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直感

 必死にジャックとフレディを追いかけながら、カルロは自笑した。

 ーーいろいろあって、閑職に追いやられ出世を諦めたこの俺が、何を夢中になってるんだ……

 そう自問自答しながらも体が勝手に二人を追いかけていた。

「おーい。待ってくれ」

 そんなカルロにジャックとフレディは、気が付き振り返った。

「あ、ラトニア商会のカルロさんだ」

 二人に追いついたカルロは、ぜいぜい肩で息をしていた。

「どうしたんですか、カルロさん?」

 二人は、怪訝な顔でカルロを見た。

 ほぼ何も考えずに衝動で会社を飛び出て来たカルロは、目の前の二人の子供をじっと眺めた。

 実は、初めて会ったときから直感はあった。子供ながらにカンパニーを立ち上げ、まだ賊の蔓延る危険な地域に空へ打って出て、軍の目を盗んで超古代文明絡みの鉱石を商いにする二人にカルロは、大きな興味を抱いていた。

 最近では、その賊とも一部で取引をしているという二人は、戦乱の孤児だという。

 戦乱はときに子供の成長を著しく促すのかもしれないーーそんな事を考えながら、カルロは二人を見た。

「君達、以前言ってたよね。自分達には夢がある。ジャック&フレディを世界を股にかける一大カンパニーにするって」

「あぁ」

「言ったよ」

 二人は、互いを見合いうなずいた。

 かたやお調子者でいながら時代を読む嗅覚や勘に優れ、本能で利を稼ぐ投機的なタイプ、かたや物静かな律儀者で滞りなく相方のサポート役を進んで引き受ける縁の下の保守的なタイプーーそんな二人を見比べながら、カルロは言った。

「その夢を俺も買いたい」

 ジャックとフレディは、キョトンとしている。

 そのうち何か大きな仕事をしそうな面白い子供達、これからの自分の人生に大きな関わりをもたらしそうなジャック&フレディにカルロは、声を大にして言った。

「君達の扱うキニシス、あの鉱石をうちの独占で取り扱わせてくれ。全てそっちの言い値で買う」


 カルロから独占契約を持ちかけられたジャックとフレディは、目を見開いた。

 自分達の見つけた商品に世間の需要があるーー事業という才覚の渡世でこれほど新鮮な感激はなかった。特にフレディは感激した。それだけにこの話をなんとしても育てあげたいと思った。

「立ち話もなんだから、ちょっとそこの店で話をしないか。もちろん勘定はこっち持ちだ」

 そう言うカルロに二人は、喜んでうなずいた。

 やがて、入った店でカルロが切り出した。

「実は、さっきあぁは言ったもののまだ開発の段階でね。具体的にどうこうって話じゃないんだ。だがあの鉱石に新たな概念をもたらすキニシスのポテンシャルには計り知れない市場価値がつくと見ている。まぁ販路を広げるのはこっちの仕事だから任せてくれ。それで君達の仕事なんだが」

 固唾を飲んで聞き入る二人にカルロは、言った。

「あのキニシスを安定供給出来る様にして欲しいんだ」

 安定供給ーーその言葉に二人は、顔を見合わせた。

「確かにそれは、課題だね」

 ジャックはうなり、その横でフレディが腕を組んで考え込んだ。アスタに紹介してもらった店で取り扱わせてはもらったが、このキニシスは出物が少なく希少過ぎて経済価値につながらない欠陥があったのだ。

 だがフレディは言い切った。

「分かった。供給面は任せてくれ」

 大丈夫なの?という目で見るジャックにフレディは、何とかしようぜと目配せで返した後、カルロに言った。

「でも正直、おいら達みたいな子供の話にここまで本気になってくれるカルロさんみたいな大人の人がいるなんて思わなかったぜ」

「そうかい?。俺はラトニア商会に窓口を持ちたい君達が、窓際なら相手にしてくれると踏んで目をつけたんだと思っていたよ」

 思わぬ図星を言い当てられドギマギする二人をカルロは、笑って手で制しながら続けた。

「いいんだ。それくらい俺にも分かるよ。それより皆でキニシスを育てて行こう」

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