番号交換
次の日、体育の授業でどうやら彼は一人らしいというのを確認した。
万由に相談する。
「部活終わりに連絡先を聞いてみな」と言われた。
確実に今日しかない。
今日でなければ、連絡先を教えてもらえない。
頑張れ、私。
いつもより授業が終わるのが、遅く感じた。
いつものように、部活を見ている。
「今日も見てるんだね。りり」
そう言って声をかけてくれたのは、美羽ちゃんだった。
「連絡先、交換しようよ。」
「私も教えてよ」
ゆかりちゃんと美羽ちゃんに言われた。
「うん。いいよ」
そう言って番号を交換した。
「私の名前、呼び捨てでいいから」
「私も」
「うん。美羽とゆかりよろしくね。」
「よろしく。」
「頑張ってね。」
「頑張る」
二人が、応援して帰っていった。
しばらくすると、「もうすぐ部活終わるよ」って万由がやってきた。
「わかった。待ってるね」
「あのさ、今日は林君一人だよ。出てきたら番号頑張れ」
「頑張る、頑張る」
今日が、チャンスだよ。
しばらくして、彼が出てきた。
祐希ちゃんに、「行かなきゃ」と言われるも人見知りがかってしまい行けそうになかった。
ドアを開けて出て行ってしまった。
無理かも、諦めかけたけど彼は扉の向こうにまだいる感じだった。
「私、行ってくる」
私は、駆け出した。
開いたドアの向こうに彼が、まだ立っていた。
「あの、林君」
「あっ、はい」
「あの、連絡先聞いてもいいですか?」
「いいよ」
そう言って連絡先を教えてくれた。
嬉しい、嬉しすぎるよ。
お辞儀をして、万由と祐希ちゃんの元へ
「どうだった?」
「教えてくれた。」
「おぉ、やったね。」
「めちゃくちゃ嬉しいんだけど」
「でも、これからだよ!電話ででも告白しなきゃ!」
「そうだよね。頑張るよ」
「じゃあ、帰ろうか」
「うん。」
私達は、自転車を押しながら帰る。
「本当によかったよ。」
「明日、一緒に帰ろうって聞いてみたら?」
「えぇー。恥ずかしいよ」
「頑張ってみなよ。」
「えぇ、言えるかな?」
「電話で言ってみたら?」
「言えるかな?」
「頑張りなよ。」
「頑張ってみるよ。」
もう、有頂天だった。
3ヶ月も連絡先を聞けなかったから、余計に嬉しくて。
まさか、教えてくれるなんて思わなかったから嬉しくて。
この時の私は、本当に幸せいっぱいだった。
「じゃあ、誘うんだよ。」
「うん。頑張ってみるよ。」
「頑張れ。」
「ありがとう。じゃあね」
「バイバイ」
そう言って私達は別れた。
家に帰って考える。
かけてみたら、でるかな?
出たりするかな?
私は、勇気を出して発信ボタンを押した。
「もしもし」でたー。
「もしもし」
「さっきの人だね。」
「あの、さっきは番号教えてくれてありがとう。」
「うん。」
「あのさ、明日。もしよかったら一緒に帰れませんか?」
「あぁ、友紀が休みだったらいいよ。」
「本当ですか?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、もし休みだったら一緒に帰りましょう。」
「わかった。」
「電話します。」
「うん、わかった。」
そう言って電話を切った。
祐希ちゃんと万由にすかさずメールを送る。
[明日、友達が休みだったら一緒に帰れるって]
[まじで、明日で学校終わりだからいいじゃん。頑張れ]
[頑張る]
[ついでに、告白だね。]
[うん、帰りながらしてみる。]
[頑張れー。]
[ありがとう。]
そう言ってメールが終わった。
嬉しくて、嬉しくて飛びはねそうだ。
ヤバいよ。緊張するよ。
でも、頑張るよ。
付き合えたら、初めての彼氏ですよ!
ワクワクがとまらないまま、私は朝を迎えた。