選ばれし者編「耐性」
「おい! 不明瞭ォ!」
断末魔は保健室の扉を勢いよく開ける。
「え?! なに?!」
ベットで窓辺をぼーと眺めて居たアンノウンはびくっと体を震わせた。
「お前……重傷じゃあ無かったのかァ?」
「重傷だったよー?」
「既に過去形じゃねェか……」
「まー私くらいになるとこれくらいの傷なんでもないんだよ!」
アンノウンは何故か自慢げに言う。
対して断末魔はふうと溜息を付くと、ベットの横の丸椅子に腰かけて言った。
「まァ、なんだァ。お前が無事で良かったよ。それとあれだァ。お前が居て助かった。ありがとよ」
断末魔は少し恥ずかしそうに言うと、アンノウンは驚いた表情を浮かべて言った。
「あーう……改めて言われるとこっちが照れちゃうよ。それに断末魔君……きちんとお礼が言える人だったんだね!」
「……悪かったなァ。ったくあいつらもお前みたいに丈夫だったら良かったのによ」
「あ! 悪気があった訳じゃないよぉ! じゃあどうして今の私が無傷なのか教えてあげるよ!」
「まさかクローンだとか言うんじゃないよなァ?」
「ぶー。違うよー。でも簡単な事だよー。まずは、元々私が一度受けた強い魔力。つまり一度受けた魔法に対して耐性が出来る体質だって事もあるんだけど、それだと良い魔法にも耐性出来ちゃうの」
「それでェ?」
「つまりちょっとした回復魔法とかにも耐性が出来ちゃって大変なんだけどね」
「いやいや待て待て待て待てェ。回復魔法なんて扱える奴は数えるほどだろうがァ」
「なにも魔法だけじゃないよ。魔力増強剤とかも効きにくいんだよ?」
「なるほどなァ」
「それでね。私が魔人の攻撃に耐えれたのは、あれが断末魔君の魔法を真似たものだったから耐性が効いたんだけど、やっぱり強力過ぎてただじゃすまないんだよ」
「それだと何の説明にもなってねェよ」
「だからそれと同じで、私の耐性を上回る回復魔法であれば問題無く回復出来るよって事なんだよ!」
アンノウンはやけに楽しそうに言いきった。
しかし断末魔は怪訝そうに頭の上に疑問符を浮かべる。
「あーうー。つまりその腕の良い医者なら二人も一瞬で完治出来るよ! って事だよぉ!」
「本当か?」
「私が証拠だよ」
「確かだな……」
「紹介してあげようか?」
アンノウンは腰に手を当てて言った。




