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隠者(いんじゃ)

「気がついたかえ?」


知らない声をかけられ、俺は急速に意識を取り戻した。しかし、目に映った光景は宿舎の中でも森の中でもない

鼻についてくる匂いは渋くそちらのほうへ頭を向けると暖があって。その上で熱された鍋で何かを煎じている様だ

少なくともあの山の中のあった民家なのか、それとももっと別の場所であるかは分らない

俺ははこのように古臭い家は時代劇などのテレビの中でしか見た事が無い

だからこそ、家から感じる年代を経た匂いが新鮮に思えてしまうのだ


「此処は何処です?」


「あんさん、下流の川に流れ着いてから三日間熱を出しておったんよ」


「とにかく、助けていただいた事を感謝します。お礼はいつか必ず」


「いいんよ。人が人を助けるのは当然の事じゃ」


目の前で朗らかに笑う老婆の年齢を推定するに六十歳以上だろうか

この年になるまで一人で生きてきたのか、それとも配偶者に先立たれ子息も都会にいってしまったかどうかは知らない

彼女の苦労は押して計る


「いや、体が訛っているのでせめてもの手伝いくらいは…巻き割などはどうでしょう?」


「あんた、鉈扱ったことあるんけぇ?」


「……」


「まぁ、無理せんと。病人を無理やり働かせるような事をわしは望まん」


「一応、今は二十一。来年に大学卒業を控えている若造です。鍛えてますから」


老婆はけらけらと笑った。俺もつられて笑ってしまう

今は皺だらけだが、若い頃はさぞかし美人だったであろう、彼女の笑顔は快活で年配特有の陰険さが無かった

俺は老婆の笑顔を見て千秋の心配そうな顔を思い浮かべる。あいつは今どうしているのだろうか?






「どうじゃ?難しいだろう」


「いや、まだまだ…」


コン、コンと子気味のよい音が森中に響く。俺は鉈を持って切り出した木を割って小さくしていた

正直、この巻き割りというものを侮っていたのだと自覚せざるを得ない。最初は力任せに鉈を振り下ろしていたのだが

それだと動きが大雑把になり、上手く木を割れないのだ

老婆―――チユさんが教えてくれたコツによると、軽く叩くような感じに腰を据えて割っていくのが良いらしい

実際教えられたとおりに割り方を変えてみると実に良く、薪は切れた

ピカピカに磨き上げられた鉈の手入れ具合からして、この生活はアキさんの日常の一部として溶け込んでいるようだった


「世間話ついでにちょっとええか?」


「何でも聞いてください」


「あんた、何であの川にいたん?」


「信じてもらえるかは分りませんけど……」


一瞬迷った後、俺は自分の身に起きた顛末を余す事無く彼女に話した

近くの山でダムの工事にかかわっていた事、山根さんが不慮の事故にあって無礼な物言いをした班長に幽閉された事

彼の体を回収しに夜中の豪雨の中に飛び出して行った事、そして赤い目を光らせ俺を見ていた化け物の存在を


「それは…山神様じゃな」


「山神…様?」


「そうじゃ、大昔この付近に石碑を建てられ、怒りを沈めらせた山神様じゃ

わしがおばあ様に聞かされた話だと、山をお荒らす者を食い殺すといわれる荒神…祟り神様じゃ」


「あれが…山神?」


信じられなかった。あの巨大な怪物は俺の見た幻覚ではなく、ちゃんとした神として奉られていたのだと

どう見てもあれは人を守護するような守り神の類には見えない。黒い闇のようなものに身を包んだあの姿は

チユさんの言ったように荒神や祟り神と評された方がしっくり来る


『地方によっては鬼も神様として奉られていたところもあるんですよ。毘沙門天様の像とかなんか似てますよね?

