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機械天使~魔法と科学と学園と~  作者: 紅きtuki
機械天使~魔法と科学と学園と~Ⅲ
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選ばれし者編side story「伝説の大魔法使組」

 限りなく天井が高い、円柱型の漆黒の部屋がある。部屋の中心には、5つの椅子が円に、それも規則的に並べられていた。それは、座った人が丁度向かい合えるように内側を、向くように設計されている。また、部屋の風景と合わされるように椅子も漆黒で、この部屋には椅子以外に何も無かった。

 まるで、上位のナンバー持ちが会議に用いる為の純白の部屋と、対照的に作られたような部屋だった。しかし、その部屋とは決定的に違う事が2つある。まず、並べられた椅子が、全て同じ高さである事。そして次に、椅子の背もたれの部分に、ナンバーが表示されていない事だ。

 純白の部屋での椅子は、対応するナンバーに合わせて高さが異なった。簡潔には、ナンバー1の椅子が一番高く、ナンバー9の椅子が一番低かった。しかし、こちらはナンバーの表示も無ければ、高さも均等である。そして全ての椅子が、丁度ナンバー1の椅子くらいの高さはあるのだ。それは、この椅子に座る者、皆の地位が等しい事を表しているのだろう。


「ここに、こうして皆が揃うのは、何年ぶりの事だろうか」


「えぇ、本当に懐かしいわね」


 五つある椅子、全てに人が座っていた。辺りは漆黒だと言うのに、この部屋は妙に明るい。もちろん、純白の部屋ほどではないが、それでも十分だった。


「では、これにより、大魔法使いによる会議を始めるとしよう」


 黒いローブに身を包む老人が仕切るように、会議を開始させる。しかし、始まって早々に、その老人へと不信感を抱く者が現れた。


「この会議は蘇った六人の魔女魔人についての会議だと聞いたわ。それで、なぜ魔人が蘇った原因を作ったあなたが参加しているのかしら?」


 それは、以前、非禁禁忌と共に魔人の封印を解いた少女だった。

 そして、その少女の問いに老人は回答する。


「これは、大魔法使いの会議だろう? そこにわし……いや、私が参加して何かおかしな事があるかな? お前達の前で、この私が偽りを吐く事もなかろう?」


 老人は、椅子の肘置きに肘をつき、握られた手で顔を支えながら会話を進めた。


「体を取り戻せるのね?」


 老人に、一人の女性が新たな質問をする。

 その女性は、金の髪が美しく、非禁禁忌と共に魔人の封印を解いた少女の服装と、酷似した黒いドレスに身を包んでいた。

 老人は、視線をその女性に向けると、にやりと笑みを見せ再び会話を進める。


「あぁ。その通りだ。これで、私もようやかつての力を手中に収める事ができる。……まぁ、皆には本当に悪い事をしたと思っておるよ? 実験に失敗した上、魔人を蘇らせてしまい、さらには実験に失敗した私の体は酷く老いてしまって、その魔人を容易く逃してしまったのだからな。そして、一人の青年に、それが私の意図したものだと勘違いさせてしまった。そして私はそのまま、悪者を演じるしかなかった。しかし、時が満ちたこの時、名誉挽回させて貰おう」


 この老人は、以前、非禁禁忌に終われ、ビルの下敷きになったあの老人だった。


「あなたに償えるのかしら?」


 その老人の弁解に、少女は変わる事無く、不信感を抱いてるようだ。

 しかし女性は、そんな少女をよそに、老人に拍手を送った。


「素晴らしい志だわ。だったら、私は何もしなくても良いみたいね」


「ノベレット! 何を言っている?! 今は世界の危機なんだぞ?! 俺達が力を合わせないでどうするのだ!?」


 ノベレットと呼ばれた女性の言葉に、一人の男性が敏感に反応する。

 その男性は、前髪が非常に長く、目は愚か、口元も満足に確認できない程だった。髪色は、クリーム色と明るい。

 今度は、その前髪の長い男性の強い疑問に、老人が答える。


「それくらいの事、お安い御用だ。アンノウンよ。お前も高みの見物をしていればどうだ?」


「馬鹿な! メイガス! お前までも、何を言っている?!」


 乱れつつある会議。その場を一旦区切るように、少女が新たな質問をする。


「ところで、ノベレット。あなたは何を考えているのかしら? あなたが、大人しく身を隠しているとは思えないわ」


「あら。ひどい言い様ね。輪廻、私はね、面倒な事は避けたいの。それに私はこの物語の主人公なのよ? 限りある時間くらい、自由に使わせて欲しいわ」


 輪廻と呼ばれた少女は、鋭い視線を、改めてノベレットへと向ける。それに対してノベレットは、微笑みで返事をした。

 そのとき、割って入るように、メイガスと呼ばれた老人が発言する。


「そもそも、この問題は、態々(わざわざ)、皆が一丸となって、解く事ではないだろう? 我々は、今とは比べ物にならないほどの数の魔人を相手にし、勝利したのだ。今更、少数の魔人に何をそこまで恐れる必要がある? 簡潔な事に、個人で、動けば良いだけの話であろう?」


 ノベレットが、またもや拍手を送る。輪廻とアンノウンは反論できなくなっていた。完全に、ノベレットとメイガスにペースを持っていかれてしまったのだ。


「決まったわね。会議はこれで終了よ。それでは、皆様御機嫌よう」


 逸早いちはやく、ノベレットがその場を後にする。その姿が、光に包まれたかと思えば、その光と共に綺麗に消滅していた。

 それに釣られるように、大魔法使い達は各々に姿を消していく。


『責任は私が取る。何者にも協力は煽らんよ』

『せめて俺だけでも、皆に協力を求めねば』

『ノベレット……あれは、思っていたより厄介過ぎるわ。事態を大きくされる前に、手を打たないといけないわね』

『帰って、寝ようかしら』

『……』


 各々の目的の為に……


キャラ増えすぎだー

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