魔女魔人編「裏切り者」
滝の様な豪雨の中、今は人が居ない廃墟ビルが存在する。
そのビルはやはり人が使ってないおかげで、汚れがひどく、ガラスは透明感を失い黒ずみ、場所によっては割れ、雨水などがたやすく侵入していた。
そして、非禁禁忌と呼ばれる青年と黒きローブを身に纏う老人は、そんなビルが永遠と平行に並び、出来上がった道のド真ん中で会話をしていた。
「しつこいのぉ。まだ、わしを追って来るか……『裏切り者』しかしお前も可哀想な奴じゃな。なぜかは解らないが、わしを倒す為に悪に成りすまし、世間から罵倒されておるのだからな。そろそろ、教えてくれまいか? そうまでして、わしを追いかけて来る理由を」
「……しらばくれるのも、いい加減にしたらどうだ。俺が気付かないとでも思っているのか? 魔女、魔人の件だ。例え、世界の全てが俺の敵になろうとも俺はその世界を救って見せる」
「気付いていおったのか……じゃったら、話は早い。フォフォフォ……その生き残りはな、学園に向かわせたわ。しかしそこへ向かうのは、このわしを倒してからにするんじゃな。新・古代魔法『ライトレイディエーション』」
老人はそう言って、今までローブで隠れていた手を出すと、空に向けて指差す。そこから直径1mほどのレーザーが魔法陣に囲まれながら放出され、空高く上がって行く。そして重力を受けるのか徐々に減速して行き、やがて放物線を描き徐々に加速しながら非禁禁忌の元へと向かって行く。
それに対して非禁禁忌はレーザーを受け止める為、左手を頭の上へ持って行くがレーザーがその手に当たる瞬間、何本もの小さなレーザーへとなって四方八方へと散って行き、周囲のビルを破壊して行く。
その結果、その襲撃に耐えられなかったビルは次々に転倒して行き、非禁禁忌へと覆い被さる。
日常生活では聞けそうにも無いビルが転倒する強烈な音と共にガラスが割れ、アスファルトが割れ、瓦礫混じりの砂埃が上がって行く中、何とか転倒は免れたビルの屋上からその様子を楽しそうに眺めていた。
「まだ終わりではあるまい。古今魔法『ダークレイディエーション』」
老人の手に黒い弓が握られる。そして矢を装着されていない弓の弦を力強く引くと、砂埃が晴れかけてきたビルの山に向かって、弦を離す。
すると、矢が装着されていないにも関わらず何かが放たれ、ビルの山を粉々に吹き飛ばす。
老人はそれを満足げに眺めていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえる。
「……Cide『ジェノサイド』」
慌てて後ろを振り向くと、そこには半透明の武器を今、まさに手に取ろうとしている非禁禁忌が傷はおろか埃一つ付けずに老人を睨んでいた。
そして非禁禁忌の手に掴まれた斧は色を得、その実態を明らかにする。
そのまま非禁禁忌は間髪入れずに斧を投げる。
風を切るような音を周囲に鳴り響かせながら激しく回転する斧、その回転数は凄まじく、その回転によって生み出された衝撃は屋上のコンクリートを小刻みに刻み、遠く離れた老人の黒いローブをも切り裂きながらひたすら直進する。
老人はその斧をご老体とは思えない様な脚力で跳ね上がり斧を回避するが、すでにその上には非禁禁忌が巨大な大剣を持って先回りしていた。
老人はその事に気付くも空中では身動き取れない為、無情にもただひたすら非禁禁忌へと近づいて行く。
「……もう、終りにしよう。」
非禁禁忌はそう言い、目の前に迫った老人を大剣のみねで叩き落とす。屋上を貫き、次々に床を貫通しながら最下層へ叩きつけられ、不安定になったビルが覆い被さる。
非禁禁忌は別のビルの上から、埃が晴れるまでそれを見届けると独り言を残しこの場を去る。
「……学園か。久しぶりだな……」
あとがき
久しぶりの主人公の登場!
まぁ断末魔様も主人公なので、出番が偏ってしまうの仕方が無い事です。うん。
さて、今回は非禁禁忌と老人との戦闘を書かせてもらいました。
かなりカットしたんですよね……異様に長くなったから……
そして戦闘に勝った非禁禁忌が学園へ向かう伏線も残しています。
やっと主人公2人が活躍するシーンが書けそうです。
そして非禁禁忌には悪いが、私は断然断末魔様の方がお気に入り。
(作者がこんなこと言っていいのですかね^^;)
そして一件落着するまで長い^^;
物語はこれからって感じですもんね……かなりの長編です……
非禁禁忌
性別:男
年齢:16歳 ?
性格:無口
備考:学園を守るため、自ら悪役を演じる主人公。詳細は不明。
代表台詞: 「……もう、終りにしよう」
代表魔法:Fortuna『エターナルライフ』
Cide『ジェノサイド』