18.荒野での戦闘
100/7/10(日)18:30
薬草採取の報酬を受け取り、冒険者ギルドを後にする。
「それじゃ宿屋へ行こう。昨日と同じ所で良いよな?」
「うん。あ、そうだ。これ返しておくよぉ」
【所持金】1万2500 → 2万2500ゴールド
「ああ。冒険者の登録料か」
金の切れ目が縁の切れ目。
お金にズボラなようでは、俺のハーレムパーティの一員になれない。
まずは合格だ。
「うん。この調子で薬草を集めれば、グリちゃんも街に入れるよぉ」
「カモナーはしばらく薬草集めか?」
「ずっとだよぉ。薬草でお薬つくって、いずれお店を開くんだよぉ」
そういえば【調合1】と【水魔法1】を習得していたな。
確かにスキルを使えば薬が作れる。
……なるほど。薬か。
いくら俺が勇者といっても、モンスター相手の戦闘では怪我もありえる。
そんな時、薬があれば心強い。
カモナーが薬を作り、俺が薬を使う。
WIN─WINで良いじゃないか。
「お店か。面白そうだな。俺も協力するよ」
「ほんとぉ。じゃあユウシャさんは呼び込みだよぉ」
確かにイケメン勇者が呼び込みすれば、多数のお客さんが集まるだろう。
なかなか見る目があるのは良いが、薬の調合すら試していないのに気の早い奴だ。
「それは良いが、俺にも目的がある」
「んゆ?」
「俺の目的は最強の勇者になることだ。勇者は強くなければならない」
「ほへー」
「俺はカモナーが店を開くのに協力する。だから、カモナーも俺が強くなるのに協力してくれないか?」
「うん。分かったぁ。お互い頑張ろうよぉ」
言質は取った。
つまり、俺に格安で薬を融通してくれると、そういうことだな。
郊外にお店を建ててぇ、畑に薬草を植えてぇ、牛と鶏を飼ってぇ、などというカモナーの夢物語を聞くうちに宿屋に到着する。
部屋は昨晩と同じ。宿泊料は2人で1万5000ゴールド。
1人あたり7500ゴールドだ。
「あうう。お金もあるし、できれば僕は1人部屋が良いなぁ」
カモナーが1人部屋を希望するのも、分からなくはない。
男装しているが、本当は美少女であるカモナー。
年頃の男女が同室するのだ。不安に思うだろう。
「1人部屋だと1万2000ゴールドだぞ? 少しでも節約した方が良いだろう」
だが、今のカモナーは少年だ。
なら、男同士。俺と同室するのが自然というものだ。
もしもカモナーが自分は女だと。
そう公言するなら話は別だが、カモナーが男でとおすなら、俺はその気持ちを尊重する。
勇者は心優しい。時には騙されることも優しさのうちだ。
「そうなんだけどぉ……あうぅ」
「俺とカモナーの仲だ。同じ部屋で良いだろう」
カモナーの肩を抱いて部屋に連れて行く。
せっかくの美少女と同室するチャンス。逃すわけにはいかない。
「あうぅ……あい」
勇者は強引でなければならない。
このまま既成事実を作って、なし崩しに俺のハーレムパーティに組み込んでやろう。
100/7/11(月)8:00
翌朝。
宿を出発した俺たちは草原へと向かう。
バサッバサッ
街を出たところでグリさんが合流した。
相変わらずの迫力だ。
機嫌をそこねないよう、グリさんに失礼がないよう一礼する。
「グルル」
俺の礼に応じて一声吠えるグリさん。
昨日に比べるとプレッシャーが弱いな。
少しは俺に気を許しているのだろうか。
しかし、当たり前だがグリさんは目立つ。
「うわぁ。たかーい。ユウシャさんより高いよぉ。グリちゃんの背中はぬくぬくだぁ」
グリさんの背中に乗ってはしゃぐカモナー。
3メートル超のモンスターに乗っているんだ。高くて目立つ。
同じように街を出発する冒険者、その視線を一身に集めていた。
SSRモンスターを操る少年。
有名になるのは良いが、それは実力が伴ってこそだ。
グリさんなしのカモナーは、赤子のようなもの。
1人の時にトラブルに巻き込まれれば即死する。
俺のハーレム2号への就任を予定しているのだ。
死なれては困る。
1人でも自衛できるよう、鍛えてやらねばならない。
俺とサマヨちゃんは徒歩で、カモナーはグリさんに乗って草原まで移動する。
戦闘だけではなくて移動にも使えるとは、さすがSSRモンスター。
楽しそうで良いな。
