第16話 無限ダンジョン攻略 前編
「ハァー!」
「魔を退治する力を我らに…」
日の魔法で皆の辺りが照らされる中、勇者一向(クラスメイト達)は各々が訓練でつけた力を使い、ダンジョンに出てくる魔物を倒してゆく。今はダンジョン5階。5階といっても、どんどんと地下へと潜る形式である。そんなよくあるようなダンジョンの攻略はまだ始まったばかり、Sランク冒険者同伴必須だけあり、ゴブリンなどのレベルの低すぎる魔物は出て来ず、オーガなどの並みの冒険者じゃ苦労するであろう魔物が沢山出てくる。しかし、勇者一向はいわゆるチートパーティ。俺みたいに特筆して何かが強いって感じではなく、バランスよく強い為、速さもなどが違う。そんな集団。遠距離も、近距離もチートと言える奴らが揃ってる。そして、ダンジョンに詳しい騎士団だっている。勇者達のピンチには手助けをし、それ以外の時は俺のために落ちた魔法石の颯爽と回収。おれは「何もしなくていい」の言葉通り、ただただその光景を見ているだけである。…てか、俺足手纏い説があるくらいである。…帰っていいかな?そんなことを思ったのだった。
「皆一旦下がれ!ファストバードの群れだ!森田!坂口!バリア展開!」
「「はい!守護職の俺らが命じる!皆を守れ!プロテクトシールド!」」
そうして、守護職という、守りに特化したような職業の持ち主、真面目で成績も優秀だった森口宗谷と、クラスのムードメーカーである坂口日向(どちらも男である)によって展開されたバリアにファストバードは突進する。バリアが固く、そのバリアに突進したことでファストバードはどんどんと倒れてゆく。まさしく、バードストライクというものである。てか、カースを造った時に見た、継ぎ接ぎの姿しかみたいなかったから、本当を見るのは初めてだがらやはり鮮やかなピンク色をしていて、顔立ちとかのかっこいい鳥だなと感じた。まぁ、冒険者に突進して、鋭利な嘴で体を貫いてくるらしく、かっこいい見た目に反して、かなり特攻戦法で知能はそこそこといっあ感じだな。
そんな敵にも恐れることはなく、クラス皆んなの連携プレイ、騎士団の知識と迅速なサポート。そして、それをぼーっと眺める俺!この素晴らしい連携プレイ(やっぱり俺はいらないよな)により、1階、また1階と進んでゆく。しかし、出てくる魔物の強さはほぼ同じ、普通は進んでゆけば行くほど魔物は強くなるはずなのに、強さがほとんど変わらない。なんというか、適当に作られたとしか思えないようなゲームみたいである。…確かに出てくる魔物は並みのダンジョンよりは強いだろう。しかし、こうも同じ強さの魔物だけとなると、本当にSランクの冒険者必須なのかと疑問に思うほどである。おそらくだが、Sランク冒険者の実力よりは遥かに低い。俺もそんなにこの世界を知らないからなんとも言えないが、せいぜいよくてBランク?くらいだろう。知らんけど。それか無限の名の通りで同じくらいの強さの魔物で大量を消耗させたただ後にボス戦とかなのかなんなのかは知らないが。
「はぁー。俺飽きてきたんすけど?弱すぎだろここの魔物」
「たしかになぁー。てかSランク(仮)とかの王混とかなにもしてねぇし」
同じような強さの魔物しか出てこない。動きも単調で面白みがないのだろう。突然、佐藤、剛力がそんな不満を漏らし始めた。俺だってお前らが勇者一向の一味だと知っていたなら来ないわボケ。てか、こんなこという奴が人々を救う勇者一向の一味とか笑える。
「もう!佐藤君!剛力君!王混君がいないと私たちはこのダンジョンにこれてないのよ!そんな言い方はなしだよ!」
「瑞姫さん///。だ、だがよぉ」
「まぁ、これには瑞姫の意見に賛同するな」
「い、委員長まで…くそ!」
相変わらず、愛川は優しいな。そして、委員長(天野勇樹)改め、勇者からの会心の一撃!てか、照れてるのを見ると気持ち悪いと感じるな。…多分俺があいつのこと嫌いだからだろうけど。
「おい!佐藤!剛力!冒険者様がいなければここには来れてないんだぞ!しかも、そろそろボスのいる場所だ!そんな退屈とか呑気なことを言わずに気を引き締めろ!」
「「は、はい…すみません」」
そう謝りながら、俺を睨んできた。いや。俺のせいじゃねぇし。…しかし、もうボスか。勇者一向がチート性能なのもだが、いくらなんでも、魔物が弱すぎる…これはなにかあるはず!?と、異世界漫画を読み漁った俺は勝手にその後の展開を妄想しながら、勇者一向に着いていくのだった。
「あれがこのダンジョンのボス。ムゲンチュラだ。あいつはかなり強力だ。毒の攻撃が特に厄介だ。バリアをも溶かすほどの強力な毒だ。接近して戦う者達は一旦下がり、遠距離の奴らが主体になり、あいつに攻撃をしろ!合図を出したら、近接を得意とする奴らは一斉に奴に攻撃だ!」
「「「「「「はい!!!」」」」」」
そうして、ボス、ムゲンチュラに向かって攻撃を開始する遠距離攻撃使い。ムゲンチュラ。全体に黒く、タランチュラを巨大にした見た目だけでなく、目が無限を表すかのように赤く、不気味に光り、毒を用いて、毒を適当に無差別に撒き散らし、近接系を寄せ付けないようにしつつ、遠距離の奴らをしっかりと狙う。まさに、ボスと呼ぶのが相応しい。…やはり、勇者一向は苦戦を強いられている。多分、いくらチートの奴らでも、あの毒を喰らえばひとたまりもない。団長達の指示があるから、ちょっとの苦戦で済んでいるのだろう。…あの毒は…強烈な鈍足効果と当たり続けるといずれ体が溶ける。成程、鈍足化したところへ毒を当て続け、強烈な痛みでもだてつつ、最後は体が溶けていくのか(技能で調べた)。あの力は、欲しいな。そう考えるのだった。
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「よし!近接の奴ら!いまだ!」
団長の合図とともに、一斉に近接部隊が攻撃をする。遠距離戦で少し疲れたであろう体に容赦なく、近接攻撃が叩き込まれる。体はそこまで固くないのか。だんだんと攻撃が通ってゆき、奇声をあげ、やがて、何も発しなくなった。不気味に光っていた赤い目は光ることなく濁った赤となり、やがて、体は消滅。魔法石を置いて、そいつは消えた。
「はっ。ただの雑魚と変わんなぁじゃねぇか」
「佐藤!それは俺らが強すぎるからって感じー!」
「あー!成程ー!理解したわー!…なぁ剛力、あれ見ろよ」
「おっ、お宝か?取りに行こうぜ!」
「皆んな!よくやってくれた!普通なら苦戦するムゲンチュラをこんなにもあっさりと倒したのはすごいな!流石勇者様達!今回はここまでしよう…」
「すげぇ。宝箱じゃねぇか!」
「おぉ、開けようぜ」
「…宝箱?おい!佐藤!剛力!それを開けるなぁー!」
「「え?」」
団長のそんな声も虚しく響き、宝箱を佐藤と剛力は開けてしまった。すると、ボス部屋は光り輝いた。それはもう、目を開けられないくらいに。そして、この場の皆んなは光へと飲まれるのだった。