大昔、私たちのご先祖様は大雨や地震を神に評して抗えない超状的なものと見なし、逆に奉るようになったんです』


民俗学を専攻していた千秋と話した言葉を思い出す。昔は全く気にならなかったが今になると骨身に染みる言葉だった

あの神は俺達が山を荒らそうとしていたから怒りを示したのか?しかし工事が始まったのは一週間ちょっとまえ

山を荒らす事であの祟り神が現れるのなら、もっと前に現れても良い筈だ


「石碑を動かしたな?」


「はい?」


「あんた達は荒神様を封じとった石碑を動かしたのか?」


「石碑……」


自分は存じていない、もしかしたら班長辺りなら何か知っているかもしれないがいまさら帰って尋ねる気にもならない

だが、思い出した。俺が昏倒させられて意識を失う前連中が班長が話した会話の内容を―――――


『……班長、先程現場の発掘中に古い石碑のようなものが出てきました

文字は潰れて見えなかったのですか、どうします?』


『邪魔になるならシャベルで退かせ、たかが石やろ?

こちとら県の予算で動いたプロジェクトなんや。あのポイントを水没させんとダムにならへん

今更現場の意見が通るか!知事も予算を出した!社長が絶対に許さへん、中止なんかハナから考えられんのや』


『それが…なかなか動かないんです。動かそうとすると重機のエンジンがどれも掛からないんです』


『なら、念の為に持ってきた火薬を使え。この山ン中や、爆破してもバレる事は無いやろ

クソッ、山根といいガキといい…何で今日はこんなにケチが付くんや…オレの出世に響くで』



「馬鹿な!爆破したというんじゃな?」


「俺は直接見ていません。しかし、野上班長ならやると思います」


「ああ…何という事を……もはや荒神様を止める手段は無いのやもしれぬ…」


チユさんは急に老け込んだようだった。俺は彼女の落ち込みように只鉈を持ったまま何もいうことが出来なかった

間接的であるとはいえ、俺や山根さんもあの祟り神を世に解き放つ事に協力してしまったのだから…







二日後、完全に体の動きを取り戻した俺は山を降りた

アスファルトの無い天然の山道を進んでいくと、寂れた道路に出る。そこから更に二キロほど進むとバス停が見えた

予定表だとバスは六時間に一本しか通らないらしい。腕時計を見ると、あと一時間近く待つ必要があった

俺はチユさんが渡してくれた二つのものを風呂敷から取り出して眺める

一つはおむすびと沢庵の入った笹袋。そしてもう一つある、綺麗だが年月のせいで劣化し色褪せてはいるが

綺麗な文様を紅色の上に金糸で塗った細長い布袋は…


『あんたにこれをやる。いざというときは守ってくれるはずじゃ』


俺はそれを見ない事にした。下手に中身を覗くとご利益が無くなる様な気がしたからだ

それに確信があるわけでもない。言い切ってしまえば俺の自己満足に過ぎない

だが、こんな物であの化け物に対抗しうるのだろうか?それが気になって仕方がなかった

直接見てはいないチユさんはあれを神の一種だと評したが、あの赤い数多く光る眼を目の当たりにして

実際に土砂降りの山中を追い回された俺からすれば良い所祟り神。正直に言えば怪物にしか見えなかった


『馬も神様の使いだといわれています。伝承に出てくる麒麟と似通っていますから

ついでに言うと地方によっては蜘蛛や蛇、百足なんかといった昆虫も神様の使いとして崇められています

日本の神様はバリエーションが多くて調べるのが楽しいですね!』


千秋がいつか話した言葉が再び蘇る。どうやら神が人型をしているとは限らず偉業をしていても仕方ないのだという


(まぁ、観音様や毘沙門天様だっていくつも手が生えている像もあるしな)


溜息を吐く。あの巨大な蜘蛛のような荒神様とやらにまた襲われるとも限らない

呪いを信じる達ではない。あれも寒さと熱にやられた幻覚だと言った方が信じる人間も多いだろう


(だが、俺が見たあの祟り神が幻だとは思えない。それにチユさんも伝承を知っていた

しかし、そうなると工事現場がどうなったのか気になる。石碑を倒したのが彼等ならば【祟り】の対象に会うからな

野上班長は気に食わないが…罪を償うまで無事であって欲しいと思う)