俺もグリさんに乗せてもらいたいが、多少仲良くなったとはいえ、あくまで多少だ。
となると、俺が乗るべきはグリさんと同じ課金モンスターのサマヨちゃんだが……美少女スケルトンに背負われて移動する勇者など絵にもならない。
ただの虐待だ。
が、逆に俺が美少女を背負うならアリだな。
「サマヨちゃんも、俺に乗るかい?」
カタカタカタ
疲れることのないスケルトンが、俺に背負われる意味はない。
サマヨちゃんは慎み深い。安易に男に乗るような痴女ではなかった。
100/7/11(月)9:00
「薬草だぁ。集めるよぉ」
草原で薬草を集める。
お昼までに俺が集めた薬草は5枚。
ま、こんなもんだろう。
カモナーは25枚。
無駄に薬草集めは上手いな。
グリさんの持ってきた肉でお昼を取りながら、カモナーに話しかける。
「カモナーはサモナーだよな?」
「だよぉ」
「じゃあモンスターを召喚しないのか?」
「うゅ? グリちゃんがいるよぉ」
当然だとばかりに答えるカモナー。
「いや、グリさんは召喚モンスターではない。彼? 彼女? は課金モンスターだ」
カモナーのスマホを覗いた時に見た説明では、
【召喚2】
モンスターを召喚する(課金モンスターとは別扱い)
召喚2は同時に2体まで召喚可能。
召喚中はMPを消費する。
と書かれていた。
「そうなの? あれ? 僕のサモナーってなんなのかなぁ?」
「それは俺の方が知りたい。なんか召喚できないか?」
そもそも【召喚】を持たない俺に聞くのが間違っている。
「うーん……どうやって?」
「むむ……例えば俺が勇者パワーを使う時は、勇者パワーを頭に思い描いて集中する。イメージだな。カモナーもモンスターを召喚する、そのイメージを浮かべてみればどうだ?」
自分で言うのも何だが、これは良いアドバイスだ。
昨日、闘技を編み出した時も、樹を粉々に砕くイメージを描いて骨を振るった。
これで行けるんじゃないか?
「うーん……駄目だぁ」
行けないか。
「でも、グリちゃんがいるから問題ないよぉ」
というか、コイツ本当にイメージしているのか?
頭の中が空っぽそうだし怪しいな。
「カモナー。ちゃんとイメージしてるか?」
「うゅ?」
「いざとなればグリさんが守ってくれる。心に甘えがあるんじゃないか?」
「うゅう」
「グリさんがいつも守ってくれるわけじゃない。薬草を集める草原にもモンスターは出るんだぞ? グリさんが居ない時にモンスターに襲われたらどうする?」
「ユウシャさんが守ってくれるんだよぉ」
「俺も居ない場合は?」
「うゅ。サマヨちゃん?」
「サマヨちゃんも居ない場合は?」
「うゅ。死にます」
「あっさり死ぬんじゃない。そこで召喚モンスターだろう」
「うゅ」
「と言っても俺も召喚は分からないからな……後でギルドで調べるか」
まあ、今はグリさんも居るから急がなくても大丈夫か。
それより、昨日から気になっていたことを先に確かめよう。
「で、カモナー。グリさんの性別はどっちなのだ?」
「おぉ。グリちゃんグリちゃん。グリちゃんって男の子か女の子かどっちなのぉ?」
カモナーも気にしていたようでグリさんに確認する。
「グルル!」
「うわぁ。そうなんだぁ! 僕とおな……じゃなくて、グリちゃん女の子だってぇ」
ほう? そう言われると、グリさんから心なしか気品を感じる。
SSRモンスター。モンスターのサラブレッド。
良い所のお嬢様みたいなものだ。
SSRお嬢様だと考えると、グリさんに俄然興味が湧いてくる。
俺に対してはツンしかないが、いずれデレる時がくるのだろうか。
「しかし、カモナー。グリさんは本当に女の子なのか? 確かめた方が良いんじゃないか?」
「うゅ? どうやって」
不思議そうに首をかしげるカモナー。
コイツは人から聞いたことをすぐに信じるタイプだ。
だが、俺は自分の目でみるまで信じない。
勇者は疑り深くなければ務まらないからだ。
「男女で最も違いのある場所があるだろう。見せてくれるように頼んでくれないか?」
「……ユウシャさん本気で言ってるのかなぁ」
「もちろんだ。地球には居ない生物だぞ? グリフォンの物がどうなっているのか学術的に興味がある」
「嘘だぁ。ぜったい嘘だよぉ」
「地球に帰れば論文を書くつもりだ」
