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「これが代金だ」

 ゼーレに戻り、オクトルの仕入れ代金を支払った二人に店主が聞いた。

「ここに書いてある『ジャックアンドフレディ』っていいうのは、何だ?」

「おいら達のカンパニーの名前だ」

「ほお」

 自慢げに答えるフレディに店主が目を細めた。二人を子供ながらに頼もしそうに眺めている。アスタが二人に言った。

「ここの店主は、ゼノ文明の一派と極秘裏に繋がってるんだ。向こうのものなら何でも手に入るよ」

「超古代文明絡みって事?」

 尋ねるジャックにアスタがうなずき、それを見たフレディが店主に聞いた。

「オクトルの値も落ち着いて旨味がなくなって来た。大将、船内に積み込める程度のもので何か当たりのでかい奴は、ないかい?」

 店主は、黙ってうなずくや手招きし倉庫へと案内して、あるものを見せた。

「これは」

 ジャックがすぐさま言い当てた。

「確か、アクアタイトって鉱石だ。船の燃料に使うダリア鉱石の純度を極限まで高め結晶化させた奴」

「へぇ、で、このアクアタイトはどこで売れる?」

 ジャックは、懐からあらゆる地域の物の値を記したメモ帳を取り出し言った。

「高価だから扱えるのは、北部の大富豪ローチェ家、ダーラン系のラトニア商会だね。今、商都レントセアに持っていけば、一キル五万ディールは下らないよ」

「それは凄いな。これなら船内にも持ち込める。よし、決まりだ」

 フレディがパチンと指を鳴らして言った。

「大将、コイツを買うぜ」

 やがて、数量と値段をジャックが算盤を弾き出し、帳簿をつけながらフレディに言った。

「まだちょっと買い足せるよ」

 フレディは店の中の品を眺めながら店主に聞いた。

「他に何かレアで面白いモノはないかい?」

「あぁ、こんなのはどうだ?。キニシスって奴だ」

 店主は、まだ市場に出回っていない珍品を取り出して特徴を説明しながら紹介し、それを聞いたフレディが言った。

「これは騰がる」

 ジャックは、フレディの方を見ている。ジャックは、そんなフレディが持つ物の値に対する独特の嗅覚に常に一目置いていた。

「じゃあフレディ、一度サンプルを持って市場にばら撒いて、市場調査してみようよ」

「あぁ。面白くなりそうだ」

 二人はうなずき合い、店主からその珍品も手に入れた。やがて、店を出た三人は、そこから飛行船のパーツを幾つか買い足した後、飛行船へと戻り荷を積み込みゼーレを飛び立った。


「天気が崩れるみたいだ」

 ラジオを聴きながら、話すジャックにフレディが言った。

「その方が軍に見つからなくて好都合だ。アスタ、ちょっと荒れるぜ」

「私はいいよ」

 積荷の合間からアスタが外を眺めながら答えた。

 やがて、雲行きが怪しくなり、吹き付ける風に飛行船が揺れ始めた。見ると前方に巨大な雲の塊が迫っている。

「何だあの雲は」

 操舵輪を握るフレディが首を傾げていると、アスタが操舵室に飛び込んで来た。

「マズい。フレディ、あの雲から逃げて!」

「どうしたんだよアスタ」

「いいから!」

 そうアスタが叫んだ直後だった。宙に亀裂のようなものが走り、その歪みが飛行船を飲み込み始めた。

「な、何だ。どうなってるんだ!?」

 フレディが必死に操舵輪を切るもののの飛行船はいうことを聞かない。

「ジャック、機関全速だ」

 振り返り、叫ぶフレディにジャックは、顔を真っ青にして言った。

「もうやってるよ」

 船体がガタガタと音を立てて歪み始める中、強風に煽られ遂に飛行船は歪みの中に完全に飲み込まれて行ってしまった。

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