第23話 始まりの場所へ
「眼鏡…じゃなくて、グラッシーさん。依頼完了の報告に来ました」
「…承っておりますよ。…にしても、ほんと。じゅんきさんは凄いですね。結構大変なことになったのを、じゅんきさんが全て解決したと」
グラッシーは名前を間違われかけたことを突っ込むのをやめた。
「ま、まぁ、俺はただ攻略の手助けしただけですよ」
「攻略の手伝いで…ね。まぁ。いいでしょう。…ところで後ろの美しい女性は誰ですか?」
「ああ。こいつは…」
「私はシストリエス。じゅんきとは恋…じゃなくて、幼馴染です」
あれ?なんか変なことが聞こえた気がする。…が、いいか。今回、完了報告ついでにシストリエスも旅に同行することになった。そうなると彼女も必然的に冒険者となる。なので、丁度報告ついでに彼女も冒険者登録しておくことにした。そして、彼女には俺との関係性は幼馴染としてもらっている。…その方がなんとなく都合がいいからだ。…他意はないぞ。決して。そんな設定に憧れてるとかそんなんじゃないぞ。
「Sランク冒険者には可愛い幼馴染もいるんですねぇ。おまけにステータスも高い…特に魔法ステータスが高いですね」
そう言いながら、トリエスのステータスと睨めっこするグラッシーさん。ちなみに、種族は彼女の魔法によって人間に、年齢は俺と同じ年の17と詐称している為、種族、年齢等で怪しまれることはない。流石は元長の娘だけはあるなと思う。
「これは、Aランク級の冒険者ですね」
「おお。最初から高いな」
「まぁ、これだけステータスがいいとね。そうなりますよ」
そう言いながら、冒険者登録をしてくれた。俺たちは感謝を伝えた後、ギルドを去るのだった。
「さてと、俺はやるべきことがあるから、ここを離れるな。多分夜には帰って来れると思う」
「…わかった。私は今の魔法について調べに行ってくる」
「了解。集合は宿にしよう」
「わかった」
そう言い。俺たちは別れた。
「…さてと。向かいますか。俺の始まりの場所へ」
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「懐かしいな。といっても、そんなに日数は経過してないけどな」
今、俺は俺の旅が始まるきっかけとなった場所、禁断王ブラックの住処へと向かうため暗く、長い道を車で駆け抜けていた。
「おぉ。着いたな開けた場所。ということは、もうそろそろだ。ここからは歩いて行こう」
旅の始まりの場所。ここを出ていた期間はそんなに長くないはずだが、1年以上経過したんじゃないかってくらい懐かしい。この景色を見ながら車を走らせていると、あっという間にブラックのいる場所の近くへと来ていた。俺は車を降りて、歩きだした。
「…久しぶり…でもないけど、会いにに来たぞブラック」
「おお。これは、新禁断王様じゃないですか」
歩いてすぐ、最初会った時と変わらない、彼が仮にも六王のうちの1王なのかと不安になるくらいの質素な生活を送っているブラックの元へと辿り着いた。
「…ちょっと聞きたいことがあって帰ってきた」
「…ほう?」
「12の王についてと、昔、この世界で起きた神と王たちの戦争に着いて聞きにきたんだ」
「…やっとですか」
「?」
「初めて出会った時、その話もしようとしたのですが、貴方様は早く外に出たがっていたので、私はいずれまた、この話を聞きにこの場所へ帰ってくるだろうと思い、この話はその時にしようと待っていたのですが、結構早かったですね」
「そうなのか。なんか、すまん」
「いいんですよ。異世界を探索したい。それは誰だって一緒でしょう。まぁ、私にはわからないのですがね…そんなことよりも、ここで立ち話もなんですし、座ってくださいよ」
そうして、俺はブラックの前に座り、俺はこの世界の過去について聞いた。
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昔、まだ人類、魔族などの種族間の仲の良かった時代。この世界、オーライは18の王達によって統治されていた。小さな小競り合いなどはあったものの、大きな争いもなく、そこそこには平和だったそうだ。しかし、そんな平和をぶち壊す出来事が起きてしまう。
神達の侵略とも言える活動である。
神達は、18の王達が世界を統治することを良しと思っていなかった。神達はこの世界、オーライを造った者達。
しかし、世界を造った初代神達は自分たちがわざわざ統治するのはめんどくさいと思っていた為、18の王という概念を作り、初代神達がいた時にオーライにいた才のある者、かつ、王としての威厳、素質のある者達をその座に座らせ、世界の統治を任せた。
王達はこの世界を統治し初めて、沢山の時間が経った。王達は初代神達から与えられた祝福により死ぬことなかった為、選ばれた奴らが統治を続けていたが、神達は違い、年月が経つにつれ、どんどんと世代交代をしていっていた。
世代交代をしていくうちに、だんだんと初代の神達の考え方に疑問を持つ神達が多くなっていった。そして、神達は世界の創造者である我らがこの世界のトップに君臨していないのかということを思い始めた。
そう考えている神達が考えついた先に決断したこと。それは「この世界を統治している王をすべて倒してオーライを我が神らが統治する」というなんとも身勝手で、迷惑極まりない考えである。
そして、そんな身勝手な考えは実行に移されることとなり、神々は18の王を潰そうと動いた。
そして、今から2000年前、オーライで大戦争が起きた。
この世界を統治する権利を奪い取ろうとした神々とその権力を死守しようとする18の王達による大戦争。それは天地をもひっくり返すくらいの激しい戦争だった。
そんな戦争は、オーライに住む生物にも多大な被害が出た。抵抗もできないまま、多くの種族のなかで犠牲が出て、元より、数の少ない種族は絶滅したりもした。そんな悲惨な戦争だった。
戦争は数年続いた。そんな戦争の結果は、神々の勝利で終わった。
18の王の力は凄まじく強かった。初代神が選んだ粒揃いの精鋭達。神達の主な戦闘方法であった神の使徒を使って攻撃する。その神の使徒は神が使わせるだけあって、王達には程遠いものの、こちらも精鋭達が多かった。
そんな神の使徒を王達はたった一度の技で大量に消し去るくらいには強かった。が、しかし、いくら倒しても現れる使徒、呼び出している大元の神本体倒さないと、使徒は無限に湧いてくるのだ。
王達は手こずった。大元の神を叩こうとする。使徒に妨害される。魔力と体力を無駄に消費する。また神を叩こうとする。使徒に妨害される。魔力と体力を無駄に消費する。
王達はそのループから誰1人として抜けることができず、使徒も倒せなくなり、こんどは自分たちが攻撃を受ける側となってしまった。そうして1王、また1王と倒されて行った。
多勢に無勢である。
そうして、王達は全員、ゴリ押しとも言える戦法の前に倒され、戦争は神々の勝利となった。
そうして、統治の権力を奪い取った神々。しかし、そんな神々に待ち受けるのは当たり前だが、非難の嵐。
身勝手な理由で戦争を引き起こし、自分たちにも多大な被害を産んだ神々をオーライに住む生き物は新たなトップということを当たり前だが、認めなかった。
神々はそんな奴らを力ずくで黙らせるというパワープレイに出た。
簡単である。従わない者は全て殺したのである。…本当に神なのだろうかと当時のオーライにすむ人々は思った。
そして、そんな自分達が悪者であるという認識を消し飛ばず為に、オーライに住む生き物全てを使徒で監視し、自分たちの認識を王達を襲った悪徳侵略者から、元から神はこの世界を統治していたのだ。という歴史に時間を掛けて塗り替えた。
そうして、オーライに住む者達が何世代も、何世代も変わるにつれて、オーライに住む者達は18の王達…ではなく、神達こそが、この世界を統治していたのだと思い、宗教ができたりし、今に続くのである。
そうして、自分たちに完全に世界を統治する権利を得た神達の次にした行動。それは、18の王達の処遇についてである。
あの戦争後、神達は王達を殺すのは勿体無いと思い、封印していたのである。
王の力を見て、神達は思っていた。
ーーこの力が欲しい
と。そんな中、神達は王達の図る策略について知った。王達は将来現れるかもしれない、横暴な神々を憎み、倒してくれる存在が現れるだろうと考え、そいつらに力を託そうと考えた。
そんな情報を知ってしまった神達が次に起こした行動。それは、「その意思を利用してオーライに住む下々の人々を使ってその力を奪い取ろう」と。そして、そんか自分たちの欲深い目的の為にとあるコンテストを開催された。
それこそがレジェンドコンテストである。
封印した王達の力を集め、それを神々の元へ持っていくことにより、願いを叶えるというものである。その条件は簡単…ではないが、達成すると凄く強い力を手に入れられる。
全ての力を得たら願いを神達がその力と交換で実現する。無限の金。女、男を手に入れる。などなど、自分の望む夢がなんでも叶うのだ。そのような素晴らしいコンテストが転がっていると知ったら、皆はそれに齧り付くようになる。それに伴って、自分たちを信仰する物達ももっともっと増えていった。計画通りってやつである。
コンテストが開催されると、当たり前と言えば当たり前だが、だんだんと種族間での対立、部族での対立、そして、同族での対立が起き始めた。そうすると、だんだんと差別や奴隷問題なども浮上してしまった。
神達はそんな問題には目もくれなかった。しかし、そんなことを無視して、力を集めることを優先した。
なぜなら、神々は己達の為に王の力を欲しているからだ。
下々の奴らがどうなろうと知ったことではない。自分たちが力を手に入れられれば何でも良かったのだ。数で押し切ったとはいえ、王達の個々の力は最強格。そんなことができる力。神達は喉から手が出るほど欲しがった。しかし、王達は当たり前だが、神々にそんな力を分け与えようなんてことをする奴は居ない。
そこで王達の未来に託す計画を知った神々はその計画を利用し、人類などに力を集めさせ、願いを叶える代わりに力を我がものにし、完全にこの世界を支配しようとした。
しかし、うまくいかないのが世の常。その神々の計画を嘲笑うかのような刺客が現れる。
禁断王、災厄王、天災王、破壊王、不死王、吸喰王の6王である。6王は封印を自らの力で解いたのだ。
神々からすれば、最悪の展開である。この6王は18の王の中でも最強と言われる王達。今回の戦争では奇跡的に数で押し切ることができたものの、次回はどうなるかわからないほど強い奴らである。神達が最も欲した力である。そんな奴らが封印を自らの力で解いた。それすなわち、反旗を翻される時が近いということ。
そんな奴らを見過ごすわけもなく、神々は6王を悪夢乃六王と名づけ、人類達を利用し、力を消耗させ、弱まったタイミングでまた封印、あわよくば力を奪い取ろうとした。…しかし、6王は最初こそ真剣に戦ったものの、自分たちが置かれている状況を察したのか戦闘を辞め、どこかへと消えてしまった。
これはやばい。そう考えた神々は歴史を捻じ曲げ、18の王…ではなく、12の王と、悪夢乃六王の2つに分け、一旦六王を放置し(せざるを得なかった)、12の王の力を先に集めた後、あとは自分たちで残りの王達の力を集めようとした。12の王の力を持てばいける。神とて、一度は王達を倒した身であるからである。
その為、自分達に反旗を翻す奴が現れ、自分たちが滅ぼされないように、6王の力には誰も触れさせはしないよう、6王は世界に破滅をもたらす者達と教え込み、人類達にとって敵、そして、その力を持つことは禁忌であると認識させ、人類達がその力を手に入れないようにしたのだった。
「これが、私たちの過去、そして、世界の本当の歴史です」
「神…相当いかれてるな」
「ええ。本当に。ゴミ野郎どもです。…どうかお願いです。貴方には神々にバレないように、6王の力を集め、あいつらを倒して欲しいのです」
「要は、ゴミ神達をぶっ倒すために王の力をってことか…」
「はい。そういうことです」
なんとも、重い宿命を背負ってしまったなと感じる。…しかし、こいつには力をもらい、そして、今の生活を貰った訳だ。こんな過去話を聞いて、俺も神達を倒したいと思った。なんか、胸糞悪いし
「なら、俺がやってやるさ。だけど、6王の力だけではなく、全部集めてやる」
「…ほんと、頼もしい。やはり、貴方を選んだ正解でした」
「俺こそ、お前には感謝しないとな。色々とお世話にはなったからな。…だが、どうやって王を探そうか」
「なら、これを持っていってください」
そうして、渡されたのは巻物、2つの。え?ま、巻物!?
…すげぇ。俺の居た世界のような感じの奴がでてきたし、なにより、すげぇデュ○マに出てきた超獣王○列伝味を感じた。
「片方は六王のことが描かれている実質的に貴方様専用の巻物。そして、もう片方は12の王について記されている巻物です」
「おぉ。助かる」
「使い方…とかもはや無いに等しいですが、一応説明すると、巻物を開くとこのように王達のシルエット、そして、今貴方が集めるべき王のヒントが描かれています。例えば次に貴方様が集めるべき王、災厄王のヒントとかがこんな風にね」
無限のその先に
と六王を示す巻物にはシルエットと共に書いてある。なんか、凄く禍々強い見た目である。さらに、もう入手されている王達は黒ではなく、フルカラーで掲載されている。居場所とかは書いてないんだな。これと思った。まぁ、そんな簡単には辿り着かせてはくれないよな。
「成程。使い方はわかった。そして、また一歩俺の目標、平和にまったりライフを送るという目標達成に近づいた気がする。し、新たな目標もできた」
目標にまた一歩近づけて嬉しいと感じる反面、神達の愚行は許さん!と思ったじゅんきは、神達を滅ぼすことを決める。どこかの最強錬成師のような感じで。
そして、この世界の真実を知ったじゅんきはまったりライフを求める旅を再会…というより、この世界の腐った神を滅ぼす為の旅を開始する為、再びブラックと別れるのだった。
「…頼みましたよ。私の認めた異世界人様」
そんな声が、じゅんきの去った後に響いたのだった。




