表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/43

第42話 獣王 ワイルドポーラーベア

「王混 じゅんき…聞き馴染みのない読み方っすね。兄貴はどこ出身なんすか?」


現在、新たに仲間となった元ナンパ3人衆ことベアサ、ベアフ、ライガの3人にじゅんきたちも自己紹介をしていた。


「うーん…なんで言えばいいのやら」


「あ。私も気になってたのよね」


じゅんきは悩んだ、自分の元いた世界のことに、なんなら自分の住んでいた所の名前を出すかどうかについて。取り敢えず、適当にはぐらかそうとはしたが、シストリエス達がキラキラとした目でこちらを見てきていたので、渋々話すことにした。


「…日本っていうところかな?」


久しぶりに、俺の元いた世界のことを日本と言った気がする。今使っている車などは全て日本にいた頃にあった物に似せて作成しているのだが、俺自身、あまり日本に居た時にはいい思いをした経験がないため、自然と日本という言葉を使うのを避けていたのだろう。


…なんだか、言葉にしてみると以外と懐かしさを感じるものだな。そう俺は思った。


「に、日本?」


「何処ですか?」


「…まぁ、東の国かな?島国で海に囲まれた国だ」


異世界とかなんとかは今言うと凄く面倒くさいことになりそうなので、はぐらかすことにした。


「そうなんだ。いつかは行ってみたいわ」


「私も行ってみたいにゃー!」


「お前は来るな泥棒猫」


「は?にゃんだとー!」


「…この2人、いつもこんな感じなんすか?」


獅子族のライガが、なんとも説明の告げ難い困った顔でじゅんきに声をかけた。


「あぁ。そうだよ」


「なんか、楽しいけど、色々大変すね」


「まぁ大変だな。特にユウラが」


「…あぁ。なんとなく想像ができてしまう…」


そう、話す2人を筆頭に、じゅんきたち一行はわいわいとしながら獣王の元へと向かうのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「ここですよ」


ライガがそう言い、じゅんきたちの目の前には全体的には灰色で、屋根は雪が積もり色が変わっており、洋風の建物ではあるものの、帝国で見た城などよりも豪華ではないこと、周りに獅子族や白熊族の住処があるのにも関わらず、目の前の城からは独特の威圧感…雪の中にある孤城と似た雰囲気を醸し出していた。


「…なんというか、趣があるな」


「おも…むき?」


じゅんきの一言に隣に来ていたシストリエスがわからなそうな顔でそう言った。


「…独特のなにかを感じる…的な言葉さ」


「成程…わからないわ」


「う…うん。そうか。詳しくは後で教えるよ……さて、そんな趣とかのことについてじゃなくて、先にあの問題をどうにかしないとな…」


そうして、目の前の城の入り口近くをじゅんきは見た。大きく頑丈そうな木製の扉は固く閉ざされており、その前には獅子族や白熊族の奴らが10数人くらい居た。


「門番…すね」


「数的にはなんとなできそうな範囲ではあるんすが…」


「ここで実力を測られるのも、魔力や体力を消費するのはよろしくない。ここは一つ。俺に任せてくれ」


「…それはいいがボス。どうするんです?」


「…ふっふっふ。まずはこいつを出す」


ユウラ達がどうするのかと不安に思っている中、1人呑気な雰囲気をじゅんきは醸し出しつつ、少し後ろへと下がっていった。それに準じて、シストリエス達も着いてきた。


城から少し離れた場所に来たじゅんきは自身の愛車であり、ここへ来る為の移動手段でもあったPRVと、デミズが帝国に侵略されている時にデミズを守るために作成したプッシュバーを取り出した。


「…兄貴、これは?」


「これはな。車っていうすごーく便利なものだ。…ちょっと待ってな」


そうして、じゅんきは自身の所有する空間魔法の中から鉄の塊を取り出した。…安心と信頼のデミズ産である。一応なんかあった時のために持ってきておいたものがここで活躍するとは…備えあれば憂いなしとはこのことであると思った。


そんなデミズ産鉄鉱石をじゅんきはPRVのフロントガラスを見ながら形を大まかに変えてゆき、板状に変え、そしてそれを窓に当てがいながら、細かな形を変えていった。


ただの鉄の塊だったものが、みるみると形を変えていく光景を初めて見たライガ達は驚きで目をまん丸にしていた。


「た、ただの鉄の塊が…兄貴すげぇ」


ライガがそんな言葉をこぼした間に、じゅんきは完成した鉄の塊…改め、窓を防護するものに変わったもの、そして、プッシュバーを慣れた手付きで装着させた。


「…完成だ」


アイス・フォレストに来た時とは打って変わり、プッシュバーが装着され、フロントガラスには大きな鉄の板(しっかりと視界は確保できるようにしましまのような感じに穴が開いてる)ものを装着したPRV・突撃仕様車に姿を変えた。


「車が完成したので、次は作戦を決めよう。ライガ、ベアサ、ベアフ。攻略について何か知っていることがあれば教えてくれ」


「了解っす兄貴!攻略についてなら俺、ベアフが一番知ってるっす!一時期ですが、獣王様の元で力を求めに来た奴らと対峙していましたから!」


そうして、ベアフの口から、ユウラ、ユイイトよりも詳細な情報を手に入れた。やはり、仲間に加えれそうな奴は加えておくべきだなとじゅんきは思った。


攻略の鍵は、やはりなんといっても絆の力と野性の感的なな臨機応変力、そして、シンプルな力求められるらしい。


絆がないと、変化球を投げられた場合に対応できなかったり、少しのミスでボロが発生したことがトリガーし、仲間での言葉争いに発展する。そうすると、段々と険悪なムードが流れ始める。


