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とある雑貨屋  作者: 檸檬
20/27

〈闇竜〉

「わっ!」


りるるは吹き荒れる暴風に壁までとばされる。

「大丈夫?」

りるるとは反対側にとばされたはずのクロが、りるるの顔を覗きこむ。りるるは大丈夫です‥と呟き、目をいっぱいに開いて、目の前のモンスターをにらんだ。


〈闇竜〉

巨大な巨大な竜はしかし、体は半分腐り、鱗は欠けたり折れたりしているものがほとんどだ。竜が身体を動かす都度、毒の状態異常を付与する腐臭が辺りに撒き散らされる。


「まさか、こんな大物がいるとは思わなかったけど。」

そう言うクロの口角は、ほんのわずかに上がっている。

クロをよく知らない人間ならば無表情としかとらないその表情が、笑顔を表すものだとりるるは分かっている。

「何をドロップするか楽しみですね!」

りるるもニッと笑った。


〈闇竜〉が咆哮する。

粗密波が衝撃波となって2人を襲った。

不可避の攻撃は、闇の障壁により阻まれる。闇のヴェールの中から無傷で現れたクロが、投げナイフを数本放つ。投げられたナイフは全て〈闇竜〉へ刺さった。

少し遅れてりるるの召喚した〈光ノ使徒〉の光球が、幾つかその巨大な体に当たる。

さらにクロはキューブ型のアイテムを〈闇竜〉の口へ投げ入れた。

内部に揮発性物質を封じたアイテムが、〈闇竜〉の体内で光を放って爆発する。

〈闇竜〉が鱗の欠片を飛び散らせながら咆哮した。


腐った両翼をはばたかせ、ほんのわずかにその場から浮いたが、すぐに足をつけた。地下水路の床にひびが入り、あたりに腐臭が漂う。

そして、痛みのままに体を振り回し始めた。長い尾が壁へとあたり、ピシッと音をたてて、苔の生えた壁に亀裂が走る。


りるるは布で口元を覆いながら〈闇竜〉を見る。

さすがは竜と言うべき攻撃力だ。あんなのを喰らえば一撃で瀕死間違いなしだ。

さらに、先程の攻撃は効いたとは思えない。

与えられたダメージは微々たるものだろう。

竜種のモンスターは、たった2人で勝てるほど甘くはない。

しかし、りるるには負けるはずがないという確信があった。


りるるの目に、〈闇竜〉の頭へナイフを振り下ろすクロの姿が写った。呪符を纏わせて攻撃力を上げたナイフは、丁度鱗が欠けた頭部の一部をえぐり、さらにその巨大な目をも切り裂く。

無事なもう一方の目でクロを見つけ、〈闇竜〉は小さな人間をつかもうとした。


しかし、ドラゴンの長い爪の間に人間の姿はない。


クロはいつの間にか、〈闇竜〉の背に垂直に立っていた。

クロの足首から先は、〈闇竜〉の背にできた影と同化している。


クロの〈スタイル〉は、〈闇狩人〉。

暗闇での戦闘に特化した〈スタイル〉だ。状態異常に弱く、日の下ではステータスが半減するが、反面、暗闇ではそのステータスは2倍近くにはねあがる。

デメリットが多いスタイルではあるが、それを感じさせない程クロは強い。


ドラゴンの攻撃を影に沈むことでかわし、HPバーにはいまだ深刻なダメージが無い。影に沈む技術は〈影渡り〉という特技の1つなのだが、クロは常時MPを影に流すことにより、ノータイムでの特技発動を可能にしている。


クロのHPも、〈闇竜〉のHPも、なかなか減らない。

硬直状態が続く。


どれほどの時間がたっただろうか。

何百回目か分からない攻撃をドラゴンの頭へ入れて、クロが声を上げる。

「りるるちゃん、全力攻撃っ」

「あ、はいっ」


「〈召喚〉!」

りるるは大量の札を空にばらまき、百体近いモンスターを召喚する。現れた〈黒狼〉や〈死神犬〉が一斉に遠吠えを上げる。


〈闇竜〉へ襲いかかった召喚モンスター達は、みるみるうちに残りのHPを減らしていった。

クロが〈闇竜〉の頭部をえぐる。それが致命傷となったか、〈闇竜〉は一度大きく咆哮すると、巨体をその場に崩れさせた。

クロがりるるの横に現れる。


「やりましたね、クロさん!」

「……そう、かな」


テンションの高いりるると、低いクロは、来た道を引き返すことにした。



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