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心機:一転

⚠️童貞という単語が出ていますが、下ネタ・エッチな小説ではなく完全バトル小説になります。ご了承ください。⚠️



〜フルトロン 集会所〜


門の前で戦闘が起きている音をバックにタケルとエテルナは睨み合っている。

タケルはもう一度拳を握ると、エテルナは立ち上がり個体を浮かせた。


目の前の相手よりも強いはずなのに、緊迫した様子で戦闘を挑んでいる事に腹が立っているエテルナ。

そんな事も気にせず、タケルは無言で近づいていく。


「……その子供が死んだから腹が立っているんですか?」

「……何?」


エテルナは無理に口角を上げタケルを煽る。

気を紛らわせ、我を忘れている間に逃げるという作戦だ。


「あの子供もどうせカイルお姉様に殺される運命ですよ?そんな事で一々怒っていたら避難所の人達の場合はどうなるんです?」

「そんな事……?」

「えぇ、そうですよ。しかも貴方達は初対面。何も思い出が無いのに怒れるなんて才能ですね……!!!」


エテルナは手のひらとともに個体を前に突き出す。


「小さな女の子一人見殺しにしておいて……キレんなって言う方が無理な話だ……!!」

「type:17!!」


タケルに向かって切れ味抜群な刃物を放つ。

当然それを避け、エテルナに近づいていく。

拳を握り顔面に殴りかかった瞬間、頭上に予め用意されていた個体が光り出す。


「type:04!!」

「くっ……!!」


無数の針がタケルの頭上に降り注ぐ。

タケルは後ろに下がり距離を取った瞬間、避けて刺さっていた刃物がガタガタと動き出す。

違和感を感じたタケルは後ろを振り返ると、目の前まで飛んできていた。


「うぉっ!?」


見事に後ろに反って避けたが片足が浮いてしまった為、尻もちをつかざるを得ない状況になってしまった。


「よく避けましたね、ですがその体勢から……もう一度避けれますか?type……!」

「させっかよ!!」


エテルナが詠唱を唱えた瞬間、タケルは片足でを軸にクルッと回り姿勢を整え、近くにあった椅子を蹴り飛ばす。

個体が椅子にぶつかり消えてしまい舌打ちをするエテルナ。

飛んできた椅子を片手で振り払い、もう一度個体を作ろうとした瞬間、目の前に拳が飛んできていた。


「おっせぇんだよ!!」

「ぐぅっ……!!」


真正面に叩き込み、殴り飛ばした。

飛ばされた勢いで近くの机に背中を強くぶつける。

頬と顔面を殴られ、意識が朦朧としてきてしまっていた。

それに対しタケルは五体満足で立っている。


「……四天王生活もここでシメーだ。お前を倒して避難所に向かう」

「……ふふっ、出来るものならどうぞ」


エテルナの顔面に向かって殴りかかろうとした時。

タケルの左下付近からボトッと言う音が聞こえる。

恐る恐る目をやると、見覚えのある腕が落ちていた。

そう、タケルの左腕だったのだ。


「はっ……?」

「type:17……」


我を取り戻した瞬間、左腕から激痛が走る。

声にならない痛みがタケルを襲う。

汗が吹き出して止まらない。ひたすら左腕を握って止血するが血は当然止まらない。


「予め後ろに個体をもう一つ用意していて良かったです」

「て……めぇ……!!!」


タケルは膝をつき、息を整える。

立場が逆転してしまいエテルナはニヤリと笑う。

個体を浮かせ、タケルに右手とともに個体を前に突き出す。


「type:17」


ドォンと凄まじい音が集会所に響き渡る。

その音を聞き、門の前にいた者達は音の鳴る方に目を向ける。



〜フルトロン 避難所周辺〜


防空壕的な所でガタガタと震えている住人達。

そこに一人の女が姿を消しつつ歩いてくる。

勿論住人達はその様子に気付かず、ひたすら安堵が訪れるのを待つ。


一人の一般冒険者が外の状況を確認しようと顔を出した瞬間、防空壕にいた数人の冒険者達が異変に気づいた。

しかし、もう手遅れ。

防空壕に向かって近付いてきたのは四天王の一人、カイルだった。


「貴様っ……!!何を……!?」

「ハイドスキルよ、そんなのも知らない?」

「ちっ……!動けるものは立て!決して住人達に危害を加えるな!」


動ける冒険者は全員防空壕から出て、剣や魔法器具等を用いて構える。

だが殆どの冒険者は門前での戦闘の為、ここにいる者は数人程度。


正直言って勝ち目は無い。

だからこそ、少しでも時間を稼ごうと全力で立ち向かう。

だがその心意気も儚く、数十分も経たないうちに全員が戦闘不能になってしまった。


飛び交う悲鳴、そこら中に飛び散る血。

その光景はまさに地獄そのものであった。


「……はぁ……つまらないわね、貴方達は」

「くっ……うおぉおおおおお!!!!」

「type:08」


一人の冒険者がカイルに向かって走り剣を抜き斬りつける。

だがカイルは周りに空間のバリアを作り防いだ。

諦めずに斬り続ける冒険者に対し、カイルは溜息を付く。


「そんなんじゃこのバリアは壊せないわ……?」


周りから黄色い声援が聞こえ始める。


「頑張れーー!!」

「そんなやつぶっ倒しちまえ!!」

「負けるな!!いけーー!!!」


避難所にいた子どもや女性が彼に声援を届けていたのだ。

カイルはその光景を見ていると、冒険者が口を開く。


「俺には愛する家族がいる……友がいる……弟子がいる……!!周りの奴らだってそうだ!護る物がある者何が何でも護り通す!!俺が……お前に挑んだ理由は……皆を護る為だ!!!」


「護る?……ならそこの人間共の避難所は護れるかしら……?」


カイルは避難所に向かって手をかざし個体を放った。

その光景を見た冒険者は個体に向かって走っていく。

だがその個体は何事も無かったように途中で消えた。


「ブラフよ」

「なっ……!!」


冒険者が振り返った瞬間、目の前に小さな無数の針が迫ってきていた。

冒険者が死ぬのを確信した瞬間、空気を切る音が聞こえた。


「えっさ!!!!!!」


カイルの顔面に思い切り蹴り飛ばす。


「……下がっとけ雑魚」

「君……は、君達……は!」


ゾエラは既に立ち直り、フルトロンに戻っていた。

ルルマとダズは万が一に備え避難所の前に立つ。


「彼の言う通りだよ、人は護るために闘う。だけど私は護れなかった。だからもう、今から……これから!」


ゾエラは拳を構え、カイルに向かって叫んだ。


「もう、誰も死なせない!!!!」

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