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第44話 一難去ったら次百難

「…お、俺様はなにを…」


「暴走していたんだよ」


「…ハハ…やはりまだこの力には慣れないか…そんな俺様の全力の力をだしても、貴様に傷がついていないあたりを見ると、俺様の敗北というのがよくわかるな」


かなりしょんぼりしたような、だが、安堵したような声色でポーラーはそう口にした。…もう正気に戻っているようだった。安心したじゅんきである。


ポーラーは皆に自身が敗北した旨を自身の口から言った。シストリエス達じゅんき側の奴らはとても嬉しそうにしてくれた。本当にいい奴らである。そして、兵士側は悔しそうな顔をしていたものの、そこに恨みはなく、どこか安心したような表情だった。


「…合格だ!貴様に俺様の力の全てを授ける」


そうして、獣王は儀式をすぐに始めた。…貰うけども、意見を聞けよとはじゅんきも思った。


そうして、じゅんきは結構あっさりと獣王の力を得た。…やはり、ブラックの時のような苦しさは無かった。


「…終わった終わった。俺様もようやく肩の荷が降りるってもんだぁ」


「肩の荷が降りる?」


「あぁ、そうだ!俺様は負けた!そして獣王の力は貴様に渡した!…つまりだn」


「あーあー聞きたくなーい聞きたくなーい。すごーく聞きたくなーい」


耳を塞ぎ、大声でポーラーの話しを掻き消した。…この先のことを聞いてしまったら、自身の目指す道に遠くなる。そう直感で悟ったからだ。だがしかし、その抵抗も虚しく、近くに嬉しそうに来た何も状況を理解していないシストリエスに正面から抱きつかれ、声をあげれなくなってしまったので、ポーラーは話を続けた。


「小娘よ。感謝するぞ。そのままその者を抑えておいてくれ」


「わかった…わ?」


シストリエスは突然のことに理解は出来なかった。じゅんきは最愛の恋人に恨みの感情をちょっぴりだけ抱いた。


「よし、先程も言った通り、俺様は貴様に俺様の力を渡した!つまりは貴様が俺様に変わっての王だ!!」


そう高らかにポーラーが宣言すると、その場にいた立っている兵士は全員じゅんきにひざまついた。


「お、王…じゅんき…が?」


「お、王混様が…?ここの?」


シストリエス、そしてガタル達全員が口をあんぐりと開けている。じゅんきはシストリエスに抱きつかれつつ、「だから大声出してたんだよ…」と、小声で呟いた。


「さぁ!新たなる王よ!なんなりと命令を!」


「命令しねぇかな。俺は獣お…いや、お前の力を手に入れただけの一般冒険者だ。王になんてなりたくない」


じゅんきは驚くことなく拒否した。…読めていた展開だからである。


「だが、王になれば貴様の言うすろーらいふ?とやらができると思うぞ!」


「王になることでスローライフは実現できない。なんなら遠くなる。俺は王になりたくてここに来たのではないしな」


「だが…ここではここでの力が最強の奴が王となり、皆を指揮する者となるのが、ここでのルール。貴様は最強の俺様に正々堂々と戦いを挑み、俺様は負けを認めて王の力を貴様に渡したのだ。だから、貴様はここの王となるのが…」


「そんなことは知らん。それはここでのルールだ。俺はここの住民ではなく、様々な所を冒険して、スローライフを欲する冒険者だ。力はありがたく頂く。だけど、ここの王にはならない。それにここはお前達獣人の国で、お前がかつて選んだ獣人の住む場所。お前が選び、そしてここに拠点を構え、皆と生活を共にしてきた。王というのはただただ力だけがある者ではなく、力、知識、統率力のある奴…お前みたいな奴を指すと思うぞ」


じゅんきは、シストリエスから離れ、ポーラーにそう言った。統率力とかなんとかの言葉を使ったが、結局はただただここの王にはなるのが面倒くさいのである。


「…ふ、ふふふ。ハーッハッハッハ!!貴様!面白いな!王になることは嫌と言い、あまつさえ、この俺様に説教とはな!…だが、宣言した手前…」


「なら、聞いてみよう」


そう言い、じゅんきは兵士達に聞いた。


「アイス・フォレストの住民よ。今一度問おう。俺は先程、この隣にいる奴を倒し、獣王の力を得た。こいつは俺が王になることが相応しいというが、お前らはどうだ。これはこいつの気持ちとかではなく、本心を言え」


