第8話 宝!飯!ふかふかのベッド!〜新たな悩みを添えて〜
「ふぅ。着いた着いた」
ダンジョン攻略を完了したじゅんきは、冒険者ギルドの前で1人呟く。宝箱という戦利品を抱えて。空はオレンジに染まりつつある。大体、4〜5時くらいだろう。ここで、じゅんきの腹の空きレベルは頂点に達した。宝箱を持つ力がだんだんと弱まり、このままでは手から落ちてゆく。このままではまずい。そう思い、じゅんきは最後の力で少し早歩きをし、報酬を貰いにいくのだった。
ギルド内にて…
「す、すごいですよ!じゅんきさん!この黒い覇気を纏った魔法石!これは堕チシ呪イノ魔術師という討伐ランクSSSの魔物の魔法石ですよ!こ、これを見れる日が来るとは。物理でも、魔法でもダメージがほぼ効かないこの魔物を1人でどうやって倒したんですか?教えてくださいー!」
周りの冒険者達が「えぇー!」驚いている。それもそうだが、今日のスタッフ。めっちゃぐいぐいと来るな。まぁ、眼鏡美人にこんな風にグイグイ来られるのはまぁ、悪くはないが、早く報酬が欲しい。飯を食べたい。そのためにも取り敢えず、このまま黙っておくよりも質問に適当に答えるか。めんどくさい。…にしても、腹が減ったよぉ…
「な、なんか、弱っていたのかは知らないのですが、攻撃を何回かすると倒れましたよ」
「そ、そうなんですね!それでも凄いですよ!ただでさえ、黒い覇気を纏っているから、近づいたりするだけでも色々なデバフがかかり、そこで倒れるとは聞くのに、本当に不思議ですね!奇跡です!冒険者達の憧れなのに、そんなにも簡単に…ランク不明と出たと聞き、アキラ(冒険者登録をしてくれた人)が真ん中のCとしたと聞きましたが、貴方はもっともっと上のランク、いや、最上位ランクの冒険者になれるかもしれませんね。あっ!す、すみません!つい話し込み過ぎてしまって、もう日が落ちてきてしまいましたね。疲れもあると思いますし、取り敢えず、登録料を差し引いた報酬金を渡しておきますね!続きを聞いたりしたいので、また明日、用事がなければ来てください!いえ!用事があっても来てください!」
「お、おう」
そんな会話を終え、じゅんきの目の前から魔物の魔法石を含めた戦利品と引き換えに、報酬のお金が入った袋がズドン!と鈍い音を立てて置かれた。うわ。すげぇ、登録料がいくらなのか知らないが、それを引いてもこんなに沢山のお金がやってくるとは、倒した甲斐はあったかもしれないな。…取り敢えず、腹減った。体綺麗にしたい。お布団で寝たい。その考えしか今は頭にない為、お金をもらい、飯屋へと向かうのだった。
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あれから、この世界初の飯屋でご飯を済ませ、体を綺麗にし、いい宿を見つけた為、そこにチェックイン。今は用意されている布団にごろごろと転がっている。外はもう日が落ちて、暗い。元の世界の時みたいな街灯がないから、すごく暗く感じた。飯も、かなり美味しそうな所を見つけて、すごく沢山注文した。(超大きな肉だったり、沢山のパンなどという、こういう異世界ならではの食べ物!って感じだった。ちな、美味だった)宿だってちょっと高そうな雰囲気のところに泊まっている。それでも、お金はほとんど減っていない。本当に皆からすれば凄い相手だったのだろうと改めて感じた。まぁ、弱ってもないあいつをほぼ一発で仕留めたんだけどね。そんなことを思いながら、ふと、あのダンジョンでの出来事を思い出した。
「ナ、ナニ!?キ、キサマハ…キンダン…ワレラノニクキテキイィィィィィ!!!!!」
「マジュウショウカン!シュツリョクサイダイ!ワレノスベテヲササゲテショウカンスルゥゥ!!」
「オマエノイノチハナイゾ!キンダンー!オマエハココデハテルノダー!」
こうして思い返してみると、ダンジョン内で出会ったモンスター全てはおかしかった。禁断の力を纏って探索していると、それまでは敵として見ていた俺のことをまるで化け物だという目で見て、一目散に逃げたり、ボスに関してはまるで親や住処をめちゃくちゃにされた宿敵に向けられるような恨みの籠った目つきをしていた。ブラック。お前、なにをやったんだ。そう、俺は思ったと同時に、「この力は、本当にピンチの時しか使わないようにしよう」と考えた。しかし、これには新たな問題が浮上した。
「だけど、それはそれで俺が戦うための手段がなくなるんだよなぁ。錬成できる技能があるとはいえど、銃とかを作るのは…」
そう、俺は知っていた。異世界転生もので銃とかを扱う作品を。アニメとか見てたから超わかる。すごく好きな作品であったが、流石に戦法を真似ることや武器で戦うということにはじゅんきは謎に抵抗がある。なぜなら、自分はその主人公ではないからだ。更にこの方法をも使わないとなると、魔法や物理攻撃があるが、俺自身は魔力は持ってても、魔法が一切使えない。技能の効果で。そして、近接戦闘も、防御力が0、HPも10というクソ雑魚のため、前線も無理である。2回まで耐えれるとはいえどな。…ならば、どうすればいいのか。そう考えていると、脳裏に一つのアイデアが浮かんだ。
「合体獣。そうだ!これから出てくる敵達の弱点を分析し、弱点を補い合いができている奴を作って仲間にすればいいんじゃね?」
まさに名案である。単に魔物などを従えるだけではなく、弱点を少しでも少なくすることで、より強い味方ができるという算段である。あと、自分で作れば、感情とかを意のままにできそうだから。そして、この方法を思いついた理由は、自分がクソ雑魚の体ということ、そして自分の趣味の一つであったカードゲームで俺が愛していたデッキのキーカードがモンスターとモンスターを合体させたというものであった。…元ネタでは無理矢理合体させたという設定だが、俺はそんなことをしたいというわけではない。生きたまま無理矢理に合体させるのには抵抗がありすぎる。しかし、倒してしまうと、実体は残らないし、難儀である。…まぁでも、今は取り敢えず、考えても仕方ない。夜も遅いし、明日はまたギルドへと行かないといけない。そして、何より、自分で作った車をいい加減草むらに隠しておくのは嫌である。やらなければいけない課題はまだまだ山積みだな。そう思いつつ、じゅんきは考えるのを止め、深い眠りへとつくのだった。
全然ハーレム要素がない!?まぁ、慌てるでない。まだだ、まだその時ではないのだ