アスタ
「全くどうしようもねぇ奴らだぜ」
怒り心頭のフレディをジャックがなだめた。
「しょうがないよ。僕達にはまだ飛行船以外なにもないんだから」
「けっ、一攫千金の折角のチャンスが……しょうがねぇ、別のブツをあたるか」
ふてくされるフレディがそう言うものの、一旦目をつけたブツを見過ごすのには踏ん切りがいった。
やれやれと立ち上がった矢先、走って来た人影がフレディにぶつかり、人影は地面に転がり込んだ。
「あっ、悪い」
フレディが謝り、手を差し出そうとして転がる人影を見た。
それは、男装していたが明かに女だった。年は二人と同じくらいに見える。
「おい、匿ってくれ」
その女は、いきなり二人の影に隠れた。
「お、おいお前……」
「いいから!」
見ると女の追手らしい男達が近くまで駆け付けて来ている。二人は止むなく女を匿うべく街中を離れた。
路地裏まで来たところでフレディが愚痴を吐いた。
「おいジャック、どうなってんだよ」
「そんなの僕にも分からないよ。とにかく事情があるんだろ」
「全く、オクトルの調達どころじゃなくなったぜ」
そんな二人のヒソヒソ話に聞き耳を立てていた女が言った。
「なんだ。お前らオクトルを調達したいのか?」
「あ?、あぁ。どこも売ってくれなくてな」
溜息をつくフレディに女はうなずいた。
「私が何とかしてやるよ」
「へ?」
キョトンとする二人を差し置いて女は、歩き始めた。
「お、おい。どうするジャック」
「とにかくついて行こう」
それは、街中から離れた怪しい雰囲気の商店だった。
女とともに中に通された二人は、ドギマギしながら話を聞いているとどうやら聞いたことのない異国語のようだった。
だが、その中のあるフレーズに触れたとき、ジャックはピンと来た。
「フレディ、多分、これ超古代文明語だ」
「超古代文明語?。そんなの発掘でしか使わないだろう」
「でも間違い無いよ」
二人がヒソヒソ話をしていると女がこちらを見た。
「おい」
女は席を立ちながら言った。
「話はまとまったぞ」
「え?まとまったって?」
商人に案内され女とともに二人が倉庫についていくと、商家街でサンプルとして見たオクトルが山積みされていた。
「オクトルだ。間違いない」
ジャックが虫眼鏡で現物を確認し、女を見て言った。
「でも僕達今、持ち合わせがなくて」
「代金は後払いでいい」
その破格の条件に二人は、目を見開いた。
「そのかわり条件がある」
女は、言った。
「私を連れて行くこと。いいな」
「あんたを?」
聞き返すフレディに女はうなずいた。
「え、で、でも危険だよ。西の方はまだ賊がはびこってて」
ジャックが両手を広げて説明した。
「承知の上だ。お前達、私を匿ってくれ」
二人は思わず顔を見合わせた。
「分かったよ」
やがて、フレディが女が出した条件にうなずいた。
「え、フレディ。いいの?」
「あぁ、折角のチャンスだ。モノにしたいしな。別にいいだろうジャック」
「僕はいいけど……」
渋々うなずくジャックを横目にフレディは、女に手を差し出した。
「契約成立だ。おいらはフレディ、そして、横のツレがジャックだ。あんたは?」
「アスタ、だ」
アスタと名乗る女は、差し出されたフレディとジャックの手を取った。