「駄目だよぉ。グリちゃんは女の子なんだぁ。そんなこと言ったら怒られるよぉ」
「ノーベル賞を目指したい。協力してくれないか?」
「……グリちゃん。あのね──」
「グルル……グルァッ」
ドカッ
コテン
ユウシャは薬草を使った。×5。
「カモナー。どんな説明をしたんだ……殺されるところだったぞ」
「ユウシャさんの自業自得だと思うよぉ」
せっかく集めた薬草を全部使ってしまったではないか。
しかし、恥ずかしがるということは、グリさんは女の子だな。
男なら、俺に自慢するように大きさを見せつけるはずだ。
そしてグリさんは素っ裸。いずれ見れる機会が来る。
それまでは大人しくしておくにしても、勇者の俺がいつまでもグリさんにビビっているのもおかしな話だ。
「俺は昼からはモンスター退治に行く。カモナーはどうする?」
そのためにもレベルを上げる。
「僕は薬草を集めるよぉ」
「カモナーもモンスター相手に特訓した方が良いのだがな?」
「薬草だよぉ」
「そうか。17時くらいには戻ると思うが、もしも戻らなかったら先に帰っていてくれ」
「うん。ユウシャさん頑張って」
「ああ。カモナーも頑張れ」
昼ご飯を終えた俺はカモナーと別れ、サマヨちゃんとモンスター退治に向かう。
冒険者の基本は薬草集め。そして、ゴブリン退治だ。
草原を突っ切り森を目指す。
が、カモナーと別れた頃からモンスターが襲ってくるようになった。
草原といっても多数のモンスターが生息している。
これまではグリさんを恐れて誰も近寄らなかっただけだ
角の生えたウサギ獣。
「ウサー!」
ズバッ
大きなカエル獣。
「ゲコー!」
ズバッ
だが、弱い。
剣術を習得するため、全て剣を使って倒していく。
そして分かったことは、やはり俺は、勇者は強いということだ。
異世界に来て10日が経過している。
その間、街に来るまでの間、森で戦い続けてきた。
グリさんを見て自信を失いつつあったが、あれが特別なだけだ。
森でゴブリン退治を考えていたが、予定を変更しよう。
ギルドで調べたところ、街周辺では、草原→森(浅部)→荒地→森(深部)の順で強いモンスターが現れるという。
草原は相手にならない。
森(浅部)は、俺が暮らしていたセーフハウス辺りだろう。
荒地へ行くか。
本来ならゴブリン辺りがちょうど良いのだろうが、強いモンスターを倒して多くの経験値を稼ぐ方が効率的だ。
100/7/11(月)14:30
草原のモンスターを退治、薬草を集めながら移動するうちに荒地へと到着する。
あたりには視界をふさぐように大きな岩が散乱しており、付近には切り立った崖が広がっている。
岩の影、そして崖上からの奇襲に警戒する必要がある。
「ブモモ!」
と、岩の影からさっそくモンスターのお出ましだ。
大きなモンスターだ。3mはあるんじゃないか?
大きさだけならグリさんにも匹敵する。
4足で体表は分厚い灰色の皮で覆われている。
そして鼻先には1本の大きな角が生えていた。
例えるならサイに似ているな。こいつはサイ獣だ。
「ブモオオオ!」
サイ獣は俺たちを見つけると同時に、角を構えて突進する。
いきなり容赦ないな。コイツは肉食なのか?
サイに似てはいるがやはり別物だ。
サイ獣の突進を倒れ込むように回避する。
まるでダンプかトラックか。
まともに食らったのでは、死にかねない。
立ち止って向きを変えようとする、その隙に近づいて叩き斬る。
カキーン
皮が固い。
野盗の剣では刃が通らないので、斬るというより殴るようなものだ。
ガイーン
サマヨちゃんが棍棒で殴る。
けっこう効いている。
固いモンスターには、斬撃より打撃の方が効果的だ。
そういうことなら──
「サマヨちゃん。腕を貸してくれ」
サマヨちゃんの前腕を引っこ抜いて、サイ獣を殴る。
ガイーン
「ブモッブモッブモオオ!」
効いてる。効いてる。
ただ、俺の攻撃力が上がる代わりに片腕になるサマヨちゃんは、攻撃力が下がってしまう。
そこで──
「サマヨちゃん。これを使ってくれ」
スマホから取り出したナオンさんの前腕。
サマヨちゃんの左肘に、ナオンさんの前腕を押し付ける。
バチバチ
サマヨちゃんの左腕。
その肘から先にくっ付いたナオンさんの前腕部分が電気を放つ。
同じ骨同士、相性が良いのか?
