59.プレイスタイル
100/7/27(水)10:00 ファーの街 冒険者ギルド
冒険者ギルドで因縁をつける男たち。
連中は、俺と同じプレイヤーだ。
異世界人以上の成長速度を誇り、チートを生み出すスマホを携帯するプレイヤー。
悪意を持ってこの力を使うなら、異世界に与える悪影響は測り知れない。
そして、どうやら連中には何やら悪意がありそうだ。
勇者である俺には分かる。そう。見ただけで分かるのだ。
男である時点で俺とは相容れない存在。
加えて、連中はイケメンですらある。
俺のハーレムを侵しかねない危険な存在。それがイケメンだ。
倒すしか他に道はない。
(カモナー。連中のレベルと職業を教えてくれ)
(えーと……ちょっと待ってよぉ……)
カモナーから聞き出した連中の戦力。
6人全員がレベル30だという。そのレベルの合計は180。
職業は、侍大将。ごろつき将軍。山賊大名。忍者マスター。怪盗子供。女たらし名人。
職業名だけではよく分からんが、手強そうではある。
対するこちらは、俺が30でサマヨちゃんが40。
カモナーが20でアルちゃんが25だから、レベルの合計は115。
あと俺の頭上にファンちゃんがいるが、レベルが分からないので除外している。
180 VS 115。
単純戦力としては、俺たちが不利に思える。
勇者、危うきに近寄らず。という。
だが、相手が同じプレイヤーとなれば話は別だ。
勇者は勝ち目の乏しい戦いであっても、戦わねばならない時がある。
チート能力者が6人。
プレイヤーの成長力。スマホのスキル習得能力。
共に時間が経てば経つほど、その危険度は跳ね上がる。
それが6人も揃うなら、いずれ国すら滅ぼしかねない存在となるだろう。
ならば、民のため。国のため。平和のため。
なにより、奴らのスマホを奪えば、俺はますます最強になるというもの。
最強を目指すなら避けては通れない戦い。
幸い連中は俺たちの存在に気づいていない。
俺がやることは単純。先手必勝。
レベルMAXのパーティが、不意打ちからの攻撃で全滅するなど、ゲームではよくある話。
最初の一手で勝負を決める。
逆に言えば、決められなければ俺が不利になる。
そういうことなら──
サマヨちゃんの右腕を引き抜き、魔力を込める。
勇者最大最強の奥義。
いきなり不意打ち勇者アタック。
これしかない。
(ふええ? ユ、ユウシャさんどうするの? ここギルド内だよぉ)
確かに。ギルド内で暴力沙汰は禁止されている。
以前もギルド内で武器を振るった罪で、ヨッパーが捕まっている。
今頃どうしているのだろうか。
下手すれば、俺もヨッパーの二の舞になるわけだ。
だとしても、勇者は自分を犠牲にしてでも成さねば成らない時がある。
(カモナー。静かに。離れていろ)
カモナーを巻き込まないよう。
仮に捕まっても、カモナーが無事なら保釈金とかで何とかなるだろう。
世の中金だ。きっと異世界でも金があれば何とでもなる。
「あのーお客さん? ギルドで武器を取り出すのはちょっと困るんですよー」
魔石を預ける受付カウンターの女性が困惑気味にいう。
「大丈夫。俺は客ではない。ギルドの名誉役員で治外法権だから静かにしていてくれ」
そもそも俺は役員なんだし、何をやってもノーカンのはず。
権力は使ってなんぼ。
文句を言われても、役員特権でゴリ押せば大丈夫だ。
が、俺が動くより先に、連中が動きをみせていた。
「タロくーん。もういいっしょ?」
「そうそう。どうせ頭悪いんだし、難しいこと考えても無理だよね」
「はーったく。だから言ったろ? 領主やギルドマスターを誘い出すとか面倒なことやりたくねーって」
これまで2人のやり取りを眺めていた残る5人が、一斉に口を開き始めていた。
