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秋は乾燥芋の季節 ③

小清水 りさはカミーネたちと同学年で聖基督学園に通っているが、

昨年のモンブラン日本一のイベントに参加できなかった生徒の1人である。

理由は前述の通り、

『芋ほりがあるから!』

であるが、カミーネの行いにはとても感銘を受けていた。


そして、できうる限りの企画書や提案を読み込み、カミーネの意図や笠門の現状、イベントの結果なども充分に理解した。

そして、それを見て大いに奮い立った。

次は自分の番だ!と。



「ウチのブランド力を上げるにはどうしたらいいかな?」

りさは父や母に相談するが、

「今のままで十分」「お母さんにはわからないよ」

といった感じで取り合ってもらえない。


りさは隣のとしやに相談した。

「ねえ、としちゃん!相談があるんだけど・・・」

「何だよ、相談って・・・」

としやは久しぶりに尋ねてきたりさに、一瞬、心に明かりが灯った感覚があったが、

つっけんどんな言葉しか出ない。


りさはそんなことお構いなしに、としやの部屋に上がり込み、話を続ける。

「ウチのお芋のブランド力を上げたいんだ」

「ブランド力・・・?お前んとこ赤字じゃないだろ?」

「経営は問題ないよ、そうじゃなくって・・・カミーネ姫さまは笠門で日本一のモンブランを作ろうとしたんだよ、だからわはしは日本一の乾燥芋を作るんだよ」

「・・・・お前、何言ってんだ?」

りさの熱量がとしやには理解できない。


「素敵じゃない!茨の城領を盛り上げる為にイベント開催して栗と笠門のブランド力を上げる試みなんて」

としやは乾燥芋に情熱を傾けているりさのことがなんとなく気に入らないので、

「あんまりそうは思わんけど・・・」

っと、同意できない。


「もう!としちゃんもお父さんやお母さんみたいなこと言って~」

りさの頬が膨れ、

「分かってくれないなら帰る!」

りさが立ち上がり帰ろうとすると、

「まあ、待てよ」

としやはそう言って自分のPCを立ち上げ、ブランドを検索する。


『ブランドとは、商品やサービスを他の商品やサービスから識別させ、差別化を可能にしてくれるものである。

ブランドは、個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称』

「だってよ、お前はどうしたいんだ?」

「わたしは・・・一番甘いお芋がいい!」

「美味いじゃなくて甘いなのか?」

「うん!美味しいって人によって違うじゃない、でも甘いは糖度を量って一番って判るでしょ!」

「そうだけど、一番甘いチョコレートやケーキが売れるわけじゃねーだろ」

「としちゃんの言うこともわかるけど、わたし、一番甘い乾燥芋を作る!」

「そっか、ま、がんばれ」

「ありがと、としちゃん」

そう言ってりさは駆け出して行った。



それから一年、りさは自分専用の農地を1aほど貰い、土壌の改良や肥料、水やり、りさなりに思いつく工夫を全てやって、最高の糖度の紅はるかが完成した。

それを桐の箱に詰めたものがカミーネの前にある天王であった。

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