表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/43

第37話 獣王攻略 特訓編 後編 〜初キスと変わってしまった獣人達〜

「……………」


「…じゅんき?…ねぇ、じゅーんき?じゅんきってば!…っん!えい!!」


「!?!?と、トリエス!?」


朝早くから、愛する恋人からのハグによって意識が少しだけ覚醒したじゅんき。現在徹夜明けで眠たさが限界突破している。


「あっ。やっと返事してくれたぁ。どうしたの?今日。やけにボーっとしてることが多いけど…」


「あ、あぁ。…考え事。そう!考え事をしていたんだよ!」


「…そうなの。考え事もほどほどにね?」


そう言いながら、シストリエスは自身が教えている獣人た達の元へと向かった。そんなシストリエスの背を見てじゅんきは思った。…実は考え事をしていた訳ではなくてしばらくぶりの徹夜の為、めちゃくそ眠くて眠くて睡魔と葛藤していることを。






















「さて、今日からはいよいよ実戦訓練に入っていこう。実際に戦闘することによって、戦闘での判断力、そしてシンプルな力を身につけてくれ。戦いの場ではお互いの戦力をはじめとして、イレギュラーなどに見舞われても対応できる判断力なども大切になる。それを鍛えていくぞ!!」


訓練3日目戦闘スタイルに絶望したことから始まり、自身の持つ戦闘知識、適正武器や戦闘スタイルを教え、残りは実戦あるのみとなった。そんなじゅんきは天精門(エンジェルズ・ゲート)を使用して先程作成したばかりの期待の新人、アマミチュラアスと、ラグナオーガスを。そして呼出(ヨビニング)でダイナオーツインクを呼び出した。


獣人達は昨日見たオーガスには驚いていないものの、神々しい光と共にやってきたチュラアスとオーガスには驚きを隠さないでいた。


現在、じゅんきが戦闘について教えている獣人の数が多い(20人くらいいる)為、リスフォース一体では間に合わないのである。


このままではツインクも、なんならカースでさえも、あっさりとやられ、特訓にならないだろうと思った為、じゅんきは昨日天命王からもらった魔法石で少しでもそらに対抗できるリスフォース造ると共に、天命王から貰った力になにか良いものはないかと探していたという大義名分の元、リスフォース造りを楽しんでいた。


結果として、新しい呼び出しの技とリスフォース作成を完遂できた。2頭追うもの2頭得るという素晴らしい結果なのだが、それと引き換えに睡眠をしていないので、じゅんきは今にも寝てしまいそうであった。


「今から皆を適当に振り分ける。なのでその振り分けられたチームで俺のリスフォースと戦ってくれ。遠慮はするなよ!」


そう言いながら、眠たい体に鞭を打つようにして動かしつつも、自身の呼び出したリスフォースに対抗する獣人パーティ的なものに獣人を適当に振り分けた。ここの獣人同士で仲の悪い人はいなかったのか、みんなわりとわいわいとしていた。これから過酷な戦闘というのに呑気である。


じゅんきはそんな光景を見て少し呆れながらもメンバーを適当に振り分けたので、皆に静まるように言った。


「…今からやることは遊びでも昨日のような優しい優しいものでもない。戦闘というのは常にお互いの命を削り合うことだ。敵対している者の命を奪うこともある、逆に命を奪われるかもしれない。それは今からやる訓練でも同じことだ。貴方までは取らないようにこいつらには命令してあるが、下手をすれば命を落とすかもしれない。気持ちを切り替えろ。いいな!!」


今すぐ眠ってしまいそうな、そんな雰囲気から一変し、真面目に獣人達を叱ったじゅんき。戦場はいつでも命の奪い合いであり、遊びの場ではない。それは目の前の獣人達も経験しているはずだ。この前のように、獣人達を狙った襲撃がまたいつ起きるかはわからない。


じゅんきも眠たさと葛藤するような態度をとっていたことが原因かなとも思い、一旦眠たさとについては考えないことにした。


「…すまない。先生」


「…ごめんにゃ」


長のユウラ、娘のガタルを始めとして、この前のことを思い出したのか、獣人達はじゅんきに謝罪した。それと同時に、獣人達の間に真剣な空気が訪れた。


「よし。それでいい。それでは只今より!戦闘訓練を開始とする!各チーム、当てられた俺のリスフォース達を攻略せよ!!!」


そうして、じゅんきの呼び出したリスフォース達は自身に当てられたメンバーの掃討に向かう。


獣人達は向かってくるリスフォースに対抗を始める。戦闘スタイルや、立ち回りなどはやはりうまくいかず、攻撃を喰らっていることも多くあったが、獣人の本能の言うのか、自身が危険になると引く、攻めどきは攻めると言ったタイミングは良く、更に元より絆の深い獣人達は、連携も完璧であり、連携攻撃などはうまくできていた。


初めての戦闘にしてはまぁまぁできているとじゅんきは思った。だが、たかが7、8人くらいで構成された戦闘なんて全然やったことのない、自身の武器についての理解も、技能についてもわからなく、本能と、仲間との連携のみで戦っている奴らにやられるほど、じゅんき作のリスフォース達は弱くない。最初こそ、連携攻撃とかに戸惑っていたものの、すぐに見切り、だんだんとリスフォース達の優勢となっていった。


攻撃をしたら逆にカウンターされたりして攻撃を受けたり、個々のリスフォース達の得意技を喰らったり、シンプルに剣、拳、体当たりを受けたりして、1人、また1人と戦闘不能者が現れてくる。そうすると、連携をとっていた獣人達も連携が取れなくなっていく。そしてまた1人倒れる。その良くない負のループによって、全チームの獣人は戦闘不能となった。


「…に、にゃあ。強すぎるにゃあ…」


「…ま。初めての戦闘訓練にしては、できているじゃないか。だが、まだまだだなぁ」


結構な時間戦っていたからか、空は少し赤い色に染まりかけている。夕方となってしまったのだろう。じゅんきは獣人達が戦闘している間、一切眠ったり、睡魔が襲ってくることはなかったものの、戦闘が終わり、リスフォース達が帰っていくことを確認すると、少しずつではあるものの、睡魔が襲ってきていた。


また、睡魔と葛藤するのかぁ。まぁ、でも今回は…とかを考えていると、後ろから勢いよく誰かに抱きつかれた。その衝撃で、眠気は消し飛んだ。


「じゅーんき!ふへへぇ〜」


「…背中痛い」


背中に飛んできたのは、シストリエスでした。じゅんきはそのままシストリエスがじゅんきにおぶられようとしていたのだが、色々背中に当たっているのでじゅんきからすればご褒美展開なのだが、今の睡魔でシストリエスをおぶると絶対に途中で力尽きそうだったので、それは泣く泣く阻止した。


シストリエスはすごく悲しそうな顔をしたので、今度してあげようと思った。


「…おんぶ、されたかった。まぁいいかな!今はじゅんかも疲れてそうだし!それよりも終わったし!ご飯にしよご飯!!!お腹すいたわ」


シストリエスの表情と心の変わりようなどにじゅんきは少々驚いた。


「…そうだな。ご飯にしようか。獣人のみんなもご飯に…し、よ…う」


そうして、獣人達のいる方を向いたじゅんき。そこで彼は衝撃の光景を目にした。


「…なんだあの黒焦げ」


「あれ?あれはどう見ても獣人じゃない」 


え?あんなに料理失敗レベル100みたいな感じで黒くないけど?と、思いつつも、先日に見たシストリエスキレる事件ではガタルは最終的に真っ黒な黒猫に見事変化していたので、おそらく今回と同じようにフルボッコしたのだろう。多分俺が今日から特訓として実践訓練を始めたのだろうが、手加減も何もせずにシンプルに戦ったのだろう。


…まぁ、シストリエスらしいと言えばらしいが、もう少し手加減を覚えてほしいものだ。そう、じゅんきは思うのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ついにきたこの時間が。私、シストリエスは空が暗くなり、家々の灯りが光るデミズの街を1人で歩きながらわくわくしていた。


ここ最近。私とじゅんきと2人きりの時間が少なくなっていた。まぁ、最近この街、獣人の街デミズに来てからと言うもの、ガタルとかいう泥棒猫に2人きりの時間を邪魔されたり、獣王攻略の為に獣人の特訓をしていたり、お互いに2人きりで居れる夜のこの時間でさえも、私が疲れたりすることが多くて早く寝てしまうと言う不覚をとってしまったからと言う理由はあるのただが、今日の私は一味違って眠気がない!


夜なので泥棒猫も居ない!だから今日こそはラブラブするんだ!と、私は思い、どうせならサプライズみたいに入ろうと思い、ゆっくりとドアを開けて、息を殺して部屋に入った。


じゅんきは今、もしかしたらベッドでゴロゴロしてるかもしれない。そこにダイブしてやる!そう思い、ゆっくり、ゆっくりとじゅんきのいるであろうベッドのある部屋へと行った。


そして、ベッド付近まで来たので、そこから勢いをつけて、じゅんきのあるベッドにダイブ……しなかった。


「…じゅんき?」


ベッドに居なかった。ベッドの中に隠れているとかでもなく、単に居ない。押入れや、机の下、椅子の下、ベッドの下などなどを見てみても居ない。もしかしたらお風呂に入ってるかもしれないと思い、私はお風呂場へと行った。


「じゅんきー?お風呂なのー?入るよー?」


お風呂場に来てみたものの、お風呂場に明かりは付いていない。お風呂の水の音もしないので、お風呂に入っている可能性は低いとみた。…だったら他の家に…いや。その可能性は低いだろう。少し遠くまで行かないと、ここら一帯は私たちの借りている家をのぞいて先の帝国?とかいう所からの攻撃を受けて崩壊しているから。それに、なんとなくだが、この家にじゅんきは居ると思ったからだ。


私は意を決して暗いお風呂場の中に入った。中に入り、明かりをつけようと明かりのある方へといく最中、私はなにか大きな物を踏んづけた。


踏んづけた感触はすごく硬いような、かといって柔らかいような、そんな不思議な感覚。何を踏んだのだろうと、私は下を見た。


「……じ、じゅ…じゅんき!!?」


私は大きな声を上げながら、勢いよく後ろへと後ずさり、そして壁に激突した。…少し痛かった。


そんなことよりもなぜ!じゅんきはお風呂場で服を着てうつ伏せで寝ているのだろう。お風呂に入りたかった…訳でもなさそうだし…もしや息をしていない!?と一瞬思ったが、呼吸で体が動いていたので生きていた。


ならば寝ていることになるのだが、なぜこんな場所で寝ているのか私は不思議になり、起こすことにした。


「じゅんきー?起きてー?ねぇー!」


ゆっくりと、そしてだんだんと大きく揺さぶり始めた。…だけど彼は起きるどころか、声一つもあげない。どんだけ眠りが深いんだこの人はと半ば呆れると同時に緊急時はどうなるのだろうと思った。


そんな中で、私はふと、彼の顔を見た。彼はとっても幸せそうに寝ていた。


「…仕方ないか。このままこんなことしてても起きないだろうし、ベッドに連れて行きますか」


そう独り言を呟き、私は魔法で彼を浮かし、そのままベッドへと入れた。私もそのベッドに入る。まだ入りたてだから、暖かくはないが、凄く安心はした。安心すると、私も眠くなってくる。私はそんな安心感と襲いくる睡魔に意識を預け、大好きな彼と同じベットで眠りにつくのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「…うぅん………ゑ?」


朝起きたら、目の前にすやすやと気持ちよく眠る我が恋人シストリエスが居た。


「…と、トリエス?」


「…うぅんなぁに?」


「なぁにじゃなくて…そのぉ」


めちゃくちゃ近い。もうほんと0キョリ。ちょっと前に顔を行かせたら、キスしてしまいそうなくらい。まぁ俺としてはそっちのほうがいいけどね!…じゃなくて。


取り敢えず起きよう。そう思った俺は体を起こそうとした。が、その瞬間に自身の背中になにかがくる感触と共に、そのなにかは俺が起きるのを阻止した。俺は、そのなにかが寝起きなのにすぐわかった。


「…トリエスさんや。なぜ腕を回して俺が起きるのをそしするのですか?」


「…キス」


「…ん?」


「キス。おはようのキスしてない」


「そんなの今までしたことありませんが!?」


急に何を言い出すのだこいつは。おはようのキスどころか、恋人同士になった日から今日までキスなんてしてこなかったぞ!?


じゅんきはそう思いあせあせとしていると、じゅんきは、唇に柔らかい感触のものが当たったことを感じた。


そして0キョリ先にシストリエスが居る。ここでやっと、キスをしたのだと感じた。シストリエスはキスを辞めた後、顔を赤らめていた。


…すごく女!って顔だったと思ったと同時に凄く自分が情けなく思った。彼女の方からキスをされるのは嬉しかったが、なんか、男としてダメダメな気がした。なのでお返しすることにした。


今度はじゅんきが顔を近づけて、シストリエスの唇を奪った。シストリエスは驚きの表情をしている。シストリエスは驚きからか、離れようとしたが、じゅんきは彼女の頭を優しく抑え、離れられないようにした。


離れられないと思ったシストリエスは、嬉しそうにしながら、今度は自身の舌をじゅんきの口の中に入れてくる。それをじゅんきは驚きはしたが拒むこともなく、絡ませ合う。


熱い2人のそんなキスは永遠とも言えるくらい、長かった。


そして、2人がキスを終えると、2人は顔を赤らめながらも、お互いにいい笑顔になった。


「トリエス。2回目のキスで舌いれるか?」


「…ついね。あなたからやってくれたのが嬉しくて。嫌だった?」


「…こっちとしては、驚いたが嬉しかったよ」


そうして、少しの惚気話的な話の後に、2人同時にこういった。


「おはよう。トリエス」


「おはよう。あなた♡」


「…慣れん」


その後は昨日、じゅんきが風呂場で寝ていた話など、最近できていなかった2人きりの時間を、特訓が始まるまで楽しむのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


じゅんきとシストリエスの初キスから3日ほど経過した。あのあと、じゅんきとシストリエスが幸せそうな顔で特訓に映った為、獣人達の間ではしばらく彼らのラブラブ生活ぶりを想像していたのは言うまでもない(ガタルは除く)。何処まで進めたのかなどを想像していた。そのせいで特訓に集中出来ていなくて、じゅんき(じゅんきの呼ぶ魔物(リスフォース))とシストリエスにボコボコにされたのは言うまでもない。


そんなこともあったものの、やはりずっと特訓に明け暮れているからか、自身の技能についても、自身の武器についての理解度も格段に上がり、それと同時に実力もメキメキと伸ばしていた。


「…すごいな」


そうじゅんきは言葉を漏らした。3日前まで。連携こそ上手かったものの、実力が全くない為、ボコボコにされていた獣人達が実力をもの凄い速さで上げ、そして、変わらずの連携プレイで、とうとうリスフォースを1回倒すことに成功した。


いくら本気を出させていないからとはいえど、3日だけでこうも簡単にリスフォース達を倒されてしまうとは、少々驚きであった。


そんな獣人達だが、もう一つだけ、変わったことがあった。


「…ぼ、ボス!やりやしたぜぇ!!!」


「俺たち!ボスの出した魔物を討伐できたぞ!!!」


「シャァァァァァァアアア!!!これならあの憎き人間どもを倒せるぜぇぇ!!!」


「…う、うんうん。そうだねぇ〜」


某勘違い系コメディのクランマスターみたいな返事になってしまうくらいの変貌ぶりを亜人達は見せている。


魔物と戦う毎日を過ごし、じゅんきからの優しいアドバイスを貰ったこと、またまたやらかしてきつい説教を喰らったことによって、獣人達はなぜかじゅんきのことをボスと呼ぶようになったこと、そして、戦闘をしまくったせいか、獣の本能的なものに目覚めたのかなんなのかは知らないが、口調も性格もまるまる変わってしまったものが多い。


同時に体型も変わり、ユウラ達男軍団は腹筋が割れ、ゴリマッチョ、もしくは細マッチョへと進化した。


ガタル達女軍団は、腹筋こそ割れている者は少ないものの、デコピン一発でぽっきりと折れてしまいそうな体から変わり、全てが引き締まって、スタイルのいいもの達に変化を遂げた。


そのせいでじゅんきは、相変わらずの露出高めの服の為

目のやり場に少し困ってしまっているのはここだけの話である。


なんということでしょう。特訓を始める前の頃の礼儀正しく、オドオドとしていた獣人達は何処へ行ったのだろう。今となっては性格がワイルド?的な激しい性格となり、ボスことじゅんきに絶対的な忠誠を誓っている。そんな獣人達を見てじゅんきは思った。


「…育て方…間違えたかな…」


と、何処で道を間違えたのかと目の前に居るユウラをはじめとした性格の変わり果てた獣人を見て嘆き悲しむじゅんきなのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