第5話 暗闇より出でて、街へと出る主人公
「おぉ。来たぜ。ついに、これが外か!」
あの光は外の光で間違いではなかったようだ。辺りには木々が立ち込める。どうやら森の中らしい。じゅんきはブレーキをかけ、同時にギアを落とし、車を停めた。そして、外へと出る。ここに来て初めての空、そして空気。空気はやはり元に居た世界と同じ空気ではなかった。当たり前だが。しかし、そんなことでさえも感動する。何日間あそこにいたのはわからないが、長いことはわかる。この世界に転生してからは空を見たことない為、じゅんきは嬉しかった。じゅんきは振り返り、自分が出てきた暗闇を見た。奥の奥は暗黒に包まれていて、やはり、超長い距離があることを再確認した。その暗闇に向かってお辞儀をし、じゅんきは再び辺りを見渡した。…すると、遠くに建物がいくつかあるのが見えた。街だ。初めての人と出会うことができる。ここの世界の人はどんな感じなんだろう。建物はどんな風な建物なんだろう。それが気になった。じゅんきは街へと進むことにし、再び車に乗り、街を目指した。
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「ほうほう。すっげぇ。RPGの世界みてぇだ」
車で街に向かい30分はたったかもしれない。街の手前くらいで車を降り、車を収納する方法はわからなかった為、取り敢えず、茂みに隠した。バレないといいけど。そう思いつつも、初めての街を探索する。どこらヨーロッパの方を思わせる様な建物が並び立ち、ザ・異世界!って感じの服装の人々をしている。…てか、さっきから俺、見られてね?なんでなんだろうと不思議に思い、近くの窓で自分の姿を見た。
「……あっ」
あ……汚い。誰が見てとすぐにわかるくらい。元はきれいだった学校の制服が黒く汚れてる。しかも服以外にも、体全体が黒く汚れてる。ずっと暗闇生活で気づいてなかったが、ここにきてからずっとこの制服だったな。取り敢えず、服の新調と、体を綺麗にすることが先決だなと思い、服屋を探すのだった。
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「髪が白くなってる...しかも目も色が違う...」
服を新調し、その服屋に体を綺麗にできる所を聞き、体を綺麗にした後、鏡で自分をじっくりと見て思わず口に出してしまった。髪の毛は多分素材を集める時の石埃などで黒くなっていたから気づかなかったのだろう。元は真っ暗な髪の色が真っ白になり、黒い瞳が明るい青へと変わっていた。たぶんこれは儀式の時に力を得た時の副産物だろう。…にしても、見つけた服屋の店員には悪いことをしてしまったと思う。汚い格好で店に入ったからだ。その格好だったからか、体を洗える場所を教えてくれたのはラッキーだった。お金に関しては、ブラックのくれた袋の中にあったものを使った。まぁ、少なかったからそんなにいい生地の服ではないが。(ちなみにあまりお金は持ってなさそうな見た目である)そして、服を買った後に体を洗えるところ、洗い場に行った。もといた世界の風呂屋と何ら変わらない雰囲気で、シャンプーも、ボディーソープもあったりした。まぁ。名前はシャンプーとかは書いておらず、頭、体だけしか書いていなかったのだけどな…まぁ。そんなことはいい。体を綺麗にし、服を新調する任務は完了した。しかし、次の問題が浮上した。
「お金が無くなった。それに、安心できる環境に来たからか、眠いし、腹も減った」
ここに来てから、飲まず食わず、睡眠なし!とかいう生き方。そしてそれを解決する為のお金もない。ちょっとばかしでもくれたのは助かるが、せめてもう少しくらいは入れておけー!と俺は愚痴を心の中でこぼした。…いや、待て王混じゅんき。焦るには早い。お金という概念があるなら、支払う以外には稼ぐという方法もある。そして、ここは異世界!!ということはつまり!
「冒険者があるということだ!!」
思い立ったがすぐ行動。じゅんきは冒険者ギルドを探すことにした。