魔女魔人編「迷子」
会議が終わり断末魔は部下たちに予め(あらかじめ)向かわせておいた保健室へ向かっていた。
会議が終わってすぐ顔を洗ったのか断末魔の顔に付着していた血は綺麗に拭き取られており、他の生徒たちも断末魔を特に凝視する事は無かった。
しかしそれでも断末魔は視線を集めてしまう。なぜなら、かの有名な断末魔が身近を歩いているからだ。誰だって有名人を視界の端に捕らえてしまうと、どうしてもそちらに振り向いてしまうものだ。
だが断末魔はもうそんな状況は慣れてしまったのか、周りの生徒にまったく興味を見せずただ保健室を目指して歩いている。それもただ闇雲に。
「あァ? どこだァ、ここ……」
この学園には無数の学び舎が存在する。
その中で自分の気に入った授業を開催する学び舎を見つけると、そこへ授業を受けに行くのだが、そうなると授業を受ける学び舎が毎回、変わってくる。
その結果、断末魔のように迷子になる生徒が続出する訳だが学園もそれに対する対処はちゃんとしてある。
そしてその対処なのだが、あろう事か校舎内にデパートに有りそうな巨大な地図と、その地図を見ても分からない人の為に『ご案内センター』と言う物が設置されている。
しかし『ご案内センター』の世話になるのは恥ずかしいと言う人が多い為、その肝心の『ご案内センター』はほとんど利用されて無かったりする。
その結果『ご案内センター』の係員は何もすること無く、冷房の利いた部屋で、仕事を終わらせる事が出来るので、最近、若者に人気のアルバイトであったりもした。
そんなあからさまに、らくして稼ぎたいと言う欲望だけの人が担当する『ご案内センター』に断末魔は地図すら見ずに何の躊躇も無く、向かい、係員に問いかける。
「保健室を探しているんだがァ?」
若い係員がフロント越しにめんどくさそうな顔をしている。
断末魔がその事に少しイラつき始めた時、後ろから良く聞き慣れた声が聞こえる。
「断末魔様~。こんな所に居たんですかぁ~。遅かったんで探しに来たんですよ~。ん? ご案内センター? ……ふふふふふふ……もしかして迷子になったんですか? ふふふふふふ……」
声の主は那由他だった。そして台詞の内容が見事に腹が立つ。
しかし正論なので何も言い返せない断末魔。彼は体をわなわなと震えさせると拳を強く握り、
「ちっ、こンなタイミングで来やがって……行くぞォ!」
「は~い! ふふふふふふ……」
軽く顔を赤く染めながら歩き出す。
那由他はその後ろでニタニタとした笑みを浮かべながらヒヨコの様について行く。
あとがき
断末魔様のイメージが崩れていくゥゥゥア!(屮゜д゜)屮
しかしそれも有りだな、と思う今日この頃。