そうこう考えているうちに古びたバスが目の前に停車した

俺は中でチユさんに感謝をした後におむすびにがっついて、そのまま疲れから目を閉じて寝てしまったのだ





俺は何とか自分のアパートに辿り着いた。久しぶりの住処、大学さえ終われば出て行く仮宿ではある

それでも、三週間ぶりに帰った自分の部屋の埃っぽい匂いは俺に郷愁の情を引き出さずにはいられない

まず、何か飲もうと思い冷蔵庫の扉を開ける。喉がからからだったが何も入ってはいない

当然だろう。遠出するのだから中に物を入れていては腐ってしまう

いろいろな事が起こりすぎて、こんな事にも気付かなかった


しかし幸いな事に奥に未開封のミネラルウォーター1,2リットルのペットボトルが隠れていた

コップを棚から持ち出し、栓を開け注いで一気に煽る…生き返った気がした

夏場だという事もあるが、冷蔵庫で冷えた水がこんなに旨いとは思わなかった

そこでようやくニュースでも見ようかという気分になったので、テーブルの上のリモコンを拾い上げ電原を入れる


今は正午一時、ちょうど主婦がドラマを見る為に今に待機している時間だったが

俺はそんなものを見る為にテレビをつけたわけではない。目的はあくまでニュースだ

チャンネルをつけると案の定というか予めというか、面白くもなんともない昼ドラが写る

主演の顔もあまり知らない新人で演技も拙かったが、相手役の女がちょうど売り出し中だというテレビでよく見る若手俳優だった


(この子はチアキより若いんだろうか?)


彼女の事が頭を過ぎる。大学の夏休みは長い、あいつはまだ帰ってきてはいないはずと思いながら番組を切り替える

また、似たようなドラマが映り舌打ちする。更にボタンで数回切り替え、教育チャンネルでやっていたニュースに固定する

しかし、見たいものは映ってはいない。与党政治家が暴力団との癒着を指摘され捜査が行われると言った内容だ


(何処も腐ってるな、もしかしたらあそこの会社の背後に潜む連中もこいつのような政治屋が絡んでいるのかもしれない)


憤りを感じながら、あくまでも冷静に取り上げるニュースを見守っていくがどれも関係のないものばかり

地元の祭りがどうとか、株価が大幅に下落したなどの情報は今の俺にとって必要ないものだった

時間も三十分近く過ぎ、諦めかけていたその時、俺の視線は画面に釘付けになる

テレビの中に映し出されていたのは幾分か様相が変わっていたが、俺が勤めていた工事現場だったからだ



『今週、いきなり降った豪雨によりダム建設予定地で崖崩れが発生

作業者合計六人が生き埋めになったと見られ、警察はその場の指揮を任されていた

現場監督、野上源太郎さんの行方を追っていますが依然として掴めず、引き続き操作を…』



土砂崩れ、行方不明になった班長。多分あいつも土砂に飲まれて死んだのだろう

山根さんを殺した罰が当たった筈なのだが、気は晴れない。人が死ぬのは誰であれ堪えてしまう

そして、事故の原因はあの『祟り神』のせいなのか?それとも豪雨で地盤が崩れたのか判らない

しかし二つを併せ持ち、俺自身が尤も納得できる答えは一つしか思い浮かばなかった


(間違いなく、俺が見た祟り神の呪いのせいだ。あの化け物が班長達を襲ったのか?)


