魔女魔人編「非禁禁忌に見合った試練」
魔力が安定しない上に、訪れた者の力に見合った試練を与えてくると言う、魔人の最終セキュリティー。訪れた者の力に見合った試練を与えてくると言うのは、『万全の状態』での実力の事だ。
そんな危険なこの場所に非禁禁忌は居た。
あの非禁禁忌だ。ここがどういう場所だか、知らないわけではない。だが、彼にはここに来なければならない理由があった。
「……俺には成し遂げなければならない事がある」
左手首から手の甲周辺を包帯で隠している青年は、魔法名を呟き周囲に浮く紅半透明の武器に触れる。
その瞬間、さっきまで半透明だった武器は色を得、その実態を明らかにする……が、その様子が、今までとは大きく違っていた。
と言うのも色を得た武器は、周囲の景色と気味が悪いくらいに同化していた。
具体的にはその武器までもが、あろう事かステンドグラスで出来ていたのだ。
「……面白い展開だ」
さらには武器を手に取った青年までもが、ステンドグラスへと変化していってしまう。右手の指から徐々に、手首へ、腕へ、胸へ、さらには顔へと侵食して行く。しかし、青年に苦しそうな表情など一切無かった。
「……Cide『ジェノサイド』」
それに対して非禁禁忌は、自分がステンドグラスに侵食されていく光景を目の辺りにしながら先程、呟かれたばかりの魔法名を呟き返していた。そう、自分に良く似たステンドグラスと戦う為に。
「……もう終わりにしよう」
ステンドグラスで出来た道を、二人は同時に走り出す。ステンドグラスの道の下には、恐らく何もないだろう。なぜなら、ステンドグラスの下は底無き闇が空間を支配しているだけだからだ。落ちたらどうなるかは、わからない。もしかしたら、底の無い空間を永遠に落とされるだけかも知れない。それだけならまだ良い、最悪、落ちた瞬間、その存在を消去されるかも知れない。そんな危険な場所を非禁禁忌は全速力で駆けていく。
この先にある、世界の平和に繋がる何かの為に。
「……俺には成し遂げなければならない事がある」
入れるか入れないか悩みました。
入れました。