ナオンさんの骨が持つスキル【雷魔法1】をサマヨちゃんも使えるのか?
サマヨちゃんの左前腕は、電気をまとい青白く輝いていた。
なんか格好良いな。
俺とサマヨちゃんで、サイ獣を前後に挟み込み殴り続ける。
ガイーンガイーン
サマヨちゃんが暗黒の煙を吐き付ける。
煙を浴びて動きが鈍ったサイ獣をさらに殴り続ける。
ガイーンガイーン
しかし固い。いい加減に倒れろっての。
「ブモオオ」
叩かれ続けたサイ獣は、咆哮を上げると滅茶苦茶に暴れ始めた。
なに!?
暗黒の煙で動きの鈍っていたこれまでとはスピードが違う。
その振り回される角が俺の盾を直撃する。
「ぐおっ!」
盾の上からの打撃にも関わらず、俺の身体は吹き飛ばされていた。
サイ獣は倒れる俺を狙おうと、角を振り回して襲い掛かる。
ぐぬぬ……俺の方が与しやすいと見たのか?
しかし、それも無理はない。
サマヨちゃんはスケルトンとは思えない動き、つま先立ちの素早い動きでサイ獣の攻撃をかわしている。
サマヨちゃんにはかすりもしない攻撃が、俺には当たるのだ。
俺がサイ獣でも攻撃が当たる方を、俺を狙う。
だが、これはマズイぞ。
ガシャーン
再び振るわれた角によって、木の盾が真っ二つに割れる。
盾のおかげで致命傷を避けていたところに、盾がなくなったのでは即死するしかない。
ガン
その時、音がした。
ガン
なんの音だ?
音のする方を見ると、サマヨちゃんが飛び跳ねていた。
飛び跳ねると同時に空中で脚先を、手を叩くように打ち合わせる。
ガン ガン
!?
よく分からんが美しい。
サマヨちゃんが宙を舞う姿は、骨なのに、スケルトンなのに美しい。
そう思ったのは俺だけではない。
サイ獣までもがつられたようにサマヨちゃんを見ると、サマヨちゃんへと襲い掛かっていった。
これは、あれか?
モンスターの注目を集める、挑発みたいなものか?
ダンサーのスキルには、歌や踊りで味方を支援するものがあるという。
これが暗黒バレエダンサーのスキルか?
とにかく助かった。
だが、サマヨちゃんを狙おうと無茶苦茶に暴れるサイ獣。
これだけ暴れ続けているにも関わらず、その勢いは一向に弱まることがない。
これ以上、長引かせるのはマズイ。
ヒラヒラと攻撃を避けるサマヨちゃんだが、回避し続けるにも限界がある。
わずか1%の命中率でも、いずれ当たる。1発事故がありえるのだ。
そして、盾も鎧もないサマヨちゃんでは、1発でも当たれば終わる。
その前に、俺が1撃で仕留める。
闘技で、勇者アタックで勝負を決める。
そのためには、魔力を込める時間が必要だ。
俺は手に持つ骨に、サマヨちゃんの腕に魔力を込めていく。
ドガシャーン
攻撃をかわしながらサイ獣を殴りつける、その棍棒が砕け散っていた。
攻撃手段がなくなり防戦一方となるサマヨちゃん。
その時間をサマヨちゃんが稼いでいる間に……
ガシャッ
サイ獣の角がかすめ、サマヨちゃんの骨が小さく砕け散る。
それでも……集中だ。
構える骨が、サマヨちゃんの腕が漆黒に染まっていく。
「サマヨちゃん。少しだけ。少しだけサイ獣の動きを止めてくれ!」
でたらめに角を振り回して暴れ続けるサイ獣。
あの角をかわしながら、勇者アタックを放つのは無理だ。
俺の集中が途切れては、骨に込めた魔力が霧散してしまう。
無茶な頼みなのは分かる。
サマヨちゃんは、スケルトンだがスピード型のモンスターだ。
避けるのは得意でも、抑え込むのは無理だ。それでも、頼む。
俺の合図に、重力を感じさせない動きだったサマヨちゃんが両足を地につける。
チャンスと見たサイ獣は、角を翻してサマヨちゃん目がけて突き刺した。
ドガシャーン
サマヨちゃんの背骨を直撃した角が、身体を真っ二つに砕く。
同時に、サマヨちゃんはサイ獣の頭に上半身だけでしがみついていた。
バリバリバリ
サマヨちゃんの左腕から、ナオンさんの腕から雷が放出される。
「ブブ!?」
サイ獣の全身を覆う分厚い皮膚。
直接雷を流してもなお、その皮膚は雷を弾いていた。
バリバリバリ
「ブブモオッ!!」
それでも続けざまの雷に少しはシビレたのだろう、サイ獣の動きが止まっていた。
決める!