「いや、しかしだな。相手はいわゆる冒険者ギルドだぞ? サンヤ村とかいうチンケな村とは規模が違う。全員を相手にするのは……」
「そもそもさあ。逃げた村人っておめーの女だろ? おめーがしっかり管理しねーからだろ」
「そうそう。自分の不始末は自分でしないとねー。僕らは遊びに来ただけだし」
「ギルドってもさあ。なんとでもなるっしょ。俺らチートだし」
何やら仲間内でグダグダ言っているが、気にしない。
俺は連中に気づかれないよう魔力を込める。今はそれに集中するのみ。
「わかった。わかった。もう好きにしろ」
「へっ。んじゃあ。俺はこのお姉さんもーらいっ」
そう言って男が、ごろつき将軍がお姉さんに手を伸ばす。
「きゃっ。な、何をするのですか!」
とっさに身体を捻って、その手をかわすお姉さん。
「おおっ? なんだこの女。ただの女じゃねーぞ」
「あなたたち。どういうことですか!」
ごろつき将軍から距離を取り、その目を睨み付けるお姉さん。
うーむ。さすが迫力がある。
「へっ。どういうことも何も」
だが、お姉さんが睨み付ける男。
ごろつき将軍とは別の男が、いつの間にかお姉さんの背後に回り込んでいた。
「こういうことっしょ」
「きゃっ!」
背後から男に組み付かれるお姉さん。
なんてことだ。お姉さんが連中に捕まってしまった。
ギルドマスターにすら気づかせない静かで素早い動き。
こいつが忍者マスターか。
「や、やめなさい! あなたたちは、いったい?」
「うほっ。やわらけー。サンヤ村のような田舎の女とは違うっしょ」
そういって、男は背後から抱えるお姉さんの胸へと手を伸ばしていた。
むむっ。俺のお姉さんになんてことを!
忍びの技を不埒な真似に使うとは、許せん。
だいたい忍者のくせに語尾にござる。をつけないとか素人かよ?
「離しなさいと……言っているでしょう!」
叩きつける声とともに、お姉さんは揉みしだく腕をつかんで背負い投げる。
が、忍者マスターは身軽に受け身をとり、距離を離していた。
「おおっ。ちょ? 本当、なにこの女? 生意気でしょ?」
忍者マスターを振りほどいたとしても、周囲を取り囲まれたままのお姉さん。
「おまえらさあ。女の扱いってのは、こうするもんだぜっ」
背後にいた男、山賊大名が、お姉さんの後ろから強烈な山賊キックを繰り出した。
死角からの攻撃にも関わらず、身を滑らせてすり抜けるお姉さん。
逆に軸足を払うと、山賊大名を地面に押し倒していた。
「ぐぼおっ」
合気道みたいなものか?
武器の使用を禁止しているギルド内においては、素手こそが最強の武器。
息が詰まったのか、山賊大名は潰れたような声をあげていた。
シュッ
懐に手をいれた忍者マスターが、手の内から何かを投擲する。
するりと身をかわすお姉さんだが
ドシュッ
「うぎゃあー!」
お姉さんが身をかわした背後。
室内にとどまる冒険者の身体に、手裏剣が突き刺さっていた。
手裏剣。暗器か。
手ぶらだと油断していたが、武器を忍ばせていたようだ。
忍者マスターから続けざまに投擲される手裏剣。
「くっ」
お姉さんは身をかわすのではなく、手裏剣を指で挟み止めていた。
さすがはギルドマスター。高度な芸当だ。
だが
ドカッ
「あぐぅっ」
連中に囲まれた状況で行う芸当ではない。
動きを止めるお姉さん。
その背後から、ごろつき将軍の蹴りが叩き込まれていた。
なんて野郎だ。まるで、ごろつきそのもの。
遠慮も何もあったものじゃない。手加減抜きの本気の蹴り。
反吐がでそうだ。女性相手にしてよい行為ではない。
俺とは趣味が相容れない。
しかし、先ほどの攻防で、俺にもお姉さんの弱点が分かってしまった。
