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第3話

 リリナさんの風系魔法を強化し始めて三時間後、リリナさんは随分と晴れやかな笑顔で、「また一緒にしようねっ」と言ってきた。これじゃあ行かなくてはいけない。

 今は多分四時頃だろう、僕はもう自宅前に居る。さてどうやってセシリィに言い訳をしよう。

 彼女はよく僕の帰りが遅いと結構追及してくる。

 僕も彼女が瞬間移動を使用するときは彼女の体を心配するが、セシリィの心配は僕とは違うと思う。

 瞬間移動、その他の時系魔法は、他の系統の魔法とは心臓に掛かる負荷の多さが全く違う。

 負荷の掛かる多さが高い順は、一番がもちろん時系魔法、二番が炎系魔法、三番が水系魔法である、しかし時系と炎系の負荷の多さでも全然違う、炎系は時系の三割程度しか負荷が掛からない。そうとなるとセシリィは魔法を使用するとき毎回命を落とす可能性があるのだ。

 そしてセシリィは自分に魔法をかけてもらった。魔法系統は、不明系魔法だ。不明系はその名の通り、属性が全く不明な魔法だ。そして肝心な能力が『逆魔法感知能力』だ。能力はセシリィが魔法を使用すると、セシリィから微力な魔法が発信され、特定の人、僕にそれを感知させるものだ。

 僕には魔法が効かないからセシリィは自分に魔法を掛けたのだ。

 僕は僕に与えられた魔法の攻撃等は効かなくとも、逆、と付く魔法を誰かに掛け、その人が決めた特定の人物が僕なら、僕にも魔法の能力を与えられる。そしてこの魔法の能力はもう一つある、これはセシリィの使用した魔法の大きさに比例して、発信される魔法も変わる、というものだ。

 例えばセシリィが料理に使用する、レベル2の炎系魔法を発動すると、その魔法の十分の一の魔力が発信されるようになっている。

 しかし今現在で逆とつく魔法は『逆魔法感知能力』のみだ。

 今日もセシリィは料理以外に魔法を使ってない、と。

 まぁ、覚悟を決めよう。

「ただいま帰りました~」

 僕はそう言い家の中に恐る恐る忍び込む。

 ……あれ、今はセシリィは居ないのか。何処にいるのだろうか、寝ているのか。ならば好都合、セシリィにいつ帰ってきたのか訊かれたら、セシリィが寝てる間に帰って来たよと言え……ば。

「セ、セシリィ!?」

 僕の声は裏返っていた、それほどにまで驚いた。なんとセシリィはずっと扉に真横に立っていたのだ。

 瞬間移動を使った形跡はないし、まさかずっとこの場所に立っていたということなのか。

「お帰り、レムナ」

「ただ……いま」

 セシリィは微笑みながら僕に歩み寄ってきた。しかもこの笑顔には怒が含まれていた。

 いつも以上に怒ってるし……、どうしよう。

「あのね、さっきパンを届けてくれた娘に聞いたんだけどね」

「は、はい」

 さらに怒りが深くなったと思うのは僕だけか。

 僕たちの家はパンだけを注文している。そしていつも可愛らしい娘に届けてもらっている。

「嘘みたいだけど、レムナとリリナさんが一緒に“仲良く”練習場で練習してたんだって」

 やっぱり、ですか。

 それより仲良くのところを強調しすぎだろ。そこまで仲良くしてないと思うのだけど。と言いたいけど言えない。

「いや、それは誤解で……」

「どこが誤解なの?」

 そうとう怒ってるな、セシリィとリリナさんはそこまで仲が悪くなかったはずだが。

「えっと、やっと仲直りしたからその証というか……」

「その証に皆に仲の良さを見せつけてるの?」

 いや、待て、なぜそうなる。これじゃあ僕が何と答えようがセシリィは延々とまた質問を出してくるではないか。

「いや、そうじゃなくて」

「……バカッ!」

 セシリィはそう言い、階段へと向かう。

「セシリィ……」

 僕はそれを呼び止めようとすると。

 急に扉が開かれた。

 そこにはエルフィティの攻撃隊の情報部の役員が息を切らしながら立っていた。

「緊急です、魔界の奴らが、ほぼ全軍を挙げてこの森に向かっています!!」

「なっ……!?」

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