そのことが判明すると、絆を大切に思う獣王の手によって力を受け継ぐ見込み無しと思われ、城の外へと弾き出されしまう。


絆だけあっても、逆に力が無ければ単に負ける。


「…くっそ面倒くさい奴だな」


「ま、まぁまぁ」


「だが!これで獣王を攻略する鍵は掴んだな。みんな!俺たちの為に今日まで着いてきてくれて改めて感謝する。後少し。攻略まで全力で付き合ってくれ」


じゅんきは少し深めにお辞儀をし、感謝を伝えた。 


「そ、そんにゃ!王混様が頭を下げることないにゃ!」


「そ、そうですよボス!」


「…兄貴…後少しのみならず、一生ついていきます!」


デミズから来たユウラ達、そして、アイス・フォレストで仲間にしたライガ達元ナンパ3人衆。皆各々が口を開き、逆にじゅんきに感謝をした。


「…これなら、攻略できるだろうな」


安堵したような声でじゅんきはそう言葉を溢した。その後に、じゅんきは作戦の詳細。そして、配置などについて説明を始め、シストリエスなどが一部不満を持った点以外はスムーズに決まった。(ちなみに、シストリエスの不満はガタルによってなかったことにされました)


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「衝撃に備えておけよ〜…ま、今更だがな!」


「え?なにするん…あいたぁ!!」


「…バカ熊」


「な、なんだと!この腹黒兎がぁ!」


「…は?」


「…喧嘩するなら敵のいっぱいいる所で降ろすぞ」


「「ごめんなさい」」


そんな会話をしつつ、じゅんきは先程目の前で見た城の門をご自慢の愛車PRVで突進し、木製の扉にぽっかりと穴を開けて城の中に侵入した。


シストリエス達が先頭を爆速で走るPRVに続いて城の中へと入ってゆく。門番をしてした獅子族や白熊族の奴らはそんな一瞬の出来事を眺めているだけだった。


じゅんきの考えた戦闘時までできるだけ体力を温存させる方法。それは余計な戦闘を避けることである。見かけた奴と目があったらバトル!なんていうことをしていると普通に時間も掛かるし、それに応じて自分達も体力や魔力をどんどんと失ってゆく。


運良く王の間に辿り着けたとしても、どんなに絆が結ばれたパーティーだったとしても、皆が敗北してきたのはおそらくそれが原因だろう。


しかし、そんなイベントを知らぬ顔でじゅんき達は突っ切ってゆく。城案内役のベアフと、車の強度を更に上げてくれるレッキスを連れて爆速で走る車を初めて見る白熊族と獅子族の兵士達は門番の奴らと同様に、車と、その後ろに続くシストリエス達をただただ眺めることしかできないのであった。(ちなみに、シストリエス達を乗せなかった理由は強い衝撃の為に車になる人数を絞った結果だからである)


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「…お前らが俺様の力を欲する者か!」


「俺らってゆうより…」


「俺が欲しているのだよ。獣王さん」


城の中を車で爆速した後、特に大きなことも起きることなく獣王の居る間へとじゅんき達は侵入した。(ちなみに、扉はもちろん車で突進してぶち壊した)


そうして侵入した先に待っていたのはすごい数の白熊族と獅子族の兵士と、真っ白で、誰よりも白が綺麗に輝き、歴戦の猛者のような傷跡、そしてなによりの巨大の持ち主の獣王 ワイルドポーラーベアが、どっしりと構えていた。


「ほう?なぜ俺様の力を望む?」


「スローライフ…ってもんを手に入れる為かな」


「…スローライフだと?」


獣王の顔が朗らかだった表情が険しくなる。


「そう。スローライフ。俺は平穏にこの世界で暮らしたい。だけど、王の力という誰でも認められれば強くなれるという力がその場にある限り、その力を求めた者達による争いは耐えない。…それに」


じゅんきはゆっくりと獣王に近づいた。兵士がそれを停めようとしたのだが、獣王の命によってその行為は止められた。


「お前らの力に興味を持った方が、お前らの力が我が物にならないことに逆上してこんな所に封印されたことに対して神に復讐したくないか?…俺はその願いをこいつらから引きついでここにいる」


そうして、じゅんきは禁断王の槍をシストリエス達が見えないように見せ、天命王の持っていた剣は普通に手に持って見せた。


「…ほう。貴様、なかなかに凄腕なのだな…天命はまだしも、あの禁断王の力を得ているとはな…あの堅物が、気でも狂ったのか?」


「いや?狂ってないと思うぞ。…まぁ、話して欲しいなら話すがな後で。で?どうだ?獣王さんはこれらを見せらてどうする?」


禁断王の槍と、天命王の剣を直し、じゅんきは問うた。


「…ハハハ!面白い奴だな!獅子族や白熊族のこの軍勢にビビることもなく、なんなら味方に加えているとはな!…いいだろう!貴様達の力を見せてみよ!」


「その返事!期待してた通りだぜ」


そう言いながら、じゅんきは仲間達の元へと帰った。シストリエス達は「?」の顔を浮かべていたが、じゅんきが「交渉成功!全力出すぞ!」と言ったことで、皆、やる気を出した。


「勇敢なる者達に敬意を表し、俺様達も全力で戦おうぞ!さぁ!ゆくぞ!お前たちー!」


白熊族、獅子族も雄叫びをあげ、武器を持つものは武器を構えて、じゅんき達目掛けて攻撃を開始したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