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絶対に

りっちゃんとななみの携帯に着信音が鳴る。

チャットアプリの天糸を開くと生徒全員に送られたメッセージが書いてあった。


カミーネより


私はこの領が行きたい領ワースト1位なのが嫌でこのイベントを考えました。

しかし、それは浅慮で、私のわがままでした。

今の私の理想は、みんなが同じ未来を共有する家族、領民が真の幸福を感じる社会です。

それを踏まえて皆さんのアイデアをください。

モンブラン日本一のイベントを通じて社会の人たちが幸福を感じるにはどうしたらよいでしょうか?



「やりやがったわね!」

「どんな結果も受け入れなさい」

りっちゃんとななみがそう言ってカミーネにそっと寄り添ってくれる。


カミーネは両手で携帯を強く握り、身体は少し震えていたが、

親友2人のあたたかさが心にまで届いた感じがした。




バン!

観光企画課の扉が勢いよく開かれる。

中にいたけいごがビクっとして持っていたコーヒーカップを取り落としそうになるのを何とか抑え扉に振り返ると、

息を切らし、タブレットを抱えたカミーネが立っていた。


「待たせたわねけいご!」

「別に待っていません」

「つべこべ言わずにこれを見なさい!」

カミーネはそう言ってタブレットを操作して画面を開く。

そこに記されていたのは、

例の企画案であった。


ただし、改善点が多数加えられていた。


現行の笠門栗祭へ同時開催、そのメインイベントとしてモンブラン日本一とする。

・イベント開催前後の地域住民への聞き取り調査。

栗農園、ケーキ屋、喫茶店、甘味処、その他。

・これらの運営を地域近隣の学生によるボランティア活動で実施する。

物品販売、PR戦略、栗農家への手伝い、etc.

これにより学生と地域住人のお互いの知見や問題点を共有し経済効果、社会貢献の学習機会、達成感、地域との一体感、笠門モンブランを通じて食と幸せの関係性を知る機会とする。

・これらの結果、笠門の栗が領外への認知と興味に繋がり茨の城領内への観光資源とする。


「これでどう?」

カミーネが問うがけいごの目は画面から動かない。


「ど・・・どうやってこの案を?」

タブレットを持ったまま目だけカミーネの方に動かしけいごが問うてくる。


「これよ!」

カミーネはそう言って自分の携帯の画面に天糸で集めた意見を映す。

「学生全体から集めた意見・・・・なるほど」


それだけ言うとけいごはバッと身を翻して自分のデスクのパソコンに向かい作業を始める。


「ちょっと!」

けいごが自分の存在を無視して仕事を始めたのでカミーネが抗議をすると、


「姫様、私はこの企画書を正式なものにする作業で忙しいので邪魔しないでいただきたい」

「それって??」

カミーネの目が輝きをます。


激しくキーボードを叩きながら、独り言のように、


「地域の祭りのブラッシュアップにより笠門のブランディング力をつけ、

地域の高齢化、過疎の問題を直視しし、

学生の能力と経験の向上。

そして、領外へのアピール・・・・絶対に成功させます」


生天目けいごは言い切った。

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