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第40話 いざ獣王の元へ

「かなり選別したのだが…それでも多いなぁ」


ブルテナ帝国で食料を大量確保した翌日の朝、獣王の攻略を始める為に、じゅんきは現在、獣人攻略に連れていく為の獣人と、街に残る獣人の選別をしていた。


しかし、じゅんきは現在頭を悩ませていた。なぜなら、なかなかに人数を決定させることができなかったからである。


獣人たちは皆ボスであるじゅんき、そしてシストリエスの勇姿を目の前で見たいのと、鍛えてもらった力を発揮したい為、皆がこぞって攻略の方に行きたがる為である。そして、獣人達も特訓でかなりの力や、素晴らしい技能や適正職業を身につけた為、是非とも連れて行きたいという奴らが多いこともまた問題である。


なぜ、人数を絞るのかについては、じゅんきやシストリエスのいない間に街を守ってくれるだけの戦力と、連れていく戦力を均等くらいにしておきたいこと、そして、単純に車に乗せれる定員問題である。車はPRVで向かおうと考えているので、あの車の定員は7人なので、じゅんき、シストリエスを入れるとして、残りの5人の枠に誰を入れるかで悩んでいるのである。


そして、お前ら大切な街はどうした街はというツッコミに対する回答はどうせ「ボスが居るから大丈夫!」とか返ってきそうなので取り敢えず、じゅんきは話題を変更して、獣王がどこにいるのか、そしてどんな感じの地形なのかについて改めて確認を、取ることにした。


「ユウラ。獣王は何処にいるかわかるか?できれば地形も教えて欲しい」


「了解です!ボス!獣王様はこの街デミズを西に、つまりはブルテナ帝国の真反対に3日ほど馬車で行った所にあるアイス・フォレストという場所に居ます。辺りはとても寒く青い色の木々が生い茂っており、道にとても迷いやすくなっています」


「なるほど…」


成程。流石はポーラーベア。シロクマということあってやはり、寒い場所にいるんだな。


…こりゃ、もう少し攻略開始まで時間がかかりそうだなと俺は思った。


「ちなみに、ボスの間に辿り着けた場合、何が待ち構えている?」


「…数十にも及ぶ獣王様の配下と獣王様です」


そう声をあげたのは犬のような耳としっぽを持つ犬人族といわらる獣人の細マッチョへ進化したイケメン男、ユイイト。この前、自身の恋人を庇って軍人に殺されそうになっていた所をじゅんきが助けた元ヒョロガリイケメンである。細マッチョのくせして、ガチムチマッチョのユウラとタメを張ることのできる数少ない男でもある。そしてじゅんきのことをすごく崇めている。神様かのように。


「俺はかつて、冒険者をしていました。当時入っていたパーティーの皆と共に王の力を求める旅をしており、その時に獣王様と戦いましたが、その時の結果は言わずもがなの惨敗。俺のパーティの人は皆はなんとか生還しましたが、足や腕などの部位が無くなった人や精神的に病んでしまったりとした人が多かった為、パーティは解散し、皆故郷へ帰りました。その時の俺も精神を病んだ為、故郷の実家の部屋でトラウマを抱えながらの生活でしたが、その時に彼女、マーロでした。紆余曲折あって恋人になった矢先に彼女がピンチとなり、当時の俺には救う力もなく、殺されかけたところを救ってくれたボスには感謝しかありません」


そう言いながら、隣にやってきていた彼女と深々と頭を下げてきた。


「そうか。大変だったのだな。…恋人のこと、自身のこと、大切にしろよ」


そうじゅんきが言うと、2人は顔を見合わせてにっこりと頷いた。この2人なら大丈夫だな。そうじゅんきは思った。


「はい!勿論です!…それで、獣王様についてもっと詳しく話します。獣王様の戦い方は最初は配下の白熊族の獣人達や獅子族の獣人たちで構成された者達との戦闘。彼らは魔法のみならず、基礎の戦闘力も並ならないくらいに強く、ボス達に鍛えてもらった俺たちでも勝てるかは怪しいです。そんな奴らとの戦いの後に、獣王様との戦闘。俺たちは獣王様に届くこともなく敗退したので、詳しくは…わかりません」


