正義:執行
⚠️童貞という単語が出ていますが、下ネタ・エッチな小説ではなく完全バトル小説になります。ご了承ください。⚠️
〜深淵の森〜
その場にいたタケル以外の全員が驚いていた。
タケルは何も発さず右手をゆっくり下ろし、一歩一歩バリスに近づいて行く。
「まさか……俺達と同じような……限定解除……!?」
「なんで効かねェんだ……!?チッ……どいつもこいつもめんどくせェ!!まとめてぶっ殺す!!」
上空に手をかざし骨を集めて一つの骨に変形させた。
バキバキと何かが壊れるような音が鳴り響き、オウガ達はただ上空を見て驚いてる。
「テメェら冒険者を全員ぶっ殺して魔王軍が征服させる!これが俺の正義だ!!絶対的な正義なんだよォ!!」
「そんなの正義でもなんでもない!お前の正義は間違ってる!」
「間違ってる……?はッ、いきがッてんじゃねえぞ雑魚が。現に今お前らの正義は俺の正義に負けてるんだよ。これが現状だ」
フーガの訴えも届かない。
ただただ骨を眺めているしかなかった。
だがタケルはただひたすら近づいていく。
「……おいお前、この上にある骨が見えねェかよ」
「タケル!!」
「ははァ……!まるでゾンビだなァ!!そのまま潔く死に晒せ!」
タケルに向かって巨大な骨が落ちてくる。
喰らえば即死レベルの重さでバリスは勝利を確信していた。
フーガとレミィは走ってタケルを押して避けさせようとするが、骨の方が速かった。
骨が地面に落ち轟音が鳴り響く。
全員が死んだと思った時。
タケルは無傷でバリスの方に向かってまだ歩み続けていた。
そう、効いていないのだ。
「なっ……んだと!?」
「正義がどうとか征服がどうとか……んなもん俺達は聞き捨てならねぇ……もしお前がその正義を貫くんだったら……」
タケルはグッと拳を握り、バリスの前まで辿り着く。
バリスは何も出来ずタケルの言葉を聞くしか無かった。
「お前の正義を、俺の正義で殺してやる」
バリスの腹に向かって力いっぱいぶん殴った。
能力も全て無効化されている為、骨も貫通しみぞおちに拳が入る。
初めて腹パンをまともに食らったのか白目を向き唾を吐き出し、10m程ぶっ飛ばされ近くの木にぶつかるバリス。
それと同時にタケルはその場で倒れ、何事も無かったかのように静かになった。
その場にいたボルザーク族の3人は唖然としており、数秒間動けなかった。
「タケル!!」
奥の草むらからガルドが顔を出し、真っ先にタケルに向かって叫ぶ。
今の光景を見て状況が把握しきれなかったガルドは、近くにいたレミィに近寄り問いかけた。
「タケルは!?タケルは生きておるのか!?」
「ま、まってよガル姉、ついさっきまで立ってたよ」
ガルドはタケルの方向を向き、疑問に思う所が多々あった。
左胸に貫かれた跡……こんだけ出血しておるのに立ち上がって敵を倒したのか?
常人なら出来ない……というか出来るわけが無いじゃろう。
ワシらと同じ限定解除か?それとも……タケル自身の一つの能力を使っておるのか……?
「……ともかく、タケルを安全な位置に移動じゃ。レミィ、フーガ!家に向かって走るんじゃ!」
「頼んだぞ、お前ら」
2人はコクリと頷き、タケルを抱えて家に戻って行った。
バリスの横を通りすがったレミィがチラリと様子を見る。
目を開いてこっちを見ながらにやりと笑みを浮かべていた。
恐怖に思ったレミィは視線を外そうと胴体の方に目を逸らした時、バリスの右手にボタンのような何かあるのが見えた。
「ハハァ……」
「……っ!!!」
レミィは察した。
これを許すと、恐らくとんでもない事が起きるのを。
だがその思考に至るも、行動に移すのが遅かった。
バリスがそのボタンを押した瞬間、上に煙幕が立ち上る。
まるで……侵略開始を告げるかのような煙幕が。
「煙幕……?!」
「あそこはタケルさん達がいる所じゃ……!?」
「急ごうマーチちゃん!多分やばいかもしれない……!!」
遅れて走っているゾエラとマーチ。
不思議に思ったが走るのを辞めない。
すると奥から焦って走ってくるガルドやオウガが見えた。
「ガ、ガルドさんに皆さん!一体何が……?」
「いいからフルトロンに行くんじゃ!やばいもんが始まったんじゃ!!」
「あの煙幕は恐らく敵軍がフルトロンに攻撃開始してもいいサインだ。早く戻らないと森ん中で死んでしまうぞ」
オウガはそう言うと、皆深淵の森からフルトロンに向かって走っていく。
だがゾエラは動かなかった。
「ゾエラ!!何しとるんじゃ!!」
「待ってよガルドちゃん、タケルくんは……?」
「フーガ担いでこっちに向かってきておる!心配いらん!」
「……じゃあなんでこっちに向かって走ってこないの?」
おかしい。
何かが、おかしい。
フーガとレミィが……来ない。
オウガとガルドは能力を発動して速く走ってきたが、フーガとレミィは速くなる能力がない。
「……私、行ってくる」
「何を言っとるんじゃ!!」
「能力を付与して一緒に戻ってくる。大丈夫だよ」
「ゾエラさん!危険空間が凄く反応しています!数十体……いや数百体程のオーラが……!」
ゾエラは森の方に足を進める。
覚悟を決め、拳を握ってみんなの方を向いて笑った。
「任せて」
そう言うとゾエラは森に向かって走っていった。
しばらくすると姿は見えなくなり、状況も分からなくなった。
「……ゾエラ」
「パーティーメンバーを信じれないのか?」
「……ワシが馬鹿じゃったの。信じれないなんて仲間失格じゃ」
「フルトロンに戻って集会場で状況を伝えましょう!今私たちができる最善策を行いましょう……!!」
マーチはそう言うと3人はフルトロンに向かって走っていった。