避ければ他の者に被害がでると思ったのだろう。
投擲される手裏剣を指で挟み止めたお姉さん。
それは強者相手にみせて良い隙ではない。
何かを守りながら戦うのは、強者にのみ許された行為。
お姉さんのレベルは高いが、それは個々でみた場合の話。
連中6人のレベル合計180に対して、お姉さん単独だと40でしかないのだ。
「くっ……けほっけほっ」
蹴られた脇腹を抱えてなお、抵抗する構えをみせるお姉さん。
「へっ。どうしたよ? 可愛い構えを見せちゃって」
カウンターを狙っているのか、ごろつき将軍の挑発に身構えるお姉さん。
ドカッ
その背後から、山賊キックがお姉さんを蹴り飛ばしていた。
一度優劣が決定したなら、それを覆すのは難しい。
だからこその先手必勝だというのに、まさか連中に先を越されるとは。
「あー痛てえ。でもな、いったとおりだろ? 女なんて思いっきりボコればいいっての……な!」
ドカッ
うずくまるお姉さんを再度、蹴り飛ばした山賊大名は、懐のスマホから大きな斧を取り出した。
「ぐっ……あなた、魔法バッグ持ちなの?」
なるほど。スマホに荷物を収納すれば手ぶらでも問題ない。
こんな板切れのようなスマホが、魔法バッグだとは気づきもしないだろう。
領主と会うにしても、身体チェックを素通りして武器を持ち込めるわけだ。
だが、山賊大名の振り被る大斧は、お姉さんではなく、先ほど負傷した冒険者へと向けられていた。
「や、やめなさいっ!」
ドカーン
冒険者の顔の脇。
大斧は、その地面を大きく打ち砕いていた。
ギルドの建物は、魔物の襲撃にも耐えられるよう、魔法的防御が施されている。
その強固なはずの建物が、床が男の一撃により脆くも崩れていた。
「騒ぐんじゃねえ。次はコイツの頭に突き刺さるぜ?」
「くっ」
人質を取られて、なす術を失うお姉さん。
その様子を見た職員の一人が、出口へ駆けだそうとする。
が、すでに出口を塞ぐ者がいた。
「だめだめー。ここは通行止めだよ」
そう言って男は、怪盗子供は手にする杖を職員の首に当てた。
バチバチッ
雷魔法? スタンガンのようなものか?
だからといって、首筋に当てるのは危険すぎる。
音もなく崩れ落ちる職員。下手すれば死にかねないぞ。
「へっ。いったろ? ギルドっても大したことねーってよ」
朝の混雑を過ぎた時間帯。
前線で戦う冒険者は、すでに旅立った後だ。
今、ギルドに残るのは、薬草採取や荷物運びなど、荒事には向かない者ばかり。
目の前の暴行に怯え、すっかり声も出せないでいた。
そんな中、一人武器を構える俺の姿は目立つことこのうえない。
とっさに買い取りカウンターを乗り越え、その内側へ。
女性の足元へと隠れるように、俺は座り込んだ。
奴らが油断している隙に決めるつもりが、先手を打たれてしまった。
もう少しのんびり話していてくれれば、すぐに終わったものを。
あいつら我慢というものを知らないのか?
これだからゆとり世代は……
(ちょ、ちょっと。お客さん。困りますー。というかーあれ、あれ何とかしてくださいよー。あなた冒険者でしょー?)
ぶつぶつ呟く俺の耳に、女性のささやく声が降りかかる。
先ほどまで騒ぎを悠長に眺めていた女性が、怯えた声で助けを求めていた。
だからいったじゃないか。いつ飛び火しても知らないぞと。
(静かに。今対策を立てている最中だから見つからないよう隠れさせてくれ)
不意打ち最強勇者アタックを放つには、もう少し時間が必要だ。
俺が魔力を溜める時間が。集中するための時間が。
そして、なにより連中が隙を見せる瞬間が必要だ。
(えー。冒険者が女の後ろに隠れるって、おかしいよー。早く助けてよ)
(黙れ。俺はギルド役員でお前の上司だと言ったろう?)