白熊族…おそらく俺の頭の中に浮かぶシロクマという生き物と見た目はほぼ同じだろう。獅子族も、おそらくはライオンみたいな感じの奴らだろう。ただ、わからないことが多いので聞いてみることにした。


「そうか。いろいろとありがとう。…ところで、ユイイトの言っていた白熊族や獅子族はここにはいないようだが…」


「彼らは獣人達の中でも高貴な者達。我らのような選ばれていない獣人と共に生活なんて送りません。彼らは獣王様に選ばれし族なので」


選ばれし族…なんかプライドすごく高そう。あと獅子族は寒くないのかな?そうじゅんきは思った。


「成程…ならば早く決めてしまわないとな…」


何かを決めた顔で、ユイイト、そして長のユウラに告げた。獣王…どんな者なのか楽しみである。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「よぅし。今日から獣王攻略を始めるぞ!皆の者!よろしく頼むぞ!」


「「「「「おぉー!!!」」」」」


日も完全に上がり、お昼頃となって、気温も暖かくなったデミズの街が昼の暖かさじゃ足りないと言わんばかりの熱狂に包まれた。現在は攻略に連れていく獣人と、残る獣人を発表したばかりである。連れていける者は超絶喜び、惜しくも連れて行かないと言われた者はすごく悲しそうに嘆いていた。


だが、街を守り、復興するという重要な任務を課すと、彼らもやる気を出していたようだった。これなら、この街も安心だろう。なんせ、俺とトリエスが教えた最強の教え子達だからな!


「それじゃあ。今から攻略に同行する者達にはこれを進呈しよう」 


そうして、じゅんきは攻略に同行する者達に黒い何かを渡した。当然だが、獣人、そしてシストリエスは困惑していた。


「あ、あのぅ。ボス?これは?」


「なんか。服?みたいだけど…」


「ふっふっふ。それはダイヤモンド製防寒戦闘インナースーツ名を〈耐寒戦闘スーツ〉だ!」


そうして、じゅんきが見せたのはよく戦闘アニメとかで出てくる体のラインがしっかりと出てくるような感じのいかにもバトルスーツって感じのものである。全体的な色はダイヤモンドを使用したものの、ブルーダイヤモンドのような青のダイヤモンドを使用したのでその特性が色濃く残った綺麗な青一色で構成されている。これは昨日の夜。またまた皆が寝静まったタイミングで作ったものである。


「まんまね」


「まんまにゃ」


「そこ、うるさいぞ」


名前をまんまと恋人のシストリエス、そして、ガタルに言われ、少しキレたじゅんきである。こいつらは男のロマン(?)を分かっていないのである。そうじゅんきは思った。


「…そんなことは一旦置いておくとして、これは、名前の通り寒い環境でも暖かく、そして機敏に動けるようにと開発した優れものだ!寒さの面は火属性の魔法術式を組み込んでいるから結構薄いのに暖かい!という不思議な物の完成。そしてダイヤモンドを素材にデミズで採れた鉄やデミズで作られた絹糸で作成しているから防御面もばっちりだぜ!ちなみにインナースーツなのでいつも着ているその服の中に着るものだぜ」


異世界とは素晴らしい物だな。そうじゅんきは思った。魔法とかいう理論的には説明できない不思議なものが扱えるから、こんなにも不思議な物を作ることだってできる。自分の持つ職業、生成師というのも関係はしているのだろうが。


ちなみにダイヤモンドはお隣のブルテナ帝国まで戻って大急ぎで買いに行き、大量に購入したので、大分手持ちが減ってしまった、そして店に大きな負担をかけて店主から少し呆れられたというのはここだけの話である。


そんな超絶高級スーツの耐寒戦闘スーツを皆に渡した後、じゅんきとシストリエス、そしてスーツをもらった獣人達はじゅんきの愛車PRVに乗り、獣王攻略へと向かったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「…一旦飯にでもするか」


「賛成」


「賛成にゃあ。もうお腹すいたにゃぁ」


じゅんき達はデミズを離れ、獣王の居るとされているアイス・フォレストを目指して草原、森林、山などを爆速で越え、それに応じて日も落ち、現在は長く大きな木々が生い茂る地帯に差し掛かったくらい。辺りもかなり暗くなり、お腹も空いたので、一旦車を停め、夕食にしようとしているタイミングである。


じゅんき、シストリエスを始めとし、軽快なフットワークで攻撃をする猫又女の子ガタル、ガチムキゴリラのような体型となった、同じ猫又…というよりもはや猫耳生やしたゴリラとなった単純なパワーはデミズ最強のガタルの父でデミズの長ユウラ、じゅんきを神の様に崇拝する細マッチョでユウラと張り合えるイケメンの犬族の獣人ユイイト、ユイイトの恋人でシストリエスと同じくらい魔法の才に溢れているポメラ、飯や体力、魔力回復を始めとして、戦闘時に色々なサポートをすることができる万能ウサミミ少女ことレッキス。


この7人に決定した。ちなみに。レッキスはデミズにいた時、じゅんきと共に飯を作っていたウサミミ少女である。


パワー系2人、魔法系2人、軽戦士系1人、サポーター1人と基本的には魔獣使いの1人の構成である。何か一点のことに集中させるわけではなく、広く浅く見れる様な感じにしている。結構良きチームを作れたと思っている。


チーム仲も一応は良き、これなら、条件にも適しているだろう。きっとこのパーティなら獣王を攻略できる。そう思ったじゅんきは、一休みの為、レッキスと共に飯を作るのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「そう言えば、王混様と紫女はどこで出会ったのかにゃ?」


飯を食べている最中、ガタルが俺たちにそう問いかけてきた。ちなみに、今日の晩御飯はパンと野菜たっぷりのシチュー、そして肉の丸焼きである。ゲームや漫画などでよく見た骨を持ち手にした普通に武器にもなりそうなあの肉である。デミズから良さそうなので持って来たものの、どんな種類のどんな奴の肉なのかは全く知らない。


これで大丈夫かと思われるだろうが、デミズにあって食用だから安心とレッキスが言っていたので、あまり深くは知らないでおこうと思った。なんとなく。


「私とじゅんきが出会ったのは薄暗い遺跡?なんて言ったらいいのかは分からないけどそんなところで。私がそこで封印されていたのを彼が解き放ってくれたのが最初」


そんなことを考えていると、シストリエスが俺たちの出会いを話していた。懐かしいものである。


「…え」


ガタルは封印という言葉を聞いた時、とても驚きと不安に満ちた顔をした。


「…ふ、封印…にゃ?」


「ええ。その前に、私の種族について話さないといけないわね。ガタルは、ダンピール族についてしってるかしら?」


「勿論にゃ。吸血鬼と人間のハーフ。魔法の才に優れている者が多く、ここのパワーもそこらへんの獣人や人間族よりもある。それでいて吸血などをしないという…滅んだ種族という。もしかして?」


「そう、私はそのダンピールの末裔」


「…こりゃたまげたにゃあ」


そう言いながら、ガタルは目をまん丸にした。まぁ、自分の中で滅んだと思っていた者が実はまだ実在したとなれば驚くのも無理はないだろう。


「その中でも、私はダンピール族の長の娘というあなたの様な境遇に居たの。しかし、異なる点は民主たちによる内戦などが頻発していて、デミズの人たちのような仲の良さはなく、むしろ逆で、ダンピール族の仲は最悪。内戦が過激化すると、私たち王族、そして、その王の娘の私は当然狙われた。王に属する者たちが不利に追いやられる状況のや中で、私を失うわけには行かないと考えた私の部下だった人達によって私は封印された。一つの希望としてだろう。私はそのおかげで生き延びることはできたはいいものの、迎えは待てども待てども来ず、自身で確かめようにも、付けられた封印の力が強すぎて自力で解くことが出来なくなって何年、何十年、何百年経過したかもわからなくなり、もう全てを諦めかけていた時に、じゅんきがやって来て、私を助けてくれたの。それが私と彼の始めての出会いよ」


「成程にゃ。ということはつまりにゃ。紫女はBBAってことにゃね」


感動シーンぶち壊し発言。流石である。とじゅんきは思いつつ、シストリエスの方を恐る恐る見ると、シストリエスは笑顔なのだが、ビキビキと青筋を立てており、笑顔の裏側にはとんでもなく怒っているのが目に見えた。じゅんきはこの世の終わりを実感した。


「だから、王混様?こんな大年増女よりも若くて…」


「おいクソ猫?だ・れ・が・?BBAですって?」


ガタル、シストリエスに頭をガシッと掴まれた。じゅんき、急いでシストリエスを止めようと試みた。が、時すでに遅し。怒り狂ったシストリエスはもう誰にも止めることは出来無くなっていた。なのでじゅんきは諦めて「ガタル。強く生きろよ」と思い、2人から少し距離を置いた。


「そりゃ勿論紫女にゃあ!!」


「ふーん。そーなんだー。…フン!!!」


シストリエス、ガタルの腹に一発。ガタルは悶える。痛そうである。


「グニャァァァア!」


「おいクソ猫?今日という今日はもう何がなんでも許さない!滅べ!!」


「…うにゃァァァァァア!ご、ごご御免にゃさーい!!」


「問答無用!」


始まりました。ガタルとシストリエスのガタルの生死を賭けた鬼ごっこが。ユウラは静かにガタルに怒りを見せ、ユイイト&ポメラは2人の時間を辞め、鬼ごっこを見ており、「あーあ」と言わんばかりの呆れ顔。レッキスは皿洗いや後片付けなどで忙しいので、気にも留めていなかった。いや、レッキスひどくね?と思った。


そんな中、じゅんきも鬼ごっこを見ると、シストリエスの移動速度をあげる魔法とかを使い自身の拳という魔法使いとは真逆の様な展開であり、なんとなくだが、今日はガタルの命が本気で亡くなりそうな気がしたので、じゅんきはシストリエスを止めに行くことにした。


「…トリエスストーップ!」


「なによじゅんき!止めないで!」


じゅんきはタイミングを見て素早くなっているシストリエスを前から受け止める様に抱きついて止めた。


「流石にこのまま行くとガタル死ぬ!ガタル死ぬから!それに俺!トリエスのこと大好きだから。何歳だったとしても!だって超絶美人だし!魔法とかほんと凄いし!ね?」


シストリエスは愛する恋人からの愛の囁きによって、その動きを止め、顔を赤くした。


「…あーあ。興が冷めたわ。…愛する人からこんなこと言われたらね。だ・け・ど〜?」


じゅんきはシストリエスの腕が自分の後ろに回されたことと、そして自身の耳元にシストリエスの顔が来た。吐息が耳にフーッときているので、すごくなんかこう…男から漢になってしまいそうである。


「貴方がガタルを守ったことに私嫉妬しているのよ?それに、2人きりの時間も作りたいし、向こうに行こう?」


そうして、シストリエスは森林の奥側を指差した。


「ほんと、最近は甘えん坊さんだな」


そう言いながら、俺はトリエスの頭を撫でた。嬉しそうな表情をするトリエスは凄く自分には勿体無いくらいの存在であると思わせると同時に、自分のことをここまで好いてくれていることに嬉しさを感じつつ、皆に席を外す事を伝えた。


ユイイト&ポメラ、そして皿洗いを終えたレッキスはニヤニヤとしながら「いってらっしゃい」と言い、ガタルを捕まえ、いつもの様に拳骨をガタルにお見舞いしたユウラは「いつも娘が、本当にすみません。ボス、奥方様」と謝罪してきたので、「謝罪はしなくてもいいぜ」と言っておいた。


そして、ガタルに視線を移すと、ユウラからの拳骨を喰らい、拳骨を喰らった場所がプクーッと漫画の様なことになり、今にも泣き出しそうなガタルは、じゅんきとシストリエスを見て、いつもの様に「覚えていろにゃ!紫女!」と言うのではなく、涙を堪え、凄く優しく、そして羨ましそうな笑みを一瞬浮かべた。


シストリエス、ユウラそして他の3人はそれを見ていなかったものの、それを見たじゅんきは、ガタルにその笑顔の意味を聞こうとしたものの、シストリエスに「行こー!私たちの楽園へ!」と腕を引っ張られて奥へと引きずられたので、その真相を聞くことはできなかったのだった。


あの笑みはなんだったのか、どんな意味であの顔をしたのか、シストリエスとじゅんきがいなくなったことで再び説教されているガタルを見て新たな不思議ができたと思うじゅんきであった。

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