裏の:行動
⚠️童貞という単語が出ていますが、下ネタ・エッチな小説ではなく完全バトル小説になります。ご了承ください。⚠️
〜剣道場〜
「そこ!!もっと剣を素早く振って!!」
「おっす!姉貴!!」
「ガルドさんを見習いなさい!!」
「ふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんふん」
もはや素振りが速すぎて竹刀が一つの扇形に見える程早く振っているガルド。
適当に振っているだけなのにみんなからキラキラした目で見られる為、ちょっと嬉しかった。
ボーンと言う音が鳴り響く。
休憩時間に入った為、生徒達はその場でヘタりと座り休憩を取り始めた。
勿論ガルドも竹刀を置いて休憩を取る。
「はぁ〜疲れた……」
「お疲れ様です!!ガルドさん!!」
「休憩時間なのに暑苦しい奴じゃのう……」
ガルドの隣で座り込むスーラが、水を差し出しありがたく受け取る。
ふと気になったが、スーラの腕前が気になるガルド。
いくら速くても、いくら隙がなくても……恐らくスーラの剣さばきはガルドより上だ。
「ヌシ、剣を持ってどれぐらい経つ?」
「10年程です!8際の頃に剣を持ち始めてですね!10際の頃に剣道代表村選手権に出て優勝してそれから……」
「あぁ〜……腕前は?」
「気になりますか!?私の腕前!気になりますか!?」
圧すっごい。
押しつぶされる勢いなんだけど。
「気になるというか……まぁ強いのかなと思ってのぉ……」
「10年の剣、味わってみますか?」
「っ……」
今の言葉で空気が全て変わった。
スーラのうざったい態度が一気に真剣な顔になる。
戦いになると恐らく本気になる人種だろう。
スーラは持っていた水を全て飲み干すと、竹刀を持ち立ち上がる。
「一戦、やりましょう」
「……よいぞ」
答えるようにガルドは竹刀を持ち、立ち上がって定位置に着く。
スーラは独特な構えをすると、目を赤くしこちらを見てガルドの構えを待つ。
「制限時間は10分、1回でも私の首に竹刀を当てれたらガルドさんの勝ちです」
「簡単じゃな」
ガルドも構えると、スーラは目から血を流し始めた。
心配になるガルドだが、恐らく能力の一種だろうと思い身構えることにした。
「紅ノ不知火」
「ぬぉっ!?」
ドゴォンっと音がしたと思ったらスーラの足元に巨大な魔法陣が出来ていた。
生徒達も起き上がり、全員端に寄っていく。
早く当てなきゃ負けると思ったガルドはすぐに突っ込むが、その判断が過ちだった。
真正面から当てようとするが、簡単に受け止められてしまう。
……あの、ガルドの速さでだ。
見えない速度のはずが、まるで見えているように感じる。
「なんちゅう反射速度……!?」
「私の能力は少し強いですよ」
ガルドの竹刀を上に打ち飛ばす。
持っていた筈の竹刀が一瞬で自分の手から消え、驚きを隠せない状態だった。
カランコロンと竹刀が後ろに落ちる音がし、我に返るガルド。
「竹刀が空中に浮いている間、私はガルドさんを7回ほど刺せましたよ」
「ちっ!」
急いで竹刀を取りに戻り、スーラがいる方向を見るともうすぐそこに詰まれていた。
すぐに竹刀を顔面に構え攻撃を防ごうとするが、すぐに腹に竹刀を突きつけられる。
「私の能力は魔法陣にいる物・人に対応する能力を持ちます」
「対応……?」
「もしガルドさんの能力に追いつけないならこっちが速くなればいい。ガルドさんが顔を守るなら、腹に剣を刺せばいい」
スーラの紅ノ不知火の能力は簡単に説明すると【相手がそうするなら、自分はこれをすればいい】という思考を0.1秒で判断し行動に移す能力だ。
「じゃあワシの能力はヌシの能力でパーか!」
「頑張ってください」
スーラは竹刀を上に振り上げ、ガルドの頭上に向かって振り下してきた為、ガルドは避けようと後ろに下がろうとする。