恐らく生き埋めになった人間の中には、オレの縄を緩めてくれた人も間違いなく含まれているのだ

それが悔しかった。野上以外の人間にもあまり素行が良くない作業者も居るが、山根さんを慕っていた人間は

あいつが石碑を動す支持を出したせいで、被害にあったのだ

今は無事であることを祈るしかない。それに俺だけがこうして無事に帰ってきているのが納得がいかない

俺は豪雨降りしきり、雷光が幾度となく落ちたあの夜に一人逃げ出してしまったのと同じようなものだった


(クソ…山根さんの体も回収できないなんて)


考えたくない。その可能性に触れる事すら出来ればしたくなかったが、認めるしかないのだろう

山根利弘さんと巻き添えになった他数人の人間は間違いなく命を落している

そして、悲鳴を上げて化け物から逃げ回り、親切なチユさんにまで手当てして貰った俺が生きているのだから

俺は膝に頭を埋めた。今更になって熱い感情が胸からこみ上げてくる

自分一人だけ安全な場所にいたのが許せなかった。自分がもしすぐにチユさんの元から引き返していれば何か出来たかもしれないのに



ピンポーン!



子気味良くチャイムが鳴った。此処最近通販を頼んだ覚えはない

もしかしたら新聞会社の営業か、宗教勧誘の類かもしれない。どちらにせよ今は応対したくはなかった

チャイムは一度鳴ったまま。しばらく無音の静寂を保つ、帰ったのかと思ったがインターホンから声が聞こえた

俺を呼ぶ声が、そして俺はその涼やかな声の持ち主の事を良く知っていている


『すみません。私です…カズ君、居たら返事してもらえませんか?』


その声は待ちに待ったチアキの声だった

俺にとって彼女はある意味で一番顔を見たくて、一番会いたくない人間だった

少しの間、悩んだ後に玄関に向かう。実家にいるはずの彼女が何故此処に来ているのか知りたかったからだ



「カズ君!無事だったの?」


ドアを開けると白のタンクトップとジーンズを履いたチアキの、整ってはいるが年齢より幼く見える顔がが心配そうに俺を見る

久しぶりである彼女との再会。チアキが俺のアパートに来るなんて出来事は今日が初めてだった

場所を教えていない訳でもない。以前大学からの帰り道で家の前を通ったときに場所を教えたのだから

しかし、何故彼女が今ここにいるのだろう。俺は尋ねた


「チアキ。俺なんかの事より実家の牧場はどうしたんだ?」


「ええと、お父さんの知り合いの田所さんが手伝いに来てくれたからもう帰っても良いといわれたの

それより大丈夫?事故に巻き込まれたんでしょう?」


「ああ…って何でお前があの事故の事を?」


「ちょうどニュースで言ってたの。カズ君の働いてた場所で崖崩れが起こったって」


「知っている…さっきニュースで見たんだ。俺は…その場に居なかったけど」


「カズ君…」


チアキは少し大きめな瞳に心配そうな光を宿して俺を見る

彼女とこんな間柄になる前はそのような視線を向けられる事自体、俺は嫌がっていた

【かわいそう】だと思われる事は、思ったそいつが自分が悲惨な目にあわずに済んだと安心しているのと同義なのだ

だが、チアキのそれは違う。心の奥から俺を心配しているような温かみの篭った視線だった


「俺なら大丈夫さ。それよりやらないといけない事が有るんだ」


オレのすべき事、それは警察に野上班長の悪事を伝え早急に彼を確保してもらう事

そして、チユさんに貰った【お守り】であの祟り神をどうにかするつもりだった

あれの封印を説いてしまった事に、オレも間接的ではあるが関わっている

いったんアパートに戻り、インターネットで情報を収集した後は再びあの現場に向かうつもりでいる

その為に無関係なチアキを巻き込むわけには行かない。彼女は俺にとって大切な存在なのだから

俺は俺自身が撒いた種を刈り取る為に自分で動きたかった。多少の無茶は承知の上だったが…


「くっ…」


「カズ君!」


玄関のドアの前で不覚にもよろめいてしまう。まだ、川に流されたときの体力が戻ってきていないのだ

