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故郷

「ベン、よくやった。これは残りの半分と私からのささやかなお礼だ。受け取り給え」

 追加の報酬を支払うレオンにベンは、目を細めた。

「へっ、旦那。助かりやすよ」

「あぁ、また頼む」

 レオンはベンを部屋から下がらせると、自らの部屋に招き入れたフレディを見た。

「さてと。まずは、君の回復のお祝いから言わせて頂こうか、フレディ君。君の事は色々と調べさせてもらったよ」

 意味深に微笑むレオンにフレディは、そっぽを向き吐き捨てる様に言った。

「ふん。覚悟は出来ている。おいらの事は、牢にでもぶち込めばいいだろう」

「そんな事はしないさ」

「じゃあ、今すぐ解放しろ」

「悪いがそれも出来ない。私も立場上、君を再びジャック&フレディに戻す訳にはいかないのだよ。分かってくれ」

 両手を広げて諭すレオンにフレディは、小さく笑い言った。

「ジャック&フレディは、もうジャックがしっかりやってくれている。おいらはもういい。故郷にでも帰るよ」

 だが、レオンが気の毒そうに首を振りながら言った。

「フレディ君、残念だが君の故郷は、もうない」

 それを聞いたフレディは、怪訝な表情を浮かべた。

「どう言う事だ?」

 レオンは、新聞記事を見せた。見る見るうちにフレディの顔色が変わり、気付いた時にはレオンの胸ぐらを掴んでいた。

「なぜこんな事をした?!」

 烈火の炎で怒鳴るフレディにレオンが答えた。

「やったのは上官のベルナルドだ。私も彼にはほとほと手を焼いていてね」

「ふざけるな。この人手なしが!」

 グイグイ首を絞め上げるフレディの手をレオンは掴むや言い返した。

「それは、君の友達に言いたまえ」

 フレディは、首を傾げた。

「どう言う事だ?!」

「フレディ君、これだけは言える。君の友達のジャックは、この事実を知っていて敢えて揉み消しにしたんだ」

 一瞬、間が空きフレディは、怒鳴った。

「ジャックがそんな事する訳ないだろ!」

「まだ分からないのかね?。彼は君と、君の故郷を売ったんだ」

 そう話すレオンにフレディは、なおも噛み付いた。

「いい加減な事言うな!」

「フレディ君。考えてもみたまえ。キニシスで成功し、お姫様を擁した彼にとってもはや君は用済みなんだよ」

「黙れ!」

 怒鳴り散らすフレディに話にならないと悟ったレオンは、机から書類の束をどさっと置いた。

「ここに君の故郷を襲った事件と彼にまつわるあらゆる記録がある。極秘資料もあるが全て見せてやる。何もかもだ。じっくり頭を冷やしてよく考えるんだ。今の君の状況を」

 そう言い残しレオンは、部屋を去って行った。フレディは、レオンの資料を読み漁った。

 ーージャックは、そんな事する奴じゃない。あいつのデマカセだ。

 そう心で罵りながらも必死に資料に目を走らせた。何より嘘だと自分に言い聞かせたかった。だが、その資料に記された詳細な内容は、レオンが言っていた事を裏付けるものだった。

 丹念に資料を読み解き、フレディは明かされた事実に言葉を失い黙りこくった。体中から力が抜け、やがて、それが怒りに変わっていくのが分かった。

 フレディは、目から悔し涙が溢れ、頬をつたい書類にポタポタと落ちるのを眺めながら、憤った。

「ジャック、なんでなんだ……」

 部屋でフレディは、一人、うなだれ続けた。

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