魔女魔人編「大魔法使いと関係を持つ者」
「くそッたれがァあああ」
声をあげ、断末魔は、手に持っている鎌で一本の腕を真っ二つにする。
しかしそれと同時に、断末魔の鎌の刃を粉砕しながら、宙を舞って行く腕があった。完全に無力化された鎌。次に腕は、断末魔の右肩を貫通してアンノウンを狙って行く。
左手で右肩を抑えながら仰向けに倒れていく断末魔。
二人の周囲を舞う無数の腕は、攻撃の手を休めなかった。それどころか、本体である髑髏が戦意喪失している断末魔目掛けて、今も接近している。
アンノウンも、持ち前の本で獅子奮闘していたが、ページは破れ、原型などもはや留めていなかった。やがて、ひとつの腕にバラバラにされ、腕と共に宙を舞う有様である。
「断末魔君! 諦めないでよぉ! このままだと二人とも死んじゃうよぉ!! あ~う~、大魔法使い様になんて言おう……」
無数の腕は、もうぼろぼろになった断末魔など狙って居なかった。時期に、髑髏で綺麗に消滅させられるのだ。狙う必要など無い。狙うは、膝を突きながらも両手で抗うアンノウン。彼女はまだ、逃げる力を残している。意思を持たない腕だが、予めの命令なのか、そう判断し、しつこくアンノウンを狙っていた。
「……!?」
アンノウンの肺を貫通して行く一本の腕。声もまま出せなくなったアンノウンは、とうとう地面にひれ伏した。しかし、彼女は重たい体を華奢な腕で引きずり、仰向けで倒れている断末魔の元まで、移動する。
巨大な髑髏は、間も無く断末魔を飲み込もうとしていた。大口を開けて、接近してくる。空気の振動はなお激しくなり、周りの草木、地面を暴れ倒して行く様子が、二人を完全なる絶望へと叩き落す。
「俺は何ひとつ守れやしねェ……まァ、断末魔だからんなァ……」
狂気の苦痛を浮かべる断末魔をよそに、アンノウンは満面の笑みを浮かべる。声が出せないのか、彼女は口を上下させると、最後の力を振り絞って断末魔の上に倒れこんだ。
そして、大きな髑髏が二人の姿を隠していく。
ここで、アンノウンちゃんの設定がまたひとつ明かされましたね。
どういった関係なんだろうか?
それはまだ秘密です。