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三人と、二人と一体 2

 三人が、予定していた店をチェックして、街の北側の関所から出ようとすると、背後から呼び止める声がした。タリファとテトグが見送りに来たのだ。二人とも、三人が旅している間に分かれてしまうかもしれない用事が出来たという。


「あんたたちがここへ戻っても、私たち揃わないかもしれないからさ。ちゃんとした挨拶をしておきたいんだよ」


 タリファがいつになく、照れ臭そうな表情で言う。身長差のせいで隠れられていないテトグがにこにこしている。フリューシャが両手を差し出すと、夏樹も両手をすっと差し出した。残りの三人も、そっと差し出して重ねる。そこにハユハユが着地する。


「また会う日まで、元気でやるんだよ」

「サヨナラなんて言わないよ。また会おうね」

「お前たちが戻るまでに、シュピーツェのことを見つけておくのだー」


「行ってきます、みんな」

「待ってなくてもいいぜ。なんなら、故郷でいいさ」

「えっと、僕も、二人の家で待つのがいいと思うよ。そのまま、みんなでご飯食べたりとかしたいし。」


 五人は抱き合って、別れを惜しんだ。三人の乗鳥が空気を読まず、くー、くるるるー、と元気に鳴いた。


「こうなるから、避けてたんだよお」


 フリューシャと夏樹が泣き始めている。ダージュとタリファがなだめ、泣き止んで顔をぬぐってから、それぞれ分かれて歩き始めた。




 関所の門は簡素だ。柵の一部をちょっと補強と装飾した程度だ。見ようと思えば、二人と一体が去っていくところを見ていることができる。

 三人はそうせず、昔作りかけたままの広い舗装道路を進んでいった。まっすぐ北へ向かっていて、仕入れた情報に寄れば、五キロメートルは進める。その先は舗装がないが、ある程度はならされた状態が続いているはずだ。そのあたりまでは、道から外れない限り、何も見なくても方角を確かめなくても進める。


 三人は、しばらく振り向かなかった。何となく振り向いたとき、街はまだ見えていたが、三人には見ている以上に遠く感じられるのであった。

次回は明日投下します。

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