非禁禁忌プロローグ『目的』
全ての光を遮断する不可解な館が存在する。その館は外からの光はもちろん、中からの光をも拒絶し、常闇に包まれていた。具体的には外からの光は絶対に中には通さず、館内で発行する物を用意しても光は生じない。実際の所、光は発生していのだが発生した直後、闇へと帰される。
そんな闇の中で非禁禁忌と称される青年はまた、戦闘を行っていた。
「また、偉大なる神殿を襲いに来たか。良い加減にしたらどうだ、非禁禁忌よ」
青年に話しかける人物。暗闇でよく見えないが声で誰なのかが分かる。以前、ステンドガラスだけで出来た建物に居た老人だ。やはり暗闇で見えないが、恐らく黒きローブに身を包んでいるのだろう。
そして、またもや青年は老人の問いには答えない。ただ黙って老人に近づき、機がきたら魔法名を唱えるだけだった。
非禁禁忌は、今までそんな事を数回、繰り返してきた。
ある時は、大きな鏡が保存されていたとある神殿。
またある時は、ステンドグラスだけで来た神秘的な神殿。
そして、あらゆる光を遮断する不可解な神殿。
どうやら青年の目的は神殿ではなく、この老人らしい。
「非禁禁忌……お前の目的は未だ分からぬが、世間がお前を何と呼んどるか、知っとるか?」
やはり青年はその問いに答えない。どこを見ているか分からない虚ろな紅い瞳で暗闇にも関わらず、しっかりと老人を睨み、ただ老人へ近づいて行く。そして、
「……Fortuna『エターナルライフ』」
静かに魔法を唱え、光を発さない黒き雷を纏う漆黒の剣を老人へ振りかざす。
それを老人は老体とは思えない脚力で後ろに4m程飛び、回避する。が、老人は唐突に崩れ落ち、跪く。
「ふ、地形の利を上手く使いおったか。さすがは『非禁禁忌』と称されだけはある。」
老人が跪いた理由、それは光を発さない黒き雷による物だ。剣の直線状に光を発さない黒き雷が放たれ、目に見えぬ雷は老人を追い掛けて行く。それ故、老人は攻撃を回避する事が出来なかったのだ。
だが老人は立ち上がり、余裕のある声で、唐突に青年に別れを告ぐ。
「さらばの。『裏切り者』」
それと同時に青年が追いうちを掛けようと駆けだす。
しかしその途端、老人だけが消えたのか黒きローブだけがふわりと地に落ちて行く。
あとがき、
今回はとうとう少年の目的の標的に付いて書かせて頂きました。
そして、謎の老人。
二人には一体どんな関係があるのでしょうか。
そして未だ、学園は形を見せない^^;
次回からはしばらく断末魔様について書こうかと思います。
そして、念願の学園が! 出るといいですね^^;
いや、むしろ強引に出すっても有りか……
まぁ、断末魔様もストーリーに大きく関わってくるので、
次回からは大活躍して貰いましょう^^;