依頼の完了
教会の地下では、リトルーヴァが台座に腰かけて2人を待っていた。戻ってきた2人を見て、リトルーヴァが歓声を上げてりるるに抱きつく。
「きゃー!戻ってきた!」
クロの方にも行こうとしたが、血にまみれたその姿に体を止め、小さく咳払いした。
「え‥えっと、礼を言うわ。あの、でもちょっと離れて話をしない?」
クロはリトルーヴァの小心さに呆れた。
りるるも苦笑いをしている。
クロが小さくため息をつく。
「帰っても‥?」
「あ、帰ってもいいですか?なんか親玉っぽいヤツも倒しましたし。あれ、リトルーヴァさん?」
クロの方をぼうっと眺めていたリトルーヴァはあわてて頷く。
「え、ええ。帰っても良いけど、これ、私からの謝礼よ。」
そう言うとリトルーヴァは、手に持っていた麦を幾本かりるるに渡した。
りるるは笑顔で礼を言ってウエストポーチに麦を入れる。
クロも小さく頭を下げた。
「あっ」
「え?」
リトルーヴァが発した「あっ」という声に、りるるが「え?」と返す。しかし、りるるの声はリトルーヴァに届いていない。
(何か、今思い出した気が‥)
目の前の黒衣の少女がなぜだかリトルーヴァの心をざわつかせる。
リトルーヴァが注視する中で、クロは小さく息を吐いた。
「行こうか。」
「はい!」
2人の少女は地上へ戻る階段へと足を進める。
リトルーヴァは一度手をのばしてーーー肩をすくめ、台座に腰をかけた。
「ま、勘違いよね。あーーもっと加護を与えたいっ!」
リトルーヴァが叫んだころ、クロとりるるは既に教会の外にいた。人影はやはり無い。
まああったらあったで殺人犯に間違われそうなので、無くてよかったとりるるは笑う。
時刻は昼、天気は晴天だ。
りるるは大きくのびをするが、〈闇狩人〉のクロはこの天気は大丈夫なのか気になり、クロの方を見る。
案の定、クロのHPがじりじりと減っていっている。
「クロさんその状態異」
「りるるちゃん、〈剣と盾と糸〉に一応報告する。‥先に戻っておいて。」
「え?じゃあ私も」
「いや」
クロは首を横に振る。
「先に戻っていてほしい。すぐに戻る。」
りるるは不満げに頷いた。
「〈変異種・絶叫草〉の紫色を1本粉にしておいてくれる?それと、大量の蒸留水を」
「はい‥分かりました」
クロは無表情に頷く。
クロとりるるは、36番道路と32番道路が交わる交差点で立ち止まり、互いに転移水晶をもつ。
「転移・大陸グラデイル ガーディ帝国 帝都ハル」
「転移・大陸アトランテ ホーム」
2人の姿は都市アレースから消えた。
都市アレースは無人になった。




