魔女魔人編「探索気分」
「隣の校舎から大きな音がすると思ったらァ……なんだァ? こりゃあ?」
断末魔はその隣の校舎の変わり具合に、呆然としながら絶句としていた。
それもそうだろう、自分の気に入った授業が開催される度に足を運んだ、まぁまぁ愛着のある校舎の渡り廊下が跡形も無く崩れ落ちて居るのだから。しかもそれだけでは無い、大きな音が鳴ってから数分しか経っていないと言うのに、もう修復の跡が見えると言うのだからなおさらだ。
しかし、肝心な事にその修復をして居た人物が見当たらない。その人物に話を聞けば少なからずとも、状況が少しは飲み込めるだろうと判断したのだが、どこを見渡しても一向に見つかる気配がしない。それどころか、誰も見当たらない。
その様子からは、この校舎には誰も居ない孤独な廃墟、と思わせる錯覚を覚えるほどだ。
しかし校舎内は綺麗に掃除されていて、埃なども見当たらない、不思議だ。
「と、とりあえず断末魔様……先頭で奥に行ってくださいよ。私こうゆう雰囲気苦手で……」
珍しく那由他が弱気で、断末魔の影に入ろうとする。
その後ろに葉乃愛がまたもや丸腰で、さらにその後ろでアンノウンがポケーとしながらついて行っている。
アンノウンのその様子に葉乃愛が食い付いたらしく、なぜかこそこそと話しかけている。
「ね、ねぇ、あんた……なんでそんな放心状態なのよ……」
「あ~う~」
アンノウンの適当な返事に、だめだこりゃ、とため息をつきながら再び、前に集中する。
するとそこには中庭に続く小さな扉があった。その大きさは、人が2人通るのが限界なほどの大きさで、今は特に急いでいる訳では無いので、当然、1人ずつ、扉を通る事になる。
そしてまず、先頭を行く断末魔が扉を通る。
「これはひでェな……」
崩れた渡り廊下は、校舎の外から確認できるくらい被害が大きい。現に外から中の様子を確認した、断末魔達がここに来ている訳だから、相当大規模な事故だ。
「近くで見るとよりひどく見えますね……いったいどんなレベルの魔法使いが暴れたんだか……ナンバー持ちは確定ですね」
那由他が客観的に捕らえた感想を、断末魔に述べていると、急に後ろから大きな音がする。
慌てて振り返ると、さっきまで放心状態だったアンノウンが斜め上に何かを放り投げたらしく、上へ上へそれも斜めに大きな穴を開けていた。
「なんだァ?」
状況を上手く理解できない断末魔と那由他が、頭の上に疑問符を並べている。
葉乃愛は辛うじて何が起きたか理解しているらしく、急いで断末魔の後ろへ隠れると、
「だ、断末魔様! 敵、敵、敵、が来たわよ! は、早くやっつけちゃいなさいよ!!」
なんて無茶振りだァ……、と心の中で呆れながら呟いていると、不意に後ろから声がする。
葉乃愛や那由他のものではない、明らかに男の声だと認識できるがどこか軽い声が……
「ったく、何で上位のナンバー持ちが2人も居やがるんだぁ?」
それと同時に男は断末魔の背中を蹴り飛ばす。
断末魔は何の抵抗も見せずに、この男同様、コンクリートの壁に大きな穴を開けながら、どこかへ飛ばされてしまう。
あとがき、
体育祭が終わり少し落ち着いてきました~。
しかし次は文化祭……
2学期は忙しいですね……
と言う訳で、久しぶりの戦闘シーン?です。
あ、非禁禁忌とナンバー1との闘いを忘れてました。
まぁ、少し、しか闘わなかったのであれは、ノーカンと言う事で^^;