りの三人と一体に紹介するのであった。