魔女魔人編「Seraphimarm」
断末魔が蹴り飛ばされ、この場から退場した事により、女の子3人組に戦慄が走る。
その証拠に那由他と葉乃愛は顔を真っ青に染め、冷や汗を流している。しかしアンノウンだけはそこまで追い込まれていないらしく、冷や汗を流しながらも何とか構えていた。
そして女の子達の中で一番余裕のあるアンノウンが、男に問い詰める。
「君は誰?」
「俺か? 俺は卒業確定者、ナンバー1の涅槃寂静Akasha。と言ったら通じるか? ナンバー8さん。俺がここまで名乗ってやってんだ、感謝しろよ」
「ナンバー1の涅槃……寂静……そ、そんな人がなんでこんな事するの? 私達、何か悪い事した?」
涅槃寂静がその問いに答えようと、口を開けかけた時、何者かが割って入る。
「おしゃべりはおしまいだァ……不意打ちとは良い度胸じゃねェか? 学園のナンバー1さんよォ?」
そう言って穴の空いた壁の先から猛スピードで走って近づいて来る。
涅槃寂静は断末魔のその反応に驚いた。なぜなら、力の差が分かっているにも関わらず、臆す事無く立ち向かってきたからだ。そして何よりも断末魔のその態度は演技などでは無く、正真正銘の反応と言う事に。
しかしナンバー1もそんな事でいちいち臆すはずも無い。
「今の俺は機嫌がわりぃぞ?」
ナンバー1はただそう言って、断末魔、目掛けて走り出す。
その様子を女の子3人組は見守り続ける。
「Defragmentation『断片化』ァァァァァァ」
「アリストテレス『topos』」
2人の魔法名が交差する。
同時に2人の周りに魔法陣が出現する。
断末魔の魔法陣は相変わらず、黒い門を模様していて、禍々しい。それに比べてナンバー1の魔法陣は2つの魔法陣が重なっており、下の魔法陣が赤く、上が茶色い。
その事が断末魔に確認出来た、次の瞬間、ナンバー1の二つの魔法陣が分裂し、断末魔を上下で挟むような位置に移動する。
「何の真似だァ?」
断末魔は上に浮いている茶色の魔法陣と、足下の赤の魔法陣を順番に見つめながらも、加速する。そしてナンバー1と、あと数歩と、言う距離まで詰めた時、断末魔の黒き門が開かれる。
乱暴な事にも何かが魔法陣を突き破ったらしく、ガラスのように破片が飛び散っている。
その次の瞬間、断末魔が細い腕でナンバー1を殴りかかると同時に、破られた門から、2本の人の腕を模様した巨大な機械が周りの壁を破壊しながら飛び出す。
そして機械仕掛けの腕とも、腕を模様した機械とも言える、それはナンバー1をがっちりと両手で握りしめ、決して逃げられない様に束縛する。
「Seraphimarm、機械天使の腕に握られる気分はどうだァ?」
断末魔はそう言って腕を、後ろへ払う。すると機械天使の腕も釣られるように、校舎を破壊しながら、後ろへと移動する。そして力一杯に腕を振るう。
その結果、ナンバー1はアンノウンに投げられた時とは、比にならない速度でそれも治すはずの校舎を豪快に破壊しながら、校舎の中を無理矢理突き進められる。
あとがき
機械天使……やっとタイトルが小説内で出てきました。
最初から出す予定で書いていたんですが、なかなか書けずに、ここまで来てしまいました^^;
涅槃寂静 Akasha……
Akashaには空間と言う意味が込められています。
涅槃寂静は、うん、説明長くなるからここでは控えておきます。