表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

転売山

作者: ahomel
掲載日:2023/04/28

これは昔々のお話です。

昔あるところに貧しい街があった。

売られている食べ物が高すぎて満足に買えず、町人は常に飢えていた。


その原因はこの街を治める殿様にあった。

強欲な殿様毎朝早くに家来を遣い、城下町の食べ物を買い占めさせていた。

そして屋敷の前で民衆に売りさばくのだ。何倍もの値付けで。

暴利を得て悠々自適な生活を送る殿様とは対照的に、民衆は日に日に飢えていった。


そんなある年大飢饉が起きる。ただでさえ高い食料がますます高価になり、町からは餓死者までも出た。

町の若い者たちは氏神様に祈ることにした。祈ったところで腹が満たされることはあるまい。そう思いながらも一同は街はずれの神社の前で手を合わせる。

しかし奇跡は起きた。

なんと氏神様が現れたのだ!


「欲しいものを願って賽銭箱に銭を入れてみなされ」

一番前で手を合わせていた与吉は試しに銭を入れてみた。

するとさっきまで無かった豆腐が目の前に置かれていたのだ。

「これから毎日わしの所に来るといい。適正価格で糧を売ってやろうぞ」

たちまち噂は町中に広がり、前まではあまり人の寄り付かなかった神社には毎日大行列ができるようになった。飢えて青白かった町人たちもすっかり血色がよくなった。


「まだ来ぬか!」いつものように殿様は屋敷の前で蓆を広げて食料を売っている家来に怒鳴った。

ここ数日町人がめっきり買いに来なくなったのである。

「貴様怠けてるようでは打ち首に処すぞ」

「どうかお許しを。関係あるか分かりませんが最近社のほうに民が集まっているそうです。」

殿様は馬に乗って神社に出向いた。


「こいつのせいか!」

端金を入れると商品が出てくる自動販売システムに衝撃を受ける。

絶望したのもつかの間、殿様の脳裏には咄嗟に良い考えが浮かんだ。

殿様は一旦屋敷に帰り、また戻ってきた。


「これで売れるだけ売ってくれ!」

そう言って賽銭箱の上で千両箱をひっくり返した。

すると目の前に千両分の米や野菜や豆腐などの数々が出現した。

これだけ出せばもう在庫は無くなっただろう。


しかし食料を持って帰ろうとした矢先、社で油揚げを購入する老婆を目にする。

まだ在庫は尽きていなかったのだ。


転売での収入を失った殿様は日に日に落ちぶれていった。

結局屋敷には一億円分の食料が堆く積み上がり、値下げしても売れることなく腐っていった。

人々はその光景を「転売山」と呼ぶようになり、転売山という地名は日本の某所に残っているかもしれない。

おしまし


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