第19話 別れ
「朝早いのに、よく来たものだな」
「当然だろう。王混君は私の大切な生徒なのだから。あの時は先生達を助けてくれてありがとう。本音を言ったら冒険者ではなく、ここに残って私達と共に戦って欲しいのだが、先生は生徒がやりたいことを応援すべきだからな。…応援しているよ。また、絶対に帰ってきて、共に元の世界へ帰ろう」
「藤沢先生。…また機会があれば帰ってくるかもしれんな」
「せ、先生はまだ認めてませんよ!クラスから抜けることも…せっかく、せっかく再会できて、生きてる姿を確認できたのに、再び居なくなるのは、先生とても悲しいのです!」
「木本先生…すみません。どうしてもやりたいことが出来てしまったので」
「駄目!…と言っても今の貴方は聞きませんよね。なら、絶対に生きて、そのやりたいことが終わったら、私たちの元へ帰ってきてください!これは先生との約束です!」
「はいはい。わかりましたよ。…あと、先生。俺のことを皆んなに言いましたね?」
「あっ。それは…」
「…はぁ。もう今更怒りはしない。どうせ俺のことを思ってとかなんだろうけど、時には黙ってて欲しいこともあるのを理解してて欲しい」
「…ごめんなさい」
「わかってくれたら、それでいいんだ」
「…はい!」
「…あ、あの、じゅんきくん」
「愛川?どうした…ってうお」
朝早く、俺が王国を出発しようと門へ向かっていると、先生2人、愛川の3人が来ていた。多分騎士団の人たちから聞いたのだろう。俺は先生達と話しをし終わった後に、俺は愛川に話しかけられると同時に抱きつかれた。
「おいおい、急に抱きつくな」
「ふふふ。ごめんね〜」
そうして、愛川は少しだけ離れた
「私、いえ、私達はもっと強くなるわ。そして、いつかは私はじゅんきくんの旅に着いて行きたいの」
「お前はどうしてそこまで…」
「そ、それは…今は秘密かな?」
「なんだそれ」
「ふふふ〜。それまでに!絶対死んだりしないでね!私も死なないから!」
「…そうか。はぁ、このクラスが嫌いとか言ったのに、またいつか会わないといけない理由が出来ちまったよな…」
「またクラスのことが嫌いとか言って…私はあまり嫌いにはならないで欲しい思う。クラスのこと。確かに理由が理由だけどね」
「…まぁな。…善処はするさ」
「それは嫌いのままだいると言ってるようなものじゃん。…そろそろだね。騎士団の人が来てる。…またね、じゅんきくん」
「…あぁ、またな」
そうして、俺は愛川と先生2人の元を去り、騎士団の元へと向かった。
「冒険者様、お話はもういいのですか?」
「あぁ。ケルムさん、ブレイブさん。少しの間だが、お世話になったな」
「いや。お礼するのはこっちの方だ。勇者一向の一部の奴らのせいで、あんたにまで迷惑が掛かってしまったからな。お詫びすると同時に感謝する」
「ブレイブさん…いいんですよ。いざという時に守ることが、契約でしょ?そんなことは気にしなくていいさ」
「くぅー!強いだけじゃなくて!こんなにも優しいとはなぁ!やっぱり冒険者様は勇者一向に…」
「こら。それは言わないの。…すみません。うちの団長が。…あっそうだ、これ、報酬の魔物の魔法石です」
「おお!ありがとうございます!…てか、気になったんですけどケルムさん。貴方結構苦労人って言われません?」
「ははは。よく言われますよ」
「大変な団長だな」
「ええ。ただ、尊敬はしていますよ」
「そう。いい騎士団だ。…さて、そしたら、俺はもう行くとするよ」
「はい。お気をつけて。また来てくださいね」
「今度こそは!冒険者様の強さの秘訣!聞かせてもらうからな!なんなら今からでも!」
「はいはい。それはまた今度にしますよ」
「おい!ケルム!俺のことを押すんじゃねぇー!」
ほんと。愉快な人たちだ。そう思いつつ、俺は魔法石の入った袋を空間魔法で収納し、車を出し、この王国から去ったのだった。
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「そういえば、この愛車の名前。何にしようかなぁー」
久しぶりのギルドへ戻るために、車の速度を上げて、街へと向かっていた。
プシュー!!
