表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/96

56.レベル診断


 100/7/24(日)19:00 クランハウス


 ゴブリン獣の撃退から一夜明けた翌日。

 クランメンバー全員でゴブリン獣の解体を行う。


 朝から晩まで作業したおかげで、ようやく周辺全ての解体が終了した。


「おつかれさま。みんなのおかげで、クランハウスを守ることができた。ありがとう!」


 今夜は、勝利を祝して庭で焼肉パーティだ。

 そればかりの気もするが、みんな喜んでいるし良いだろう。


 焼肉を食べながら、俺は片手でスマホの画面を開く。

 今回の戦闘ではかなりのゴブリン獣を退治した。

 はたして俺のレベルはどうなったのだろう?



【ステータス】


 名前:ゲイム・オタク

 種族:人間

 称号:勇者

 職業:勇者

 レベル:30 (11 UP)

 HP:1689(1094 UP)

 MP:97  (61 UP)

 攻撃:126 (79 UP)

 防御:144 (94 UP)

 敏捷:126 (79 UP)

 魔攻:97  (61 UP)

 魔防:108 (67 UP)


 ポイント:3(3UP)

 最強スキル:【勇者☆☆☆(UP)】

 武器スキル:【骨3(UP)】【片手剣1】【両手斧2(UP)】【盾1】

 強化スキル:【体力1】【魅力1】【植物1】

 他スキル :【身かわし1】【投擲1】【騎乗1(NEW)】【植物知識1】



 少し、いや、かなり数字がインフレしてないか?

 ステータスの上昇量が半端ないのだが、大丈夫か異世界?


「うーむ」


 俺が強くなったのは間違いないのだが、よく分からなくなってきた。

 これまでステータスが1上がっただけで喜んでいたし、それが普通だと思っていたのだが、今回のステータスの伸びはどういうことだ?


「ん? ユウシャさん、どうしたのぉ?」


 スマホを手に唸る俺のもとへ、カモナーがやって来た。


「いや、俺のステータスなんだが、高いのか低いのか分からなくなってきた」


 レベル19から30に上がる間で、俺のステータスは倍以上に伸びている。

 以前サマヨちゃんの敏捷が100を超えた時、もう敵はいないと思ったものだ。

 それが今や、俺の魔攻以外のステータスは全て100を超えている。


 今の俺に比べれば、少し前の俺はゴミ同然。


 100が高いのではなくて、もしかして、今までの俺は雑魚だったのか?

 そんな雑魚にもかかわらず、ゴブリン軍団と戦おうとした命知らずだったのか?


 いや……実際にゴブリン軍団には勝利した。

 Bランク冒険者との決闘にも勝っている。

 雑魚だったはずはないのだが……


「ほえー。どのくらいあるの?」


「ああ。見てみるか?」


 隣に立つカモナーにステータスを見せる。


「ふんふん……え? えええっ? ユ、ユウシャさんどういうことぉ?」


 スマホを見るカモナーがすっとんきょうな声を上げる。


「ユウシャさんのステータスおかしいよぉ。HPが1689とか多すぎぃ!」


 やっぱり高いで間違いないよな?


「だが、他人のステータスが見れないから比較しようがないんだよな」


「うう……僕のステータスと比べるんだよぉ」


 差し出されたカモナーのスマホからステータスを見てみる。



 名前:カモナー・アンドウ

 種族:人間

 称号:美少女サモナー

 職業:サモナー

 レベル:20

 HP:290

 MP:110

 攻撃:30

 防御:30

 敏捷:40

 魔法攻撃:40

 魔法防御:40


 ポイント:2

 主力スキル:【召喚2】

 武器スキル:【短剣1】

 魔法スキル:【水魔法1】

 他スキル :【調合1】【植物知識3】

 【お菓子作成1】【投擲1】【交渉1】



 カモナー……よわっ。

 いや。俺もレベル20の頃は似たようなステータスだった。

 ということは、カモナーが弱いのではない。

 レベル30になった今の俺が、強すぎるだけだ。


「ヤバイな。やはり勇者は最強だった」


 これにはさすがの勇者も笑みを隠せない。


「うう。僕もたくさんレベル上がったのになあ」


 確かに。あまり戦っていないのに結構レベルが上がっている。

 クランハウスの防衛戦。

 参加したメンバー全員が、大量に経験値を貰えたのだろう。


 そうなると他のメンバー。

 生徒たちもレベルが上がっていそうだが、スマホを持たない生徒たち。

 彼女たちのレベルを知ることはできない。


 まあ良い。

 俺ほどの勇者となれば、スマホなど無くとも問題ない。


「ふむ。カモナー少し筋肉が付いてきたか?」


「ちょっ。ユ、ユウシャさん恥ずかしいよぉ」


 季節は夏。

 半袖の上衣からのぞくカモナーの腕を揉んでみる。

 こうして体つきを調べれば、肉の付き具合で鍛え具合が分かる。


 ほう。このさわり心地がレベル20ということか。

 なら──


 俺は近くで焼き肉を食べる生徒の背後へと近づく。


 モミモミ


「うわっ。あれー勇者様。わたしの身体さわって、どうするの?」


 生徒の中でも年少の子の身体つきを調べてみる。


 うむ。孤児だけあって、肉付きは良くない。

 腕をさわるだけでは、よく分からない。


 もう少し肉の付いたところ……例えば胸などはどうだ?


「やん。くすぐったいよー」


 うっすらと肉付きを感じる。

 うーむ。この手ざわりなら、Aカップにはまだ届かないか。

 じゃなくて、たぶんレベル10くらいだろう。


 思えば、学校でも身長測定などの健康診断を定期的にやっていた。

 こうやって生徒の成長を測定するのも重要。そういうことか?


 分かった。それなら、俺が生徒たちを測定する。


「きゃっ。や、やだー。わーん」


 嫌がるかもしれないが、これも生徒のため。

 今の俺は生徒たちのお医者様で、彼女たちの健康を守るのが俺の使命。

 そして、この子は真っ平らだしレベル5くらいだ。


 心を鬼にして生徒たちを調べ続けるが、思ったより生徒たちのレベルは低い。


 「恥ずかしいの。だって、まだ小さいもの」


 一番レベルが上がっているのはナノちゃんで、およそレベル13。

 全員レベル15くらいまで上がっているかと思ったが、そうでもないようだ。


 生徒たちの成長が遅い。

 いや……俺やカモナーの成長が早いのか?


 カタカタ


「あ、サマヨちゃーん。お帰りぃ」


 焼肉パーティの真っ最中。ちょうど良くサマヨちゃんが帰ってきた。

 追撃に出てから丸1日以上が経過しての帰還。

 残さず倒してくれとは言ったが、長い時間、ゴブリン獣を追いかけていたようだ。


 出迎えるカモナーが肉を差し出すが、いや、スケルトンのサマヨちゃんはご飯を食べないから。


 それより──


「サマヨちゃん。大丈夫だった? 怪我してないか?」


 制服に身を包むサマヨちゃんの身体は、全身が血に染まっていた。


 服の上からサマヨちゃんの身体を確かめる。

 さわってみたところ、外傷はない。

 もっとも怪我をしたところで、自動再生で治るから問題ない。


 そもそもスケルトンのサマヨちゃんは血を流さないので、敵の返り血に決まっている。


 カタカタ


 サマヨちゃんが抱える包みを差し出すと、その中には大量の魔石。

 そして、派手な兜を被るゴブリンキングの頭が入っていた。


 ……追撃した先で、別のゴブリンキングを倒したのか。

 というか、ゴブリンキングって普通に何匹もいたのか。


「そういえば、サマヨちゃんってどのくらい強いのぉ?」


 元々、俺より強かったサマヨちゃん。

 骨ばかりの身体では、さわっても強さが分からない。

 ステータスはどうなっているのだろう?

 スマホから、課金モンスターの項目を開いてみる。



 レアリティ:レジェンド

 名前:サマヨちゃん

 種族:暗黒アンデッドスケルトン・魔王

 称号:神聖魔王

 職業:暗黒バレエダンサー・魔王


 レベル:40 (15  UP)

 HP:2328(1767 UP)

 MP:125 (92  UP)

 攻撃:293 (219 UP)

 防御:271 (202 UP)

 敏捷:550 (414 UP)

 魔攻:125 (92  UP)

 魔防:292 (219 UP)


 種族スキル:【不死】【自動再生2】【痛覚無効】

【空腹無効】【状態異常無効】【不眠不休】【神聖耐性上昇大】


 主力スキル:【魔王☆(UP)】

 武器スキル:【棍棒2(UP)】【片手剣1(NEW)】

 他スキル :【暗黒2】【魅了ダンス】【献身】



 サマヨちゃん。レベル40もあるのか。


 不眠不休で動き続けるサマヨちゃん。

 丸1日以上、ゴブリン獣を追い回していたのだから、レベルも上がるというものだ。


 そして、そのステータスは俺の倍近くある。

 敏捷にいたっては、俺の4倍以上。


 恐ろしい……仮にサマヨちゃんが敵だとしたら、俺ですら瞬殺されかねない。

 最強勇者を自負する俺だが、その自信が打ち砕かれる思いだ。


 待てよ?

 ということは、レベル50の冒険者が居るなら、サマヨちゃんの倍は強いということか?


 ファーの街。冒険者ギルドのナンバー1というチェーンさん。

 彼女のレベルはどのくらいなのだろう?


 異世界に来てまだ1ヵ月も経たない俺ですらレベルは30ある。


 元々、異世界に暮らして長年冒険者をやっているチェーンさん。

 そして、ギルドマスターのレベルはどのくらいあるのだろう?


 普通に考えれば、俺やサマヨちゃんよりレベルが高いに決まっている。

 ということは、俺の倍は強い。いや、下手したら4倍は強い。

 もしも、彼女たちの機嫌を損ねれば……


「ヤバイな。どうやら勇者は雑魚だった」


 今後は2人に対して、慎重に接する必要がある。


「はーい。ユウシャさん。ゴブリン獣を撃退したそうね」


「ひぇあっ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