上司が部下を捨て駒にするなど日常茶飯事。
何も問題はないというのに、女性は軽蔑したような目で俺を見下ろしていた。
まったく。これ以上に騒ぐならボーナスを無くすぞ?
俺だってお姉さんの危機に飛び出したい気持ちはある。
だが、勇者は常に冷静でなければならない。
真正面から飛び出しても、お互いのレベル差から押し負けるだけ。
強者相手に勝利を得る。そのためには捨てねばならないものがある。
はやる気持ちを抑えて、俺は女性の足元に隠れて魔力を溜めることに集中する。
勇者のプライドを捨ててでも、今は見つかるわけにはいかない。
しかし……この女性、なかなか良い足をしているな。
「じゃ、ギルドマスターの部屋にお邪魔するか。もしもーし」
ドンドンドン
受付カウンターを乗り越えた侍大将が、ギルドマスターの部屋と書かれた扉をノックする。
ガチャリ
「しつれいしまーっす。って、誰もいねーじゃん?」
それはそうだ。
倒れているお姉さんがギルドマスターなのだから当然だ。
「ねー。おねーさん。ギルドマスターどこなの?」
「くっ」
身体を起こしたお姉さんが周囲を見渡すが、室内のギルド職員はみな怯えたような目でギルドマスターに頼るばかり。
今や冒険者も職員も、誰もが抵抗する気力を失っていた。
いや、仮に抵抗したとしても返り討ちにあうだけだ。
ギルドナンバー1のチェーンさんに加えて、ギルドマスターまでもが倒されたのだ。
今のギルドに、連中に対抗できる者は存在しない。
俺の他には、だ。
こうなれば、何があろうと俺が見つかるわけにはいかない。
俺が負けたのでは、連中の悪事を阻む者がいなくなる。
俺は女性の足にしがみつくよう、さらに身を隠すことに専念する。
(えっ? ちょ、ちょっと。なにしてるんですかー)
(静かに! 連中に見つかるぞ!)
女性が慌てるのも無理はない。
連中に目をつけられれば、なぶられるのだ。
「あっそっ。そういう態度なんだあ? じゃあ……ねー。そこの君。君だよ。ギルドマスターどこ?」
怪盗子供に睨まれ、腰が抜けたように座り込む職員。
その髪をつかんで強引に立ち上がらせると
ドカッ
鼻柱へと拳をめり込ませていた。
「ひっ。ひいぃー」
「あははっ。お姉さんが答えないんじゃしょうがないよね。他の人に聞くしかないもんね」
怪盗子供が、さらに拳を振り上げる。
「やっ。やめて、やめてください。ギ、ギルドマスターなら、そ、そちらの女性がそうです……」
職員は鼻から血を、目から涙を流しながら、お姉さんを指さした。
連中は一斉にお姉さんを振り返る。
「あれ? あれれー。どうりで強いわけだよね」
「……何が目的なの? 捕まえた冒険者は無事なの? 領主の斥候はどうしたの?」
壁に手をついて立ち上がろうとするお姉さん。
「目的? 目的ってそらあ……こうすることだよっ」
ごろつき将軍は、お姉さんの腕をつかんで引き寄せると、その唇に無理矢理口づけをした。
「へっ。異世界ってのは最高じゃねーか。やりたい放題だぜ」
「本当ゲームみたいだよねー。特にオープンワールドの奴」
「そうそう。あれで街の住人とか銃で撃ちまくるの最高っしょ」
ほう。どうやら連中。俺と同じでゲーム好きのようだ。
だからだろう。
ここまで生き残っているのも、レベルが上がっているのも。
いち早くゲームのような異世界に順応したようだ。
「つまりー俺ら暴れたいだけよ。ゲームのNPCじゃ反応がツマランからな」
「やっぱゲームやるなら、好き勝手に悪いことするのが最高っしょ」
「現実じゃこうはいかないもんね」
