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エルランド

 光を抜けるとその先に巨大な銅像が現れ、その容姿にジャックとフレディは目を見張った。

「ゼノ文明最盛期の君主、エルランドだよ」

 そう説明するアスタの表情は、どこか誇らしげだ。

「どんな奴だったんだ?」

 尋ねるフレディにアスタは、言った。

「その才で異世界文明を一つ起こし、その才でその文明を一つ滅した人だよ」

「たった一人で?」

 聞き返すジャックにアスタはうなずき、そして、エルランドの銅像を眺めながら、呟く様に言った。

「結局、社会も文明も大勢で作っている様に見えてその実、一人の頭の中から生まれて行くのかも知れないね」

「そんなに優秀だったの?」

「そうだね。彼は幾つも異世界転移理論を残してるけど、ゼノ文明を通じてこれ以上のモノは出なかったと言われている」

 アスタは言った。

「その彼のエネルギーになったのが恐怖なんだ。文明が滅びるかもしれないという恐怖が彼に幾つもの理論を確立させ、確立後は遥かに進んだ英知を持つに至った」

「ふうん」

 フレディが舵を切りながら、ずっと思っていた事を聞いた。

「なぁアスタ、そこまでの英知を持ったゼノ文明が滅んでしまった原因って何なんだ?」

 アスタは、しばし考えた後、答えた。

「英知が持つ負の側面に気付かなかった事だろうね」

「負の側面?」

「あぁ、英知は得てしてかくあるべしと言う固定概念も同時に生んでしまう。やがて閉塞と硬直から滅亡へと繋がるんだから皮肉だよ」

 ジャックがアスタに合わせる様に言った。

「ここは、そのエルランドの墓なんだね」

 だが、アスタはかぶりを振った。

「彼はね。全ての異世界を束ねる全知全能のシステムになったんだよ」

 思わずジャックとフレディはキョトンとしてアスタに尋ねた。

「システム?」

「そう」

 アスタはうなずき、フレディに飛行船を止めるよう指示した。

「ここから入れる」

 入り口から銅像の中へ入ったアスタは、二人を先導しながら話を続けた。

「以前、異世界へ飛ぶためにゼノ文明の有形無形のインフラにアクセスするって話をしただろう。そのインフラを制御するシステムに彼はなったんだ。彼には見えていたんだ。いずれこの繁栄の絶頂期にある文明が滅びることを。だが、成功しか見えない人々にその思いは伝わらない。だから未来に託したんだ」

 そこでアスタは、一息ついて周りを見ながら言った。

「本当はね。こう言う場所には、それ相応の人間しか入れちゃいけないんだ」

「おいおい、いいのか?。おいら達は、ゼノ文明の事は大して知らないぜ」

 おどけて見せるフレディにアスタは、笑った。

「だからいいんだ。知識が浅いかわりに固定観念もないから理に叶うことは、何でも取り入れれる。少なくとも私が今まで見てきた二人は、そうだった。今の二人なら会えるはずだ」

「会える?」

「誰に?」

 尋ねる二人にアスタは、答えた。

「エルランドにさ」

 やがて、祭壇の様な場所に来たところでアスタは、二人に言った。

「システムとなった彼に今からアクセスする。見ていて欲しい」

 そして、瞳を瞑り祈り始めた。

「行くよ」

 そうアスタが叫んだ直後だった。二人は、突如、頭に直接流れ込むイメージに目を見開いた。

「な、何だこれは!?」

 脳裏に膨大な情報が浴びる様に降り注がれ、たちまち二人はパニックになった。やがて、その断片的な情報は繋がりを見せ、あるカタチを形成し始めた。ジャックとフレディは、アスタの言う通り、エルランドにアクセスしたのだ。

「これが、エルランドが見た景色」

 二人は言葉を失った。

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