第38話 帝国へ買い出しに
「………」
「………ボス?」
「お前らまでそんな呼び方かよ…」
飯を作るためにブルテナ帝国の人間の侵略によって屋根の消え失せたことで空の見えるようになってしまった獣人達の飯屋にじゅんきは来ていた。そう。なんと、じゅんきは飯が作れるのである。今までは飯屋などで適当に済ませていたのだが、獣人達の店は破壊させれている店も多く、また働き手も減ってしまったので、ピンチヒッター的な役割でじゅんきが時々手伝っている。ちなみに、すごく上手いとシストリエス、そして獣人達からは大好評である。
「はい!勿論です!ボスは私たちを助けてくれただけだなく、自分たちでも戦える力をつけてくれた人。そんな人はボスと呼ばれるには相応しい人なのです!」
「…まぁ、ボスと呼ばれるか呼ばれないかについては一旦置いておくとして、まずはこの問題をどうにかしないとな…」
何も入っていない箱を、じゅんきは隣にいる給仕服を着たいかにも酒場などで働いていそうなウサミミを生やした小さな女の子と共にそれを見ていた。
じゅんきたちの見ていた箱にはそれはそれは多くの様々な種類の野菜が箱いっぱいに入っていた(見た目と味は割とじゅんきの元の世界のものと似ていた)。
そんな野菜と、別倉庫にあった肉で飯をじゅんきや、訓練に参加していない一部獣人達は作っていたのだが、今日の飯でとうとう野菜がなくなってしまった。
「…食料庫もあのときの侵略で破壊されて野菜も肉もすべてだめになっているってんのになぁ……ただでさえ、獣人達から不満がでてるってのに。……なぁ、この野菜や肉だのって何処から仕入れているんだ?」
「それは……」
ウサミミ女の子の顔が暗くなった。その表情でじゅんきはこの食料が何処から仕入れられているのかを察した。
「…理解した。ブルテナ帝国からだろ?」
「…そうです」
「だろうな。ここは土地が痩せている。砂漠地帯、そして岩に周りを囲まれている。そういうことなら、ここで動物を育てたり、作物なんて育たてたりのんてしないわな…仕方ないなぁ」
「…?」
「明日、俺とトリエスでそのブルテナ帝国ってところに行ってくる」
「そ、そんな!ボスが出向く必要は…」
「ある。獣王攻略まで日が近づいている。そんな中、食料不足で失敗とか笑えんから。それに、お前ら獣人が行くのは今はまずいだろう。侵略を受けたというのに、そんな中でお前ら獣人達が行くといのは、それはまさしく自らの運命を自分で決めることを辞めたということだ。それにお前らはブルテナ帝国での立ち位置は良くないのだろう。ならば人間の俺やダンピール族のトリエスで行った方がいいだろう」
「…なら、ボスにお任せします。くれぐれも気をつけてくださいね」
「ったりめぇよ!任せとけ!!!」
そう言い、じゅんきは食堂を、離れるのだった。
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「…取り敢えず、車を造ろう」
時間は夜中、デミズの街からも光が失せ、綺麗な星空が空に浮かんでいる中、デミズ近くの岩地帯で現在の愛車PRVのライトで自身と、デミズにあった沢山の不要となった鉄鉱石やゴムなど諸々の車を作成するための素材を照らし、鉱石などをいじっているじゅんきがいた。
「…明日はたくさんの食料を運ぶことになりそうだからな。こいつじゃあ、何回も何回も往復することになってしまうからな。それじゃあ攻略までに飯が間に合わなくなってしまうからな。いやぁ〜。デミズにこんなにも沢山の不要となった鉄鉱石やゴムなどがあって助かったぜぇ。なんで不要なのか知らんけど。まぁいいや」
そう言いながら、早速職業生成師の技能を発動させ、ただのごつごつとした鉄鉱石がだんだんとじゅんきの想像する形に変わっていく。
そうして、あっという間にただの鉄鉱石やゴムなどはPRVよりも遥かに大きな大型トラックとなった。
い○ゞ ギガやミツ○シ フ○ウを足して2で割ったような前面にはソリッドのホワイトに、ミラーや前面の一部が鏡のように反射する銀色のよく街で見かけたトラックにしており、内ち幅2.4メートル、内長9.5メートル、内高2.5メートル、全長12.0メートルの荷台、直列6気筒魔力起動エンジン搭載の箱型の大型トラックとなっている。
タイヤは前面2輪、後輪4輪の6輪で、箱はウイングのように両サイドが開く仕様のウイングボディトラックにした。
じゅんきが魔力を注ぐと扉が自動で開閉する素晴らしい仕組みを搭載している。
「…でっけぇなぁやっぱり!目の前に完成したものがあると、やっぱり作り甲斐があるってんだなぁ!」
なぜ、じゅんきの持つ収納魔法を使わず、わざわざこんな大型トラックを作成したかというとわじゅんきの中では、今回の食料確保では自身の収納魔法を使用することよくないと思っていたからだ。
というのも、じゅんきの収納魔法の空間はじゅんきでもどうなっているかが不明の為、自分のものだけならまだしも、今回は獣人達の食べる食料も入れるので、もしもの可能性や万が一のリスクがあることを避けることが必須なのである。
そんなこんなの目的で作成され、完成したトラックはしっかりとした動作チェックの後に、「テンウイングズ」と名付けられ、じゅんきの収納魔法の中に消え、じゅんきはPRVでデミズへと帰るのだった。
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「それじゃあ。行くとしようか。トリエス」
「…うん!」
朝早く、デミズの街の修理され、綺麗になった門近くで、じゅんき、シストリエス、そして、見送りに来てくれた数人の獣人がいた。
「…ボス。気をつけてくださいね。奥方様も」
「…奥方様…じゅんき聞いた!奥方様だって」
「はいはい」
「…ずるい」
「あら。泥棒猫?残念だったわね!」
「…ぐぬぬぬ!このー!紫女ー!きょうこそやってやるー!」
「…なに?やろってんのぉ!!」
「やめろ朝からしょうもない。そんなに喧嘩したいなら俺は1人で行くぞ」
「…ま、待って!喧嘩しない。喧嘩しないからー!」
「…ふにゃっへっへ。そのままここへ残るといいにゃ!!」
「…ガタル?」
「……ごめんなさいにゃ」
ガタルは父親のユウラに怒られた。体格がゴツくなったのこともありすごく威圧感がでてここの主って感じがしている。良くやったユウラ。
全く、朝からガタルもシストリエスも懲りない奴らだな。そう、じゅんきは思いつつ、愛車PRVを出した。
その運転席側にじゅんき、助手席側にシストリエスが乗り、エンジンの掛かった車はエンジン音とともに、じゅんきたちをブルテナ帝国まで爆速で連れていくのだった。
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「あれが、ブルテナ帝国か」
「…やっぱり大きいわね」
「ぽっと出の成り上がりの国…か。全く」
車で爆速すること数時間。じゅんきはやれやれと言った感じでミッシェル王国のような石の壁が見えてきたと同時に車を減速させ始めた。
「…じゅんき?ここからは歩き?」
「…いや。今回は違う今回は車で行くぞ」
「…じゃあなんでこの車を停めたのかしら…?」
「…説明不足だったな。…まぁすぐに分かる。取り敢えず車から降りよう」
そうして、全てを理解しているじゅんきと、何も理解していないから、意味不明と言った顔を浮かべながら、車から降りるシストリエス。
2人が降りた後、じゅんきの愛車PRVは収納された後直ぐに新しい車、テンウイングズが出てきた。PRVとは2、3倍も大きい10tトラックなので、シストリエスの目は点になった。
「…じゅ、じゅんき?こ、これは?」
「…またわからんのかい?新しい車、その名もテンウイングズだ!」
「こ、こんな大きな車…どうやって乗るの…」
「これはこのように乗るんだよ」
大きなドアを開けたのち、車内部にある手すりにでを掴み。そして窪んでいる段差部分を足場にすることで、簡単に乗れることを教えた。
シストリエスはその通りにのったものの、やはり初めての大型車だからか、少々手こずってはいた。
そんなふうに奮闘するシストリエスを可愛いと思いつつも、じゅんきも車にのりこみ、エンジンをかけるとテンウイングズはその巨体をゆっくりゆっくりと動かすのだった。
「………」
「…あのー?」
「…あっ!ああ。すまない!つい驚いてしまってな」
歴戦の猛者って雰囲気を出している検問官も、この10tトラック、テンウイングズには当たり前だが超絶驚いていた。
まぁ、無理もないだろう。現在、俺たちはブルテナ帝国の門の検査所を通過しようとしている。馬車、馬車、馬車と続いた後に唐突に馬が前に居なく、「ゴゴゴゴ」というエンジンの音と共にやってきた鉄の塊。しかも馬車の比じゃないくらいでかい。そんなものを初めてみて驚かない奴はいないだろう。
しかもその中から人間が出てくるときた。もうこうなれば、検問をする軍人達は驚きが隠せないということだ。
…ブルテナ帝国。獣人達をどのように扱っているのかはわからないが、酷い仕打ちを、しているのだということはなんとなく理解はする。…しかも、あの軍服を見ると、すごく腹が立ちそうになる。そんな気持ちを抑えつつ、しばらくシストリエスと中で待っていた。
「…通ってよい」
「…いいんですか?」
「…良い。その乗っているものからは危険性が確認されなかった。乗っているお前らもちゃんと身分が分かったからな。だからだ」
スピード出せば危ないけどな!…それは置いておくとしよう。
「…ありがとうございます〜」
そう言いながら、じゅんき達ウイングズに乗ったまま開門された門をくぐる。
中はとてもとても綺麗なミッシェル王国同様の綺麗な綺麗な都市であり、じゅんきはきれいだと思った。そんな気持ちを抱えながら、じゅんきは獣人達に教えてもらっていた店に向かうのだった。
「…なぁトリエス。朝のことなんだけどよ、なんで唐突にキスしてくれたんだ?」
「フェ!?…そ、それはねぇ〜」
「…話したくないってんなら、話さなくてもいい。別に無理にとは言わないから」
「話すよそれくらい。…えっとね……獣人の人たちに教えてもらったの」
「ほう?」
「ご飯を食べている時、一回私、じゅんきの隣じゃなくて女性の獣人の方達とご飯を食べていた時あったでしょ?…あの時、泥棒猫がじゅんきの隣に座っていたことは今でも恨めしく思うけどね!」
そう語るシストリエスはだいぶ怒っていた。じゅんきは急に怒るものだから、驚きのあまりハンドル操作を間違えかけた。
「その時にね…」
そうして、シストリエスは語り出した。
「…はぁ」
「どうしたの?今日は愛しの旦那様と共に食べないの?ガタル様に席取られちゃってるよ?」
「ムムムゥ。泥棒猫許すまじ」
「ならガタル様の所に行って旦那様の隣を奪い返したらいいじゃない」
「…」
「おっ!その顔。悩みね!いいわねぇ。恋って。恋の相談ならおねーさんがしてあげるわよ!」
「…最近、じゅんきと関われる時間が少ない」
「成程!なんとなくその後に言いたいことはわかるわ!自分は恋人で彼のものなのに、恋人でもなんでもないあの泥棒猫が私は彼のものよってアピールをかましているのがむかつく。彼は別に彼女になびいていないけど、彼の心をもっと掴む一手が欲しい!ってことね」
「…まんま言われた」
「ならおねーさんにいい方法があるわよ!」
「…それは」
「それはねぇ…」
「そうして、キスをするというのを教わり、そしてじゅんきからキスをされたら舌を絡ませ合えというのを実行したってことよ!」
グッ!と親指を立てていいねを作るシストリエス。じゅんきはそのおねーさん?とか言う奴、なんてことをシストリエスに教え込んでいるんだと今度そいつを見つけたらいい経験をありがとうと感謝することにした。
そんなこんなを話していると、獣人達の言っていた店に到着したので、じゅんきは車を停め、シストリエスと共に降りた。
「…すみません〜」
「おう!いらっしゃい!初めての顔だね!冒険者かい?隣は美人さんじゃあないか!どこでそんな子捕まえたんだい!」
すこしイカつめの姿の店主が出てきた。昔の傷跡が多くある歴戦の猛者って感じの。
「ははは。ちょっといろいろとあって結ばれたんですよ。あと、今日はちょっとした長旅を彼女とするので大量に食料を買い込んでおこうと思いまして」
ここの国は現在獣人達へと風当たりが厳しい。この光景を獣人達が見たら怒る自信しかない。シストリエスと、そして目の前の店主と話しながらこの国の景色を見ていたが、道ゆく獣人の服はボロボロで、傷だらけで、細々としていて、鎖でつながられている。まるで、じゅんきがデミズに行きたてのころの時に見た獣人のようだった。
この街は嫌いだ。そうじゅんきは思った。
そんなことを思いつつも、ウサミミ女の子に言われた通りの食材を頼んだ。
「…あんちゃん。ちょっと裏来てくれんか?」
「あぁ。いいけどもよ」
「美人の嬢ちゃんすまんな。ちょっと旦那さんかりてくぜ」
「え、えぇいいわよ」
そうして、俺は店主と店の奥へと入って行った。
「あんちゃん。デミズからやってきたろ?」
「…なんでそうだと思う?」
「デミズの獣人しか知らないものまで頼んだからさ。それにあそこ、最近俺らの国の兵士が支配下に置こうといったっきり全員帰ってきていない。兵士達は謎の魔物を引き連れる男に潰されたって聞いてな。それお前だろ?」
なんと。そこまでバレているとは。と、じゅんきは驚いた。
「なんと、何処からそんな情報が」
「…知り合いの獣人からだよ。たまに俺に情報を流しにからくれる奴がいるんだ。あ、大丈夫だ。この情報は他には流していないから安心してくれ。…そして、ありがとうよ。俺の知り合い達を救ってくれてよ」
そうして、深々と頭を下げた店主。じゅんきは「そんな深々と下げなくても…」と言った。
「…よし!そんなデミズの英雄様に極上の食材を運ばないとな!…俺の馬車貸すぜ!…えーっと。この量だと馬車は〜…」
「…なぁ、馬車はいらんぞ」
「…馬車はいらない!?じゃあこの量の食材どうやって持ち帰るのさ」
「…店の前に持ち帰る様の車を用意している」
「なら店の前にいくか!」
そうして、じゅんきと店主は、じゅんきが店前に置いているという車…テンウイングズの元へと向かった。
「……な、な、なんじゃーこりゃ!!!」
「…車だが?」
「馬は?これは鉄製だよな!タイヤも見たことない奴が6個も!?どうなってやがんだよ!!!」
まぁ。そんな反応ですよね。周りの人も「?」って顔をしながら見ている。
「てかこれにどうやって食材を入れんだよ!」
「…あ。今から開けますねぇ。少し離れててください〜」
そうして、じゅんきは車に乗り込み、扉を開くように魔力を込めた。すると「ウィーン」という機械音と共に荷台部分の箱が鳥のように開いていった。
「ど、どどどうなってやがんだよぉ!?」
「そ、そそそんな風に開いたのこれぇ!?」
店主のみならず、シストリエスも驚いていた。
「さぁ、詰めるぞ食材〜」
「…はぁ、あんちゃん。何者だよ」
「人間だよ」
「そうじゃない」
「?」
なにをいっているんだろう。この店主。俺はただの人間だせ?…まぁ、異世界からきたけどな。そう思いつつ、シストリエスと店主を動かしつつも、じゅんきも荷台の中に食材を周りの人々に見られながらも突っ込むのだった。
「…これでよし!」
「すげぇ、こいつに全部入りやがった…」
「…じゅんきといると、驚きしかないわ…」
2人が目の前のウイングズに感銘を受けている中、じゅんきは話を進めることにした。
「…店主、いくらだ?」
「…あぁ。今回はお代はいらないぜ」
「え?だがこの量だぞ?かなりの額だろうに」
「デミズの街が悲惨なことになったんだ。そんな中でお代なんて取れるものか。それに今までも獣人達に助けられたことも多くある。ますます取れねぇさ」
「…なるほど、その好意には甘えるとしよう」
「だが、お代と言ってはなんだが、お前に一つ、頼みがある」
「なんだ?」
「獣人を救ってやってくれ。いつもいつも鎖で繋がれて、ろくに飯も服も与えられていないあいつらを見るとかわいそうに思えるんだ。だからよ。頼む」
「また深く頭を下げて…そんなことしなくてもいいってんのに」
「…じゅんき?どうするの?」
「ここまでしてもらったんだ。恩義には報いろう」
「ほ、本当か!?」
「まかせろ」
「感謝するぜ!あんちゃん!」
「それじゃ、俺たちは帰るとしようか」
「うん!またね!店主さん!」
「おう!またこいよ!」
そうしてじゅんきとシストリエスの2人はウイングズに乗り込み、デミズへと帰るのだった。
明けましておめでとうございます!作者のブリコロッケ君です!今年も本作をよろしくお願いします!
今年こそは!たくさんの人に見てもらいたいですねぇ。