だが、スーラは【下がるならこっちは至近距離に詰めればいい】
という思考に至り、ガルドの目の前に追いつく。
振り下ろされた竹刀は、再びガルドの腹に向かって当てようとするが、ガルドは腹に竹刀を構える。
「ちぃ……!?忙しいのぅ!!」
「そういう能力ですから」
スーラの竹刀はガルドの顔面に突き付けられていた。
この時点でもう3分も経っているのにも関わらず、手も足も出ない状況だ。
「姉貴の能力は攻略なんて不可能だ」
「戦う相手は裏を常に考えないと戦えないからな……」
生徒達がスーラの戦っている姿を見ながら呟く。
スーラの攻略法は裏をかくことだが、それすらも彼女によって対応される為ほぼ不可能に近い状態。
それをガルドは既に気づいている。気づいているからこそ手も足も出ない状況なのだ。
「さて、残り7分です。ガルドさんには傷を付けていないので立ち上がれるし戦えると思いますが……」
「っ!!」
竹刀を下に降ろし後ろを振り返るスーラに対し、ガルドは隙をついてスーラの首を狙う。
……が、その行動を既に彼女は気づいていた。
竹刀を竹刀で受け止め、ググッと力を入れながら首元から離す。
「ぬぅっ……!!」
「不意打ち……いい考えですが私の前ではただの無駄な行為ですよ」
ガルドは竹刀を離し、後ろに下がる。
生徒から竹刀を奪い取りスーラに向かって走っていく。
残り時間5分。
当てれば!当てればいいだけじゃ……!!!
「限定解除……!!」
「っ!?」
ガルドの角が激しく光る。
竹刀を下から振り上げるが、当然スーラの能力によって止められたが、臆せずにスーラの後ろに回って首を狙って当てに行こうとする。
そう、ガルドは動きが速くなっただけではなく、思考回路も上昇しているのだ。
「速い……!?」
「ワシはボルザーク族じゃぞ?」
首を当てようとするが、竹刀で弾かれる。
次も……その次も。
当たらないがそれでもガルドの動きは止まらない。
それどころか速さが徐々に上がってきているのだ。
「(追いつかない……!?)」
「ヌシの能力は裏をかくことじゃろ?だがヌシの能力にもキャパがあるはずじゃ。動きの速さのキャパがのぅ!!」
スーラの竹刀の動きが一定に対し、ガルドの動きは上がっていく一方だ。
所々竹刀の傷受けるスーラだが、首はまだ受けていない。
「嘘だろ……!!あの姉貴が!?」
「新入生に押されてんぞ……!!」
生徒も驚きを隠せていない状態だ。
それほどスーラの実力は遥かに強かったのが伺える。
「一時退却……!!」
「させぬ!!」
一時退却をしたのは体力の低下。受け止める腕の動きが衰えていっている為だ。
一気に後ろに下がり距離をとるつもりが、ガルドの素早さが想像以上に速く一瞬で追いつかれてしまう。
「〆じゃ」
「紅ノ不知……!?」
パァン!!という音とともにスーラの竹刀が空中に舞う。
スーラは驚きを隠せない表情で空中の竹刀を見る。
トンと首を竹刀で当てられ、我に返るスーラ。
「少し……強いと言ったな……ヌシ」
「……はっ!」
目が赤色から黒色に変わる。
フッ……と魔法陣も消えいつものスーラに変わった。
「私が……負け……負けた……!!」
「安心しろ、ワシの限定解除でやっとじゃ……」
スーラは落ち込んでいるのかと思いきや、ガルドの手を握り目をキラキラさせながら早口で喋りかけてくる。
「私の能力を突破させるなんて凄いですよガルドさん!!あ、すみません私能力を使うと性格が少し変わってしまうんです……何か私悪いこと言っていませんでしたか!?感情がどっかいって酷いこと言うのが多々あるので心配になって……」
「ヌシのその性格は突破不可能じゃぁ……」
白目になり魂が出てしまうガルド。
彼女の正確には叶わなかったようだ。