ここぞという時に決める……それが勇者で……俺が勇者だ!
「おおお! 勇者アターッック!」
振りかぶった骨を、サマヨちゃんの腕を、漆黒に染まった魔力を全力で叩きつける。
ドガ【暗黒粉砕打撃】ーン!!!
「ブモオォォォ……」
断末魔を上げて倒れるサイ獣。
強敵だったが勇者アタックの敵ではない。
【ステータス】
名前:ゲイム・オタク
種族:人間
称号:勇者
職業:勇者
レベル:11(2 UP)
HP:283(50 UP)
MP:12 (4 UP)
攻撃:22 (4 UP)
防御:24 (5 UP)
敏捷:22 (4 UP)
魔攻:12 (4 UP)
魔防:17 (4 UP)
ポイント:9(1 UP)
最強スキル:【勇者☆】
武器スキル:【骨2(1UP)・両手斧1・盾1】
強化スキル:【体力1・魅力1・植物1】
他スキル :【身かわし1】【植物知識1】
おお。強敵だけあってレベルが2も上がっている。
しかもステータスの上がりも良い。
大器晩成というだけあって、レベルが上がればステータスの上がりも良くなるわけだ。
おまけにポイントが1P増えている。
【魔王】習得まで、いよいよ後1P。
なんとなく次にポイントが貰えるのはレベル15な気がする。
そして【骨術1】から【骨術2】へ上昇。
メイン武器が上がるのは有り難いが、剣術はなかなか習得できない。
剣で倒しているのが雑魚ばかりだからだろう。
やはり強敵を相手にしてこそ成長するというわけか。
レアリティ:レア
名前:サマヨちゃん
種族:暗黒アンデッドスケルトン(クオーター)
称号:暗黒聖女
職業:暗黒バレエダンサー
レベル:16 (2 UP)
HP:260 (30 UP)
MP:14 (2 UP)
攻撃:36 (4 UP)
防御:33 (4 UP)
敏捷:63 (8 UP)
魔攻:14 (2 UP)
魔防:35 (4 UP)
種族スキル:【不死】【自動再生1】【痛覚無効】
【空腹無効】【状態異常無効】【不眠不休】
スキル:【暗黒1】【献身】
【棍棒1】NEW
【魅了ダンス】NEW
【棍棒1】棍棒での攻撃に上昇補正。
【魅了ダンス】暗黒バレエダンスで相手を魅了、注意を引き付ける。
サマヨちゃんが【棍棒1】を習得した。
しかし、棍棒が壊れるまで使ってようやくだから、やはり普通はスキルを習得するのに時間がかかるということか。
そして【魅了ダンス】を習得。
やはり相手を自分に引き付ける、盾役としてのスキルだ。
敏捷の上昇が良いのとあわせて、回避盾として活躍するのは間違いない。
今回の戦闘で俺とサマヨちゃんの戦闘スタイルが確立した。
不死身で自動再生するサマヨちゃんを囮にして戦う。
美少女が襲われている間に、俺が背後からゴツンといく美人局スタイルだ。
今後はサマヨちゃんは防御と回避を、俺は攻撃を優先して装備を揃えていくとしよう。
バラバラになったサマヨちゃんの下半身を拾い集めて袋に詰める。
そのうち自動再生で治るだろう。
サイ獣の魔石回収は後にして、死体ごとスマホで回収する。
いつまでも荒野にいて他のモンスターに襲われてはマズイ。
そして、サマヨちゃんの上半身は──
「サマヨちゃん。背負ってあげるよ。しっかりつかまるんだ」
上半身だけのサマヨちゃんを背中に背負う。
骨だけあって軽い。
だが、尻軽ではない身持ちの固いサマヨちゃん。
そんなサマヨちゃんが、今は俺の首に腕を回してしがみついている。
美少女に頼られる、これこそ勇者の醍醐味というやつだ。
やはり俺のハーレム1号は、サマヨちゃんしかありえない。




