第31話 目指せ!獣人族の街デミズ!
11/21 亜人と書いていた所を獣人に変えました。なんか、その方がいいと思ったので…
「トリエス。次の王がわかったぜ」
「次はなにかしら?」
ドキドキワクワクしているような雰囲気でシストリエスはじゅんきの取り出した巻物を覗き込んだ。
「獣王 ワイルドポーラーベア…ね」
ポーラーベア。おそらくはシロクマのことだろう。普通はライオンとかがきそうな物だが…不思議だなとじゅんきは思った。そう思いつつも、じゅんきはヒントを確認した。
ー 強き獣を従える時、獣達の挽歌と共に挑戦の道は開かれる
「「めんどくさそう」」
そう、俺達は口を揃えて言うのだった。
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「またまた遠いところへと向かう旅だなぁ。…あとトリエス?腕にくっつかれると運転できない」
「えー。いいじゃなーい」
「えー。良くなーい。事故したたら危険ぞ?着いたらいくらでもくっついていいから今はやめておくれ」
「…むぅ。それなら仕方ないわね。約束守ってよ?」
「当たり前だ」
そういうと渋々シストリエスは腕から離れ、自分の席に座りなおした。今現在、俺たちは街を離れ、亜人族の住まう地「デミズ」へと車で向かっている。
ちなみにじゅんき、獣人族なんてものは当たり前だが初めて見るので少しワクワクしている。
ウサミミ、ネコミミetc...イケメン、美男、美女が生やす光景を見るだけで素晴らしいと思う。アニメやゲームで見ていた世界が目の前で見れるのだからとじゅんきはワクワクしていた。
一旦、そんなことは置いておくとして、現在は結構ゴツゴツとした岩が多い地帯を時速30キロとかなりスピード抑え目で走行中である。
いつもなら100キロ当たり前、アクセル全開!!って感じのじゅんきが30キロと言うスピードで走っている理由は険しい道で車がこれでもかというくらいたに右に左にガタガタと揺れまくっているからである。
そんな中で100キロなんて出したら絶対に車は跳ねまくってもし仮に着地に失敗でもしたら、綺麗に決めた色が擦れてなくなるのが嫌なのである。あと、少し状況は異なるものの、過去に事故を経験済みだかでもある。(19話参照)
「おおぉ助けぇにゃぁぁぁぁあ!!」
「トリエス?語尾ににゃんつけてどうした?」
「んー?私はつけてないにゃん♡」
「…」
にゃん♡てきな感じの猫ポーズをしているシストリエスを見てじゅんきは思った。「俺の恋人。可愛過ぎて、シヌゥ!」と。顔を真っ赤にし、シストリエスに見られないように横を向きながら(よそ見運転はやめましょう)。
そんなこんなありつつも、じゅんきは先程の助けてという声がなんなのかについて改めて考えながら車のアクセルを踏んでいると、突如として、黒い影がじゅんき達の目の前に現れたと思えば、その影は大の字のポーズを取った。じゅんきは慌てて急ブレーキを掛けた。
「…あっぶねぇぇ!セェーフ!!」
「…びっくりしたわ」
間一髪、ギリギリでブレーキが間に合った。そして、目の前の影の正体は白い猫耳と尻尾をビックリ!と言った感じで立たせているエメラルドグリーンに近い綺麗な色のショートヘアの髪を持ち、黄色い目を持ったじゅんきと似た年齢くらいの背丈の女の子だった。
彼女は誰かに助けを!って感じなのだが、目の前の車という見たこともない物に困惑しており、「???」という顔をしていた。
「…危ないだろうが!急に飛び出てくんな!!」
「???」という顔を浮かべる目の前の危ない行動をとった彼女に窓から身を少し出してじゅんきは怒りをあらわにした。
「…あっ!に、人間さん!お願いにゃ!助けて欲しいですにゃ!!」
「あぁ?」
彼女は窓から顔をひょっこりとさせて怒りをあらわにしているじゅんきに助けを懇願した。
「悪いが急いでるんでな。無理だ」
「…じゅんき?どうやら助けないといけない状況になったようよ」
そうしてシストリエスは私の方向を見てと言わんばかりに左側を指差した(車は右ハンドル仕様なので、じゅんきは車の右側に居る)
そうして、じゅんきが窓から身を乗り出しつつ、左側を見ると、轟音と砂埃を撒き散らしながら何者かが近づいて来ていた。
「ツインヘッドバドラゴブスの群れね。あの大きな2つの口の餌食になったら終わりね」
「ひ、ひぃ。き、きたぁ…にゃあ」
どうやら、彼女はこいつらに追われていたらしい。
「…なんてもんを呼び寄せたんだお前…怠いが、仕方ない。お前!車の中に乗っとけ」
そうして、後方のドアをじゅんきさんはとても優しい(見捨てようとしていたけど失敗した)ので開けてあげ、彼女に乗るように催促した。彼女が急いで乗ると同時にじゅんきは車から降り、ツインヘッドの元へとゆっくりと歩んだ。
「呼出!ファストファフカース!魔法であいつらを薙ぎ払え!!!」
そうして横からいつも通り、一部分が継ぎ接ぎされたカースが呼び出しに応じ、そのままツインヘッドバドラゴブスの群れに接近を始めた。
カースは接近しつつ、拘束魔法を使いバドラゴブスの口を拘束した。じゅんきの出した指示である。
バドラゴブスはじゅんきのいた世界に居たワニという動物に似ている。ワニは口を開けられなくすると脅威にはならなくなる。その法則が当てはまって欲しいと願いながらカースに視線を向けると…
なんと見事にビンゴでした。拘束魔法により、バドラゴブスは口を開けられないとわかると2つある顔が双方を見て「俺たち…終わった」と悟っているようである。カースはその光景を見て、チャンスだと思ったのか、ファストバードの手と足で裂くように攻撃をした。
何もできずにサンドバッグのように攻撃を受けつづけるバドラゴブス。攻撃をしまくるカース。バドラゴブスが少し可哀想だった。
そんな風な蹂躙劇を見せられたネコミミ女の子はなんとも言えない。渋そうな顔をしながらじゅんきを見ていたのだった。
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「あ、あの!ありがとうございましたにゃ。命の恩人である貴方のことは忘れませんにゃ。…どうかなにかお礼をさせてほしいにゃ…」
カースによるツインヘッドバドラゴブスの蹂躙劇の後、じゅんきは落ちている魔法石を全て回収した後、自身の現在の愛車へと向かい、ネコミミ女の子〜語尾ににゃんを添えて〜のいるドアを開けた。
ネコミミ女の子はドアが開けられると同時に頭を下げてお礼をした。そして、何かお礼がしたいって言って来た。その問いにじゅんきは…
「…いらん。車から出ろ。俺は急いでる」
そう冷徹に言い放ち、ネコミミ女の子の肩を掴み、車から引きずり降ろした。ネコミミ女の子は「え?」って顔をしている。
「んじゃそいうことでぇ」
そうして立ち去ろうと、車に乗ろうとするじゅんき。しかし…
「ま、待って欲しいにゃ!」
服を掴まれ、そして後ろからじゅんきは抱きつかれた。
「…なんのつもりだ」
「お、お礼をなんでもいいのでさせて欲しいにゃ!!!」
「いらない」
「そう言わずにね!ね!」
いるいらない論争開幕。早く目的地に行きたいじゅんきとお礼がしたいネコミミ女の子の論争。そしてその間に1人の刺客がやって来た。
「ネコミミ。いや、泥棒猫!私のじゅんきから離れなさい」
「誰にゃあ!はこの人に用があるのにゃあ!」
「私は彼の大切な人。私にとっても彼は大切な人。そんな彼を困らせる…いや、くっつくことは許さない。私が」
「それでも関係ないで…って痛いにゃ痛いにゃあ!」
ネコミミ女…泥棒猫は、シストリエスに尻尾引っ張られて痛いと言いつつも、相変わらずじゅんきからは離れません。
だだっ広い岩地の中、男1人とネコミミ女の子、そして、その男の女である3人が恩を受けろ。いらない論争、私の彼から離れろ。いや離れない論争を起こしている。なんともみっともない光景である。
そんなカオスな状況の中、じゅんきはふとネコミミ女の子の事を見た。
綺麗な顔立ち。それはシストリエスにも劣らないくらいである。あと語尾ににゃんのおまけ付き。シストリエスとは違い可愛い系の顔に、ネコミミ、そして尻尾。そして露出高めのもはや服とは言い難い、じゅんきの元いた世界でいう水着のような服装の女の子を見てじゅんきは思ったことがあった。
「…シストリエス。一旦その手を離せ。ネコミミ。お前も抱きつくの辞めろ」
わざと冷たく言い放った。そんなじゅんきの声色から、2人はスススっと抱きつくのを辞め、尻尾を引っ張るのを、辞めました。ムスーッとしながら。
「ネコミミ。お前獣人族か?どこから来た」
「私は正確には猫人族なのにゃ。おおまかには獣人達と言う認識で合っていますけど。そして、私がここまで来たのは…」
そうして、来た場所を言おうとしたその時、なにかを思い出したかのように彼女ははっとした。
「お、お父様!恩人様ごめんなさい!私急ぐにゃ!」
「待てよ」
お父様がどうしたのか。血相を変えて立ち上がり、何処かへと行こうとするネコミミ女の子をじゅんきは肩を掴んで止めた。シストリエスがその光景を見て嫉妬したのか「むぅ」とした。
「離して欲しいにゃあ!お父様が!」
「ダメだ。なにが合ったか聞かせろ…と言いたいが、今から何処へ行く。教えろ」
真剣な目で語るじゅんき。その目は「話さないなら離さない」と言っているようであった。それに折れたのか、ネコミミ女の子は語った。
「私の故郷デミズにゃ」
と、言った。その答えを聞いてじゅんきはニヤリと不敵に笑った。
「俺たちもちょうどデミズに向かおうとしてたんだから、少々道がわからなくてな…お礼をここで使う。街と、こいつの走行中で構わない。何がお前に起きたか教えろ」
そうして、じゅんきは現在の愛車であるPRVを指差した。
「で、ですが」
「ですがではない。俺特製のこれは速いし。快適だ。だから乗れ。恩返ししたいなら、俺のいう事聞け」
半ば無理矢理である。しかし、この曲げない気持ちが彼女に刺さったのだろう。彼女は決心した顔を見せた。
「…わかったにゃ恩人様。そういうことなら、喜んでお受けするにゃ」
と、ネコミミ女の子は言った。そして、いつの間にか蚊帳の外になったシストリエスさんはむぅむぅといいながらほっぺを風船のように膨らませていました。その光景を見てじゅんきさんは思いました。
「かわいい。もう結婚しようぜ」と。だが、じゅんきは言いたくなる気持ちを抑え、シストリエスと、ネコミミ女の子を車に乗せ、車を発進させたのだった。
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「速い…にゃあ」
「当たり前だろぅ。なんせ平地に出たんだ。さっきみたいなボコボコの道じゃないからアクセル全開走行ができるぜ!ちなみに今は100キロ出てるぞ」
「ひゃ、100キロ!?…ってなんなのにゃ?」
「…まぁ、とにかく速いってことさ。…それはいいとして、色々とお前から状況を聞きたい。デミズで何が起きているのか。なぜお前はこんなところで魔物に襲われていたのかなどを。…しかし、その前にまずは名前を教えてもらうことからだな。俺は〈王混 じゅんき〉だ。冒険者だ」
「私は〈シストリエス〉。ダンピール族の女。そして、じゅんきの恋人」
高らかにふふん!って感じで堂々と私は彼の女アピールをかましたシストリエス。ネコミミ女の子は少しイラッとした顔をした。
「私は猫人族の〈ガタル=メリアーヌ〉ですにゃ。よろしくお願いしますにゃ!」
「ガタル…いい名前だな」
「あ、ありがとうございます…にゃあ」
じゅんきのさりげない一言。ガタルは嬉しそうに尻尾をフリフリした。シストリエスはまたまたむぅとした!
「それでガタル。自己紹介は済んだんだ。そろそろ状況を教えてくれ」
「ええ。わかったにゃ」
そうして、ガタルは語り出した。今、亜人族の街であるデミズで何が起きているのかを。
デミズは古くより獣人の住む地。いろいろな種の獣人が住まうこの地は獣人達の知識や叡智によって発展を遂げた。しかし、近年ではその発展は停滞を見せていた。
理由は隣国であるブルテナ帝国からの侵略とも言える行為によってデミズの街は現在壊滅間近だからである。そして、このままではデミズは滅びるということである。
その危機を脱する為、彼女、ガタル=メリアーヌはデミズを抜け、最後の希望で助けてくれる方を募集しているというわけであった。
「…oh」
「だからお願いですにゃ。王混様。どうか私たちをお助けくださいにゃ!」
「…対価は?」
その言葉を聞いて「た、対価?」って顔をしたガタル。
「なんだその訳わからないって顔は。当たり前だろう。助けを乞うなら相応の対価は必要だ」
「い、今そんなこと言ってる場合にゃ!?」
「あぁ。別に俺達は助けるために向かっていたわけではないからな」
「…わかったにゃ。お父様に相談してみるにゃ。金でも位でもなんでもいいにゃ。…あなたがそんな人だとは思わなかったけどにゃあ」
ガタルは、じゅんきを軽蔑する目で見た。やはり人間は人間なのだと思う様な顔で。
「…は?金とかそんなもんはいらんぞ。俺が欲しいのは一つ。獣王の詳しい情報についてだな」
「…えっ?」
「なんだよ。そんな驚くことか?」
「い、いや。金とかそんなものを要求されると思っていたから…それに、獣王の情報なんてデミズのみならず色々な所で知れるにゃよ?しかも、十二王列伝に載ってるにゃ」
「なんだそれ」
「…知らないにゃ?巻物みたいな奴」
「…あー。知ってるし持ってるわ」
じゅんきはブラックから貰った12の王の描かれた巻物の存在を思いだした。じゃあもう片方の六王の方はなんなのか?…今それについて言及するのはいいかと思った。
「…なるほど、なら要求を変更する。お前。デミズ救った後に獣王の力取りに行く時手伝え」
「…手伝うにゃ?」
「あぁ。あそこへ行くには獣人族との結束が必要だと考えていてな。だからだ」
「ま、まぁ。それにゃらいいと思うけどにゃ…」
なんか、訳のわからない人間さんだなとガタルは思った。
「よし、交渉成立だな。それじゃ飛ばすぜ」
そう言ってじゅんきはアクセルをベタ踏みし、じゅんき一行はデミズへと急ぐのだった。