そうじゅんきが言うと、兵士たちは少しの間ざわざわとした。


「お、俺は…獣王さ…いや、ポーラー様について行きたいです。例え、獣王の力を人間に渡したのだとしても、王は王です」


そう、1人の兵士が言ったことを皮切りに、皆がポーラーの方がいいとじゅんきには申し訳なさそうな感じで言った。


「…な?」


「お前達…」


「ここは獣人の国お前の国。人間族の国でもないし、俺の国でもない」


「本当に、いい奴だな、貴様は」


「いい奴じゃないさ。当然のことをした。では!ここの王に一瞬でもなったものとして宣言しよう!獣王の力は俺、王混 じゅんきが頂く。だが!この国の指揮は隣のポーラーが再び行う!俺は王の座を降りる!」


そう宣言した。兵士達はじゅんきに感謝の念をしっかりと伝えつつも、ポーラーが王になったことを嬉しく思ったことを口にした。


一難は去った。こうして、じゅんきは新たに王の力、獣王手に入れたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「なるほどな…まさかホナークルのみならず、ブラックまでもがそこまで貴様のことを気にいるとはな…驚きだな」


「そうなのか?俺としてはホナークルはまだしも、ブラックは割と最初からフレンドリーだったな」


日も落ちた夜。じゅんきは現在、ポーラーの城の客間に案内され、ポーラーとの会話を楽しんでいる。


シストリエス達は受けた傷はそこまでひどくはないのだが、ほぼほぼ数の暴力とも言えるような大群と戦ったせいか、かなり疲弊しており、全員寝床を見るなりそこにダイブしたきり起きなくなった。疲れから寝てしまったのだろう。


その場は一旦カースにすまないと思いつつカースには治癒をしてもらうように命じた。カースは嫌な顔ひとつしなかったなので、本当にいい奴を作ったと思った。じゅんきとポーラーは、シストリエス達を起こさないように別の部屋へと移動した。


「…貴様はこれからどうするのだ?」


「…そうだな。一旦ガタル達獣人達をあいつらの住んでいるデミズに返しに行った後に、また新しく王の力を求める旅をするかな」


「なるほどな。すろーらいふ?を手入れるためか?」


「そうだ。その為にだな」


「…貴様が良い旅ができることを心から願うとしよう。本当は貴様にここの王を継いで欲しかったがな」


「無理だな。俺は王って柄じゃない。国民だって俺を求めてない」


「そうだな」


そんな会話をじゅんきとポーラーは夜が明けるまで続けるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「…それでは、また会おうぞ。勇敢なる者達。そして、俺様が認めた素晴らしい友人、いや!心の友よ!」


「あぁ。また機会があればここに来るさ」


朝となり、アイス・フォレストを出ていく時になった。シストリエス達の怪我は完治しており、たくさん寝たからか、元の調子に戻ったようだ。


そして、じゅんきは昨日、ポーラーとここまでの出来事などの色々を話したおかげからか、ポーラーと友達関係になった。なので貴様呼びから心の友という、じゅんきの元いた日本で放送されていた某国民的アニメに出てきたキャラみたいであるが、気にしないでおくことにした。


そうして、じゅんきはポーラーや、ポーラーに使える兵士達に別れを告げつつ、じゅんきは自身の愛車であるPRVと、ウイングズの2台を出した。


来る時に乗ってきていたじゅんき達はPRVに、そして、今回のポーラーを攻略する前に仲間となったライガ、ベアフ、ベアサの3人もここを離れ、じゅんき達と共にデミズへと行くことにしたので、3人はウイングズに乗ってもらった。魔力さえ入れていればウイングズもPRVも同時に動かせるので、じゅんきはここを出る前に大急ぎでウイングズにPRVの後ろを着いてくるようにした。大急ぎで作ったので、精度は不明だが、うまくいけと願うじゅんきである。


そんなじゅんきの運転するPRVと、その後ろを着いていくウイングズは、寒い寒いアイス・フォレストを出発し、デミズへと向かうのだった。











「獣王様。なんだか、すごい人たちでしたね」


「あぁ。心の友は特にすごい。…あいつなら、俺様のなし得なかった事を簡単にやってのけてしまいそうだ」


「ですね。なんせ、ライガ達アイス・フォレストでの暴れん坊三人衆からあそこまで慕われるぐらいですからね」


「これからが楽しみだな」


そう言いながら、寒く、少し雪の舞い出したアイス・フォレストの王、ポーラーと、その配下の兵士達は、自身の城へと帰ってゆくのだった。



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