童帝:覚醒
⚠️童貞という単語が出ていますが、下ネタ・エッチな小説ではなく完全バトル小説になります。ご了承ください。⚠️
〜深淵の森 入口付近〜
「今の音っ……!?」
「なんじゃ!敵の音か!?」
「タケルのやつ、1人で戦ってるんじゃな!!」
「はい!タケルさん1人で任せています……!!」
「それが分かればよい、急ぐぞ!」
甲高い音が響き渡るのを聞いたガルド達。
だが考える事も時間の無駄だと感じた3人は、音の鳴った方向に向かって走っていく。
〜深淵の森〜
……俺……は……。
……生きて……るのか……?
目をゆっくり開けるが視界がぼやけて状況がわからない。
四肢の感覚が麻痺っているが、左胸に違和感があった。
左胸に骨が刺さって木まで貫かれているタケル。
下を向くとぼやけているが、赤い液体がうっすらと見える。
あれ……頭動かねぇ……。
今俺……どうなってんだ……?
「どうした?さっきまでの威勢の良さはどうしたんだァ!?」
バリスはタケルの滑稽な姿を見て嘲笑っていた。
何も出来ない、何も動かないタケルは道具同然。
「結局新米パーティはここで終わりだなァ!今までの旅もおじゃんだ!!ハハハハハハハハハ!!!!!!!」
バリスの笑い声が響く。
当然タケルは何も喋れない。
意識だけが遠のいていく。
そんな時、後ろの方から聞いた事のある声が聞こえてきた。
「よぉ、お前か?俺のダチをこんなふうにしたの」
「あァ?」
バリスが声のした方を見ると、そこにはオウガが立っていた。
その男に喋りかけようとした瞬間、バリスの後ろから何か風を切る音が聞こえてきた。
振り向くとそこには激怒を通り越し、言葉を失っているフーガが拳を握って立っていたのだ。
殴る寸前にバリスは山勘で骨を頭の後頭部に凝縮し、フーガのパンチを受ける。
だがその骨も砕け、バリスは思い切り地面に叩きつけられた。
なっ……んつゥパワーだァ!?
俺の骨は岩よりも頑丈なのに……こいつ一発で俺に地面を舐めさせやがったァ!?
「お前がタケルをあんなふうにしたのか」
「はッ……アハハハハ……お前ェおもしれェ!!俺の骨を砕かれたの初めてだ!!」
「うるさい餌だな、殺してやるから立て雑魚」
「餌はどっちだァ!?調子乗ってんじゃねェぞ!!!!」
骨を指の爪に凝縮し放つ。
強化されたそれぞれ10本の爪は鋭利な刃物に変わっていた。
だがフーガがそれを何も気にせず立ち尽くしている。
まるで誰かを待つように。
「ははァ!今更負けを認めんのかァ!?」
「違げぇよ。お前の必死さに呆れてる」
レミィがフーガの前にスタスタ横から歩いてくる。
普通なら当たってダメージを負うはずなのだが、レミィは蔑んだ横目でバリスを見る。
「タケルを瀕死まで追いやったから期待したけど……大したことないんだね」
完全防御。レミィの最強の盾は骨ごときでは何も感じない。
バリスはレミィにひたすら骨を放つが、気にせずにバリスの方に近づいていく。
「タケル!おいしっかりしろ!!」
「ヒュー……ヒュー……」
オウガはタケルを寝かせて応答を待つ。
だがタケルは目を瞑って小さい呼吸のみを続けていた。
回復魔法は誰も持っていない。
今この状況でタケルを救うのは同じパーティーのマーチを待つのみだった。
「タケル!!おい!!!もうちょいだ!お前んとこの魔法使いがもう少しで来る!」
「……」
タケルはただ小さく呼吸することしか出来なかった。
……聞こえる。
……オウガの声が……。
…………あいつら……俺の為に…………。
「なんで効かねぇんだこいつはァ!!!!」
「無駄なことを続けるんだね、悪党は」
「レミィ、もういいよ。こいつ殺してタケルを……!」
「姉さん……落ち着いて。情報を抜き出さないと」
バリスから一つでも情報を出してくれないと、今現状何が起きて何を起こすのかが分からない状態になる。
これ以上撃っても無駄なことに気付いたバリスは、骨を打つのをやめ立ち尽くすことしか出来なかった。
レミィはバリスに近づき胸元を掴む。
冷静かと思っていたレミィは、フーガ以上に憤怒していた。
「……何がしたいのか教えて」
「ッ……!!」
上目遣いで血管が浮き出るほどキレているレミィ。
その表情を見て背筋が凍るバリスは、手も足も出なかった。
能力を放っても効かない、仮に攻撃してもパワー女に殴られる。
拳を握ることしか出来なかったバリス。レミィへの返答も出来ないほど恐怖していた。
「……」
「タ……ケル!?」
「なッ……!?」
バリス達の奥の方から何かが立ち上がる音が聞こえた。
血を流しながら無言で仁王立ちしているタケルの姿。
オウガは止めようとするが、止めたら死ぬ予感がした為あえて触れなかった。
恐らくタケルの最後の反撃。
ここで外部から何かしら接触するとそのまま倒れてしまう。
そのタケルを見て驚愕することしか出来ないバリスは、何故かニヤけた表情をする。
感情がバグっていたのだろう。バリスは高笑いし始めた。
「アハハハハハハハハ!!!!おい屍ェ!!!お前よく立ち上がったなァ!!!」
「タケル……!?」
「今のお前なんてよォ!!俺の骨一本で一発だなァ!!新米冒険者のくせに無理して戦うからこんなザマになんだよ!!」
タケルは歩むのを辞めない。
一歩、一歩ずつ進んでいく。
「……クソがァ!なんか言えよ屍ェ!!!」
「……タケルが危ない……!!」
バリスが骨でバネを形成し、勢いをつけてタケルの方に飛んでいく。
それを見て危険を察知したフーガとレミィは、急いでタケルの方に向かって走っていく。
だが間に合わない。
バリスの方が圧倒的に速かった。
右手に骨のナイフを作り頭に突き刺そうとする。
「死に晒せやァ!!!」
「「タケル!!!!」」
タケルは右手を前に突き出す。
その瞬間、バリスの攻撃は無効化されナイフが砕けた。
そう、対象外のはずなのに。




