魔女魔人編「非禁禁忌と魔神」
無残に散らばるステンドグラスの破片。それ以外何も無い寂しげな空間。
そんな場所で非禁禁忌は、地に刺さっている人一人くらいの大きさのステンドグラスの断片を鏡代わりに使って、髪を整えていた。先程の戦闘で乱れてしまった髪を、気に入らない箇所を紅い瞳で睨んでは、手に付けた薬品で補正していく。
やがて、髪を整え終えた非禁禁忌は満足したのか、教会の中心の方へ移動する。しかし教会など既に無かった。そう、教会は完全に崩れてしまって、目印にするものなどほとんど残されていない。つまり中心の基準になるものが存在しないと言う事だ。それにも関わらず、非禁禁忌は迷い無く一定の方向に進んでいく。
そうして、非禁禁忌が足を止めたのは、何の変哲も無い扉の前だった。
先程の戦闘による被害がない綺麗な扉だ。位置的には、中心と言われればそんな気もしないと言ったところだろう。それにしても、非禁禁忌の様子からは、まるで彼は、この扉が教会の中心点だと以前から知っているかのように思わせる。
「おっと、待ちなぁ? 今、それを開かれるのは都合が悪いんでね」
非禁禁忌が扉に手を掛けようとしたその時、背後から男の声が響き渡る。それに対して非禁禁忌は、静かに背後を確認した。
「まぁ、もっとも、お前に開かれるのが、都合に良くないだけだがなぁ」
「……魔神」
「あぁ。そうさ。久しぶりだなぁ。まさか、魔神の中でも1、2を争うこの永久機関様を忘れたとは言わさないぜぇ?」
「……お前が何のようだ?」
「はぁ、ほんとつまらねぇ奴だなぁ、お前って。入り口んとこに倒れてる俺の仲間の敵討ちだっつうたら、どう反応すんだぁ?」
「……残念だが、お前の始末はあいつに任せている」
非禁禁忌は、永久機関と名乗った男の話を半ば無視すると、再び扉に手を掛けようとする。それに対して、永久機関は少しイラついたように非禁禁忌に攻撃を仕掛ける。
「おいごらぁ! 誰が、開けて良いっつたぁ?!」
この章の冒頭は懐かしくなっております。
ちゃんと伝わったかなぁ~。相変わらず説明へただからなー。
頑張らないと(`・ω・́)