そんなことを呑気に考えて車を走らせていると、突如として車からそんな聞きたくない音と共にエンジンから白い煙が吹き出した。タイヤが「ゴゴゴゴ」という砂の上で急ブレーキをかけた時の音が鳴り響き、少しの凹凸の道にハンドルを取られる。高速走行のため、車の制御が効かないまま、近くの木や岩に激突してピンボールのようになって車はどんどんと道を外れていった。
「お、おい!どうなってんだ…って坂ぁぁ!うわぁぁぁ!止まってくれぇぇぇ!」
下り坂へ突入し、さらに車は加速。降りることもできず、ハンドルの操作は効かない。エンジンはこれまでに聞いたことのない悲鳴を上げる。そうして、そのまま暫く暴走する車に乗り続け、大きな木にぶつかって、車は停車した。…ぶつかったとき、かなりの衝撃だった。
「あ。あぁ。痛い目に遭った」
突如として起きた車のトラブルによって、車は暴走。大きく道を外れ、木々や岩にぶつかり、やがて一つの大きな木に激突して停車した車を見て、俺はそう嘆く。
…辺りは森だろう。木々が生い茂っている。そして、俺の車の来たところだけが、悲惨なことなっている。そんな中、俺の作った愛車は素材はいいものを使っていたからか、あれだけぶつかりまくったのにも関わらず、横などはぐちゃぐちゃになることはなく、多少の凹み、そして、ゴリッと剥がれた塗装のみだが、前は木に激突したからか大きく破損し、エンジンからは白い煙が出ている。
…しかし、俺自身も体が強くなったことも要因の一つとは思うが、俺自身は痛みは全くない。…しかし、急に何故壊れたのか。その原因が分かるまでに、そんなに時間は掛からなかった。
「…エンジンオイルが無くなってる」
前のボンネットを開け、剥き出しとなったエンジンを見た。シューという音と共に白い煙を出すエンジンからは、凄く焼け焦げたような匂いがした。よくよく見ると、エンジン内部のパーツが一回溶けたような感じになり、更にそれらはくっつきあっていた。
「俺はエンジンオイルをいれていたのに…って!まさか。あの時に!」
俺は、勇者一向のダンジョン攻略をサポートした時に、ダンジョン前に車をそのまま放置していたことを思い出した。あの時に、誰かのせいで車のエンジンオイルは抜かれたのだろう。車にとってエンジンオイルというものはとても大切なものである。
特にこの車においてはエンジンオイルは命そのものと言える存在である。ガソリンではなく、魔力によって動くこの車のエンジンピストンはガソリン車よりもかなり速くに動き、そしてかなりの高温となる。
エンジンオイルは潤滑、そして冷却の役割を担う。だから、そのエンジンオイルが抜かれてしまうと、エンジン内部は超高温となる。その結果、熱によってエンジン内部のパーツがくっつき合い、そして、今回のような事故を起こしてしまうというわけである。
そのため、それが抜かれていることにも破損する前には気づかず、簡単に抜けたりするような設計にしてしまった自分に、そして気づくのが遅かったという自分にも少しイラついたが。それよりも…
「くっそ!誰がやったのかは知らんが、どうせクラスメイトのせいだ!やっぱり俺はクラスが嫌いだー!!!」
多分クラスの誰かが、このことをやらかしたんだろう。そのせいで壊れ、名前をつける前だった愛車の隣。そして、誰も居ない森の中で俺は怒りを孕んだ声で叫んだのだった。
クラスメイトとも別れ、愛車とも別れた。事故で車を失うと、凄く悲しくなりますよね。
あと、2日くらい投稿忘れてしまっていた。