無理矢理の口づけから、顔を引き離したお姉さんが、男の頬を打つ。
バシッ
「何を……何を言っているのです! 今すぐ蛮行を止めなさい」
「へっ。やっぱ良いねえ。この反応。NPCじゃこうはいかねーもんな」
バシーン
拳を固めたごろつき将軍は、思い切りお姉さんの頬を打った。
なるほど。
つまり連中は、この異世界をゲーム感覚で楽しんでいる。
そういうことか。
だから平気であのようなことができる。
確かに最近のゲームは自由度が増している。
現実にあるような街を再現したゲームも増えており、その街中で様々なことができるのだ。
例えば、物を盗んだり、人を殺したり、建物を壊したり。
果ては、追いかける警官を逆に殺すなど。
いわゆる悪行プレイというやつだ。
ゲームであれば罪悪感もない。
実際に逮捕されることもない。
現実では経験できない出来事を体験できるのが、ゲームの良いところだ。
なら、俺と同じじゃないか。
レベルやステータスの存在する異世界。
俺もゲームのような感覚で楽しんでいることは、否定できない。
だが、俺と連中で決定的に異なることがある。
床に倒れ込んだお姉さん。
男はその身体に馬乗りになると、上衣を剥ぎ取ろうとしていた。
連中は、現実ではこんなことはできないといっていた。
そうだろうか?
毎日のニュースを見ればよく分かる。
現実では、暴力も殺人もありふれた行為でしかない。
それは、もちろん強姦もだ。
顔を腫らして血を流すお姉さん。
気力を失くしたのか、されるがままであった。
もっとも、気力があってもどうしようもない。
2人の男が両手両足を押さえているのだ。
そんな現実でありふれた行為。
ゲームの中でまで、異世界に来てまでやることだろうか?
他の職員だろう、嗚咽を漏らす音が室内に響き渡っていた。
それに比べて、善行はどうだ?
悪の組織に、ヤクザに、マフィアに1人で敢然と立ち向かう。
そんなニュースがあるのか?
いいや。そんなことは夢物語にすぎない。
現実で対抗するなら警察や軍隊でもないと無理な話。
一個人が歯向かえば、銃で撃たれて即死するだけだ。
それどころか、街ゆくチンピラ1人にすらなすすべがない。
今も、今日も、明日も、現実世界から犯罪がなくなることはない。
そして、現実の俺にできることも何もない。
連中のうち周囲を警戒していた2人。
侍大将と女たらし名人は、警戒も疎かにその様子を眺めていた。
だから。
現実では味わえない体験を。
ゲームでしか経験できない体験を。
大概のゲームで主人公が正義の味方なのも、そのためだ。
そして、異世界で俺が目指すのも、そんな未知の体験。
手にする骨が漆黒の闇に染まり、魔力の充填が完了する。
今、その時が来た。
骨を手に、俺は勢いよくカウンターを飛び出した。
先手必勝。不意打ち上等。
俺が放つは正義の一撃──
「勇者アタアッッックウウウ!!!」
ドカーン
警戒も疎かに背中を向ける男。
侍大将の背中に渾身の一撃をぶち当てる。
グシャッ
振るう骨は侍大将の身体を欠片に変え、室内に撒き散らす。
「んなっ! な、なんだあ?!」
手元で骨を1回転。もう1人!
「しねええええ!」
ドカーン
返す骨で、女たらし名人の身体をぶち撒ける。
グシャッ
都合2名を仕留めた俺は、クルリと骨を眼前に構える。
「そこまでだ。悪党ども。ここから先は、この最強勇者がお相手いたす」
これが現実なら、警察に連絡するのが精いっぱいだろう。
だが、今は違う。
俺が異世界で目指すのは、どんな悪をも駆逐する善行プレイ。
最強勇者無双。
だから、俺は異世界で最強の勇者となる。




