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とある雑貨屋  作者: 檸檬
8/27

教会

半角文字と全角文字が入りまじっていて、読みにくいかもしれません。

札=カードです

「地下、ですか?」

クロは小さくうなずく。


「えっと‥ダンジョンとか地下に下りられるトコありますよねー‥それから、えっと、きょ、教会とか‥?」


どの都市にも必ず1つはある教会は、ゲームだった頃はプレイヤーのHPを回復させてくれたり、クエストを受領できたりと、プレイヤーにとって役に立つ場所だった。しかし今では、元プレイヤー、

つまり冒険者を、権力争いの駒として利用しようというそぶりを見せているため、冒険者が教会へ行くことはほとんど無い。

りるるはゲーム時代に教会へ行き、その地下をのぞいたことがあったのだ。

違う都市の教会ではあったが。


それにしても、なんで地下なんだろう?というりるるの気持ちが表情に出たのか、クロは目の光をやわらげると、教会探してくれる?と、りるるの方を向いて言った。


(ここで説明してくれないのがクロさんなんだよなぁ‥)

まあ、毎度のことなのだが。


りるるは腰のカード入れから、幾枚かのカードを取り出す。

「〈召喚〉!!」

カードをパッとばらまいた。

一瞬、カードが強く光り、モンスターへとその姿を変えた。


〈召喚術師〉系の〈札遣い〉であるりるるは、強力なモンスターを遣うより、1体1体は弱いが、多くのモンスターを同時に召喚することを得意としている。

今召喚したモンスターは5体だが、その気になれば100体以上のモンスターを召喚することができるのだ。


りるるの目の前に現れたモンスターは、蝙蝠が3体に狼が2体。狼は街灯の下でブンブンと尾を振っている。

何やら嬉しそうだ。

りるるは、ゲームだった頃には分からなかった召喚モンスターの可愛らしさを再確認していた。


「‥‥‥犬?」

「や、狼です!黒狼です!ランクアップもしてるんですっ!」


叫んでから、りるるは召喚モンスター達に教会を探してと指示を出す。

モンスター達は、バラバラの方向へ消えていった。


数分後、路端に座り込んで目を閉じていたクロの横で、同じく座っていたりるるが、ぱっと立ち上がる。

「クロさん!ありました‥あっちですっ」

クロも立ち上がり、2人は、夜の道を駆け出した。



「クロさん‥なんで、こんなに急い‥で、るんですか?」

りるるの声が切れ切れなのは、全速力で走っているからだ。

「トリガーが不明、だからね。‥夜限定、かもしれないし‥時間制限、あるかもしれないから。」

考えが足りなかったと、りるるは赤面する。

(頭悪い子とか、思われなかったかなぁ‥)

クエスト云々よりそっちの方が重要なのだ。2人は、無人の広い道を駆ける。


昼間の光を蓄えて発光する帯光石の街灯が、弱々しく明滅していた。


何度目かになる曲がり角を右へ曲がる。36番道路と書かれた看板が、一瞬だけ2人の目に写った。道の両側に立ち並んでいた住宅は、いつの間にか商店になりかわっている。

明かりの点いている店は1つも無かった。

店頭の商品はそのままに、人だけが消えている。

クロは、矢のように駆けながら、街の様子を冷静に観察する。


「‥いつの間にか、アレースの端の方、まで、来ちゃいましたねー」

「ん」


りるるの言葉にかなりいいかげんなあいずちを打ちながら、クロは考え込んでいる。


りるるは黙ってしまったクロを心配そうに見つめた。既に教会は見える位置にあるというのに、心ここにあらず、といったようだ。


フライステの世界の教会は、大陸によって、そのデザインが異なる。また、同じ大陸であっても、主要都市と地方都市の違いがある。

その中で、全ての教会に共通しているものがある。それが、教会の門の上に彫られた、愛と善悪を司る女神、スヴェーニアの姿。

右手に天秤、左手に赤い糸を持った女神の姿だ。


「着きましたよ‥クロさん?」

「ん‥?‥あ、あぁ、着いた?」


クロはためらい無く、教会の大きな扉を開いた。






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