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磯のアワビの片思い ④

「「「いただきます!」」」


目の前には小丼に盛られたふっくら炊き立てのご飯。

その先には白いお皿に無造作にこんもりと盛られた、

山吹色に輝く小判ではなく、朝取りのウニ。


皿を手に取り、刺してあるスプーンで、

無遠慮にご飯の上にモリっとウニを盛り付ける。

ご飯が隠れるくらい・・・


セルフ・ウニ丼


世が世なら時価・・・・

水産資源の回復に感謝である。


「ちょっと!りつ~あんた!乗せ過ぎじゃないの!」

「これは夢。ならば限界まで・・・」

「夢じゃないよ!りっちゃん!戻って来て~」


3人はひかりのお婆ちゃんちでモニターリングを兼ねて民宿体験をしている。

それを見ているひかりと両祖父母が苦笑いだ。


ご飯が隠れ、一面にウニが引き詰めてある丼に付属のワサビを載せて、醤油を回しかける。

ビジュアルだけでも、幸福度が上がる3人だが、それを実際に食す。


甘い・・・舌先の甘味を捉える器官がウニの甘味ととろけるような触感を脳に伝え、

潮の香と味を次の器官が捉え、咀嚼の必要すらなく、舌と上顎の裏側で舐める様に攪拌されていく・・・口内にバターとは違う、濃厚なウニの風味を醤油とワサビがまとめ上げる。


「ウニ、うま~」

「これは本当に美味しいわ~美しい素晴らしい~美味しさ」

りっちゃんは恍惚と斜め上を見上げ、ななみは目を閉じて自分の世界に沈んでいる。


カミーネは先日も食べたのだが、今日はアワビが無いので、ウニの美味しさが一層引き立つ。


3人は会話も忘れて、己の丼と全霊で向き合って、あっという間に完食してしまった。


「人生で一番美味しいウニだったよ」

「もう、他のウニは食べられない、今まで食べきたのは何だったのかしら?」

「わたしも、2人に同意見だよ、この美味しさをどうすれば伝えられるのかしら・・」


「伝える方法ならあるわ、でも、その前に・・・」

「え、あるんだ流石なな~」

「その前に何?」

「休業中の根本さん(お婆ちゃんち=民宿根本)が突然、来客が殺到しても困るでしょう」

「じゃあ、じゃあ、ホテルに売り込むとかは?」

「ホテルの売上が上がって経営陣は幸せよね、それって地域の人達の幸せに繋がるかしら?」

「難しい・・・わ」


3人が腕を組んで悩んでいると、黙っていたひかりが手を挙げる。


「はい!ひかりちゃん!」

カミーネがビシっと手をかざし、指名する。


「わたし、自分で獲ったものは大体、自分で食べてるんですけど、

姉さん達はほとんど水揚げして、自分たちでは食べないんです」

「うん、それで」

「わたしはもっと地元の人たちにも食べて欲しいんですよね

でも、あんまり食べる場所がないと言うか・・・」

「そうなのよ!地元の水産物を食べれるお店があんまりないよね」

「大きいところで言えば、湊漁港市場とおさかな道の停なんだけど、観光客向け、利益優先の観光地値段なのよね」

「あるある・・・そうすると地元の人は寄り付かないわよね」


「じゃあ、こういうのはどうかしら?」

カミーネが皆に提案する。

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