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第35話 獣王攻略 特訓編 前の章〜こりゃひどい〜

「よし、今日から俺たちの目的、獣王 ワイルドポーラーベアの攻略に向けてのお手伝いをしてくれるお前らに俺とトリエスが得意な分野を教える!俺は技術のみは知っていることが多いのでそれを教える!トリエスには魔法を教えてもらう事となるぞ。協力してくれるお前らに感謝をするぞ!」


翌日の朝早くから特訓を志願した亜人達、そしてじゅんきとシストリエスは街の広場に集まり、特訓は幕を開けた。亜人達は街を助けてくれた英雄に恩を返すべく集まり、「うぉぉぉ!」と己を鼓舞した。


亜人達のやる気は万全。これから数日間の特訓で心が折れたりしなければいいなとじゅんきは願ったのだった。


「それでは、まずは己がどのような戦い方が好ましいのかを見極めるぞ、1人ずつ、こいつと対面してもらうぞ!」


そうして、じゅんきはいつもの技呼出(ヨビニング)を使用し、最近出番多めのあいつ。ダイナオーツインクを出した。獣人達は歪な魔物を目の前にして、少しだけ後退りをした。


「こいつは攻撃をしない。だから今持てる全力をぶつけろ!いいな!」


ツインクには申し訳ないことをしてしまうが、これも獣王を攻略する為である。心の中でツインクに謝りつつも、特訓は始まったのだった。














「…………」


言葉が出なかった。ツインクが簡単に倒されたからとか、獣人達の戦闘技術が良かったからではない。その逆、余りにもひどすぎたのである。じゅんきもシストリエスも言葉を失うくらい。


戦闘を合体獣(リスフォース)に任せているじゅんきでももう少しまともな攻撃をするって位なのだ。


自分の体格体格とは似合わない武器を使うわ、ツインクの睨み一つで逃げ出すわ。戦闘経験不足なのか明らかに変な攻撃方法。そりゃ、軍人達に侵略されるよなと思わせる位である。


ちなみにシストリエスさんはめっちゃ呆れていたと同時に笑いそうである。大きな帽子で顔を隠しているが、体がプルプルとし、「ふ、ふふ」笑い声が漏れていたからである。


確かに、明らかに笑かしに来ているような攻撃とかもあったから、無理もない。当の本人はきっと真面目にしているのだと思うが、それがまたシストリエスの笑いのつぼを引き出しに来ているのだろう。


そんな光景を見て、じゅんきは思った。


「こりゃだめだ」


と、思わず口から出てしまうくらい。これから大丈夫かなと空を見上げながら、不安になるじゅんきであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「…一応全員の攻撃スタイルを見たな」


「せ、先生!どうですか?」


大きい体格の男、デミズの長ことユウラが自信満々でそう先生(じゅんき)に尋ねた。ちなみにこいつはムキムキとした体型で拳を使うわけでもハンマーとかの大きい武器でもなく、ナイフを使って走り回りながら戦っていた。


ちなみに、筋肉が無駄にあるせいでか、走るの遅いので絶対に武器チョイスは合ってない。なんでナイフにしようとしたのか不思議である。


「全員0点。なんならマイナス」


獣人達は膝から崩れ落ちた。


「そ、そんな…」


「いや当たり前。全員戦闘経験少ないから戦い方がわからない、変になるのは百歩譲るとして、全員体格体型を全く活かせていない。ユウラ!お前はどうしてそういい筋肉持ちなのにナイフで攻撃なんだ!ガタル!お前は小柄で足が速いのにどうしてハンマーとか使う!そしてお前…」


じゅんきからのダメ出しが止まらない止まらない。


じゅんき自身も前衛って柄ではないし、そもそもロマン砲をみたいな攻撃しか打てないからあまり人のことは言えた立場ではないものの、そんなじゅんきでもわかるくらいには酷かったのだ。


「もう、俺がお前らを見極めて、魔法使えるか否か振り分けるわ」



そう呆れたように言いながら、じゅんきは獣人達を自身の持つ技能、能力理解を久々に使い、獣人達を魔法を使えるもの、そうでないものに分けるのだった



ーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、今から真の特訓を始めるぞ」


笑顔で、腕を組み、ツインクを後ろで待機させつつ、じゅんきは魔法を使えない者達を集めて、そう言い放った。


集まった獣人達はさっきのような残念な結果を見せつけたことからか、目の奥では絶対に笑っていないじゅんきの笑顔を見てかなり緊張していた。きっと、これから始まるのはスパルタ授業なのだろうと思ったのだろう。


「まずはみんなの動きを見てて思ったことを話していく」


笑顔を辞め、真面目な顔になったと同時にそう言いながら、じゅんきは獣人達にダメ出しの連続を再びお見舞いする。


あれがだめ、これがだめと嫌味を言う会社の上司ようにねちねちと不満を言うが、それと同時に亜人達個人個人に合っていそうな戦い方を伝授した。


「お、俺がハンマーとかの重い武器が適正…?」


「わ、私にはハンマーとかじゃなくてナイフとかの小物かにゃ?なんだかにゃあ…」


ねちねちと言われ、自身の今使用する武器、戦法とは真反対のものを使えと言われた獣人達からは当然だが不満が漏れていた。


「なんだ?文句か?いいぞ?受けてやる」


「「「「いえ。なんでもありません!」」」」


ビシッと姿勢を正した。獣人達はじゅんきの一言、そして、ツインクがじゅんきの後ろでじゅんきと同じく腕を組み堂々としており、「逆らったらやばい」と動物的かなんかは知らないが、直感したのだろう。大人しく、従うことにしたようだ。


「取り敢えず騙されたと思って一回武器を握ってみてくれ。今日、明日はそれらに慣れる訓練にしよう」


「「「「はい!!!」」」」


もはやどうにでもなれと言いたそうにしながら獣人達は返事を返した。そうして、じゅんき指導の元、訓練が始まった。







やはり、戦闘経験が少ないからか、動きがぎこちなかったりするのは当たり前なのだが、皆じゅんきがチョイスした武器や立ち回りが自身に合っていたのか、じゅんきに細かい立ち回りなどを教えてもらったことを素早く覚えることができた。


自分の武器を握ってた時とは違う。体が言うことを聞く、ちゃんと活かせていると思うと同時に、亜人達はじゅんきの適正を見抜く力、そしてわからない所をわかりやすく教えてくれるじゅんきに「すごい人だな」と感銘を受けたのだった。












「よし。今日はここまでだ。皆、お疲れ様」


日が落ちていく夕方、特訓初日は終了を迎えた。じゅんきに教えてもらっていたもの達は爽やかな顔をしていた。適度な休憩などなど、スパルタでもなんでもない特訓に、大変満足のようだ。


「王混様ー!やっぱり凄いですにゃー!!」


そう言いながら、シストリエスが居ないことを良いことに、じゅんきに思いっきり抱きつき、顔をすりすりとする。じゅんきは「やれやれ」って感じでガタルを放そうとするが、ガタルの抱きつく力が強過ぎて離れなかった。



「ガタルさん?一旦離れましょう?」


「嫌にゃ。今はあの紫女もいないにゃ。王混様を独り占めできるチャンスにゃ」


ガタルさん。ここぞとばかりにじゅんきに抱きついています。同じ年代くらいの獣人達は大分悔しそうにじゅんき見ていた。そんなガタルをじゅんきはなんとか放そうとしていた。


「…じゅんき?」


なんとかガタルを放そうとしていた矢先、じゅんきの後ろから冷たくそう言い放つ女の声が聞こえた。じゅんき、そして、ガタル以外の獣人達は超絶青ざめた。


「…と、トリエスこれは…」


「うんうん。知ってるよ。その泥棒猫が勝手にくっついたんでしょ?」


じゅんきの目の前には鬼…ではなく、真の訓練開始の時同様に目の奥では絶対に笑っていない愛する恋人が泥棒猫に抱きつかれており、嫉妬と憎悪に燃える女、シストリエスがそこにはいた。


ガタルは我関せずだが、ユウラや他の獣人達、そして、特にじゅんきは顔を真っ青にしていた。


「が、ガタル…さん?良い加減…離れてくれると…うれしいなぁ…なんて」


「やぁにゃ。あの紫女もいないから、今がチャンスなのにゃあ!」


「…後ろ…みてごらん?」


「……あ」


じゅんきに促されるままに後ろを見たガタルさん。シストリエスを見つけてしまいました。どんどんと顔が青ざめていきます。


「どうも泥棒猫さん。紫女ですよぉ」


「…あ…あの…これは…その」


語尾ににゃがなくなった。本能で不味いと感じたのだろう。


「うんうん。わかるよ。私の恋人はすごーく魅力的だもんねぇ」


そう言いながらゆっくりとだんだんと近づいて来るシストリエスさん。ガタルはその場でガタガタとしており、動けずにいた。そして、シストリエスは、ガタルの肩を掴んだ。


「泥棒猫!私の彼から離れろぉ!!」


「ふんぎゃぁぁぁああ!ごめんなさいにゃー!!!」


拳で一発。ガタルはじゅんきから離れる。その後、シストリエスの怒りの魔法連打をガタルはご自慢の脚力で逃げる逃げる。


そんな逃げる行動も虚しく、魔法が大きく、多くなっていくと、ガタルは逃げることができなくなり、シストリエスによってぼこぼこにされましたとさ。


じゅんきは獣人達とその光景を観ることしかできなかったのであった。

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