しかし、無理を押し通させてもらうつもりではあった。あの祟り神を放って置くと何をするか分からない

ばら撒かれた災厄は未知数であり、誰があれを止められるかは分らない。しかし、誰かがやるしかないのだ


「カズ君。何か私に隠してる…?」


俺より身長は一回り小さいが、チアキの真っ直ぐで純真な瞳は動揺を見逃さなかったようである


「いや…俺ってサボリ魔だからさ、仕事がきつくなって帰ったんだよ

現場はきついし災害に巻き込まれるし…本当に疲れた。今日は部屋でしばらく寝るつもりだよ

仕事場の班長が行方不明になっているんだ。もしかしたら明日にも警察に呼び出されて事情聴取されるかもしれない

チアキも早く帰りなよ。大学の民俗学レポート残ってるんだろ?」


「それは…そうだけど…」


チアキは困ったような顔をして上目遣いに俺の目を見つめる

年甲斐も無く、駄々をこねている子供のようだが彼女のそれは下心が有るようには見えない。邪気が無さ過ぎるのだ

そんな純粋なチアキを巻き込みたくは無かった。自分はどうなろうと彼女には無事であって欲しい、それが願いだった


「じゃあな、楽しい夏休み過ごせよ」


「カズ君…やっぱり何か隠してる。私に言えない事」


「……」


一瞬、思い切り冷たく当たって無理やり彼女の視線から逃れようと本気で考えた

そうでもしなければチアキは俺のそばから離れようとしないだろう。彼女の事を考えるなら直ぐに実行に移すべきだった

しかし、俺には非常な判断が下せなかった。そうするとこいつはもっと悲しむだろう

自分が無事であるよりも大切な人の力であろうとする。チアキはそんな優しい奴だったから


「カズ君。私の事、そんなに信用できないかな?」


「俺は…」


彼女が玄関に入ってきて咄嗟に俺の手を握る。手を伝わる体温の感触に心臓がどきりと鳴った

黒曜石のように純粋で透明な光を放つチアキの瞳が俺の視線を捉えていた

俺は彼女を追い払う為に幾通りも用意していた言葉の数々を忘れてしまった。彼女の目にはそれほどの力があった


「私、判ったの。カズ君がとても今大変な状況にいるって事が、だから急いで帰ってきたの」


「あれは俺の責任だ…だから俺が…」


「逃げないで!私の目を見てよ!そんなに私って信用できない?」


「…チアキを巻き込みたくないんだ」


「私の覚悟を買いかぶらないでよ!あの時からずっとカズ君と一緒に居たいってそう思ったんだから!」


「……」


俺は知っている。千秋は生まれつき直感が鋭い事を

彼女の前で嘘を言ってもすぐに暴かれてしまう。そして彼女は嘘を言わない

そんなチアキだからこそ俺は彼女を守ろうとした。一人で背負い込もうとした

こいつの強さを、芯の固さを…俺は無意識の内に見くびっていたのかもしれない

チアキは純粋すぎる。その心に裏切りという刃を突き立てるようなことを俺はしたくなかった

だからこそ俺は非常を貫き嘘を吐く事にした。巻き込みたくなかったのだ


「わかった…だが俺は大丈夫。いつものような喧嘩だ…だから本当かどうかは分らないけど」


「うん…一応わかったよ、カズ君。まずは…ご飯でも食べよう」


「…へ?」


「私、近くのスーパーで食材買っとくから。あ…今日は此処で泊まるから台所片付けといてね!」


「あ…おい!チアキ!」


「腹が減っては戦が出来ぬっていうでしょ?部屋の掃除よろしくね」


チアキはくるりと回れ後ろし、軽やかにもと来た道を戻っていく

あいつの野うさぎのような身のこなしに俺は頭を抱えた。全く切り替わりが早い

もしかしたら俺が喋るまで帰ってくれないかもしれない。あいつは健気だが妙に芯が強く強情なのだ

おまけに俺の部屋が汚れているのも知っている。籍を入れたら中々の鬼嫁になるかもしれない

しかし、悪い気はしない。俺は彼女に何を話すか考えつつも部屋の中のゴミを片付ける事にした